ネガティブに聞こえるかもしれないけど。
息をしている限り、騙された事や辛い思いをした事を思い出してしまうことがある。だけど、お酒を飲んだり、あなたの声を聞いたり。そんなひとときの癒し、「鎮痛剤」を飲み込みながら息をする喜びも見出している。それを踏まえて、私は「生きる」を「耐える」と読んだのです。
『解熱剤』
君のいないとき、いない場所で君を思った暁に
君の声を聞いたり、君の目に僕がうつったり
君と繋がった欲求の筋道が見えて
然し今ないものを望んだところでそれは白昼夢
釜に蓋をされ、その想いの出口は見つからんまま
熱を帯びていくのは僕の身体でした。
そんなあつくるしさや、熱の重さに疲弊して
この釜の蓋を開けられるのは君だけ
もし君の声をきけたら、
この思いも供養されるのだろうか。
もし四六時中、君と同じ空気が吸えたのなら。
僕のこの高ぶった気持ちは籠ることなく、
情熱という状態を忘れてしまうのだろうか。
そんな事も望んぢやいない事で、
帯びる熱を君と出会うことで沈められるような
そんな安心感と達成感が欲しいところ。
『あめあがり』
あめあがりのそとにて
陽の光がポカポカと湿った地面を照らしている。
草花に取り残された水滴が
私の目にギラギラ光をさす。
歩道にできた、水溜まりもみんな
終さっきまでの事を物語っている。
通り雨のあとのあめあがりに
今度は他の人を濡らしにいくのでしょう。
雨雲さんのあなた。
私の部屋にも陽がさして、
あなたからもらった多くのものを照らしている。
感傷にひたっていようがいなかろうが、
場違いに晴れた陽の光は無慈悲にも
湿った私の心をジリジリと照りつけるのです。
『ネグローニ』
君と僕と。君の知り合い。
甘美な君の人生
僕に残る舌の小さな麻痺。
もし君に大切な人ができても、
同じグラスの中で呼吸をしていたい。
それとも、君は忘れてしまうつもりなのかい。
君と君の知り合いと。僕。
甘い君のとなりに居る苦見の香り
その香りに埋もれてしまわぬように強く生きたい。
君の人生のグラスに、
僕も一緒に注いでいて欲しい。
邪魔はしないから、其の関係だけ成熟させて。
ほらそんなお酒があったよな。
『満足という名の絶望』
終電を態と見送った。
タクシーを拾う理由も、
ここに残る理由もない様に感じ
自分は思考に目を潜らせて、彷徨う。
悲劇が起こったのではない。
ただこの五体満足の身体を持ってしまって
自分はこれ以上ほしがる必要があるのか
そう思えてしまった。
全て満たされたと感じた途端に
これ以上いきをし続けることを
物音立てずに否定した。
満たされれば望みが無くなる
すなわち望みが絶たれたれる
結果、満足は絶望である。