喪服男 黑ネコ

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10/26/2025, 9:51:11 AM

『自殺既遂』

死にたいと嘆いていた「自分」は、
もうとっくに死んでいる。

アクセル踏んで、目指すは地獄の縁。
マグマに突っ込めるのは、
ブレーキが不在であるからー

青木ケ原樹海へ向かう道のりは、まあ長い。
音楽を聴いて覇気をあげるも、
その間に理性は私の身体に帰還する。

もう今になって、全てを捨てるには
あまりにも体力がいりすぎて
めんどくさくて怠惰になっている。

新たな腹ごしらえを控えた私はUターンして、
あの時の魂だけ林の奥へと姿を消す。
じゃあ今の私は何、記憶と身体を受け継いだ者ー

9/28/2025, 10:13:20 AM

ネガティブに聞こえるかもしれないけど。
息をしている限り、騙された事や辛い思いをした事を思い出してしまうことがある。だけど、お酒を飲んだり、あなたの声を聞いたり。そんなひとときの癒し、「鎮痛剤」を飲み込みながら息をする喜びも見出している。それを踏まえて、私は「生きる」を「耐える」と読んだのです。

9/27/2025, 9:52:06 AM

『解熱剤』

君のいないとき、いない場所で君を思った暁に
君の声を聞いたり、君の目に僕がうつったり
君と繋がった欲求の筋道が見えて
然し今ないものを望んだところでそれは白昼夢
釜に蓋をされ、その想いの出口は見つからんまま
熱を帯びていくのは僕の身体でした。

そんなあつくるしさや、熱の重さに疲弊して
この釜の蓋を開けられるのは君だけ
もし君の声をきけたら、
この思いも供養されるのだろうか。

もし四六時中、君と同じ空気が吸えたのなら。
僕のこの高ぶった気持ちは籠ることなく、
情熱という状態を忘れてしまうのだろうか。
そんな事も望んぢやいない事で、
帯びる熱を君と出会うことで沈められるような
そんな安心感と達成感が欲しいところ。

9/26/2025, 7:43:31 AM

『あめあがり』

あめあがりのそとにて
陽の光がポカポカと湿った地面を照らしている。

草花に取り残された水滴が
私の目にギラギラ光をさす。
歩道にできた、水溜まりもみんな
終さっきまでの事を物語っている。

通り雨のあとのあめあがりに
今度は他の人を濡らしにいくのでしょう。
雨雲さんのあなた。

私の部屋にも陽がさして、
あなたからもらった多くのものを照らしている。
感傷にひたっていようがいなかろうが、
場違いに晴れた陽の光は無慈悲にも
湿った私の心をジリジリと照りつけるのです。

9/24/2025, 9:01:17 AM

『ネグローニ』

君と僕と。君の知り合い。
甘美な君の人生
僕に残る舌の小さな麻痺。

もし君に大切な人ができても、
同じグラスの中で呼吸をしていたい。
それとも、君は忘れてしまうつもりなのかい。

君と君の知り合いと。僕。
甘い君のとなりに居る苦見の香り
その香りに埋もれてしまわぬように強く生きたい。

君の人生のグラスに、
僕も一緒に注いでいて欲しい。
邪魔はしないから、其の関係だけ成熟させて。

ほらそんなお酒があったよな。

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