もし、この世界で願う事があるならば
1度でいいから綺麗な星空を見てみたいんだ。
いつも絵本でしか聞かされたことないから
でも、、、
きっと生で星空を見ることは一生叶わないだろうな。
こんなにも淀んでいて
こんなにも悪臭が漂っていて
こんなにも多くの人が叫んでる
お母さんもお父さんもお兄ちゃんもみんなどこかへ行っちゃった。
どこへ行ったの?
熱いよ
暗いよ
怖いよ
空から雨のように降り続ける痛い何か
同じ服を着た人がみんなを襲ってる
あ
でも
空を見上げると
それがたくさんの綺麗な星空に見える
薄れゆく意識の中
小さな命はそう思った。
タイトル:星空
こんな時代に産んでしまってごめんね
そんなことないよ
母さん
僕はまだ産まれたばかりだけど
母さんと一緒にいけるなら嬉しいよ
だから次はもっと沢山遊んでね
戦時中、一人の女性と一歳くらいであろう子どもは静かに息を引き取った。
ここはまるで天国だ…
罪を犯した人間を裁く鬼となってから早数ヶ月。
ここは社員が多いおかげもあり、すごくホワイトだ。
週休2日制がきっちりしていて、定時には絶対上がれる。
福利厚生もばっちりしてるから、具合が悪いときはちゃんと休ませてくれる。
時々、有休扱いで早く上がらせてくれたりもする。
休日の上司からの呼び出しなんてもちろんない。
会社のモットーは、『残業0を目指して』
ちゃんと実行されてるのがホワイトの証だ。
今度の会社である慰安旅行どこなのかなぁ。
楽しみだぁ。
ここはまるで地獄だ…
白い翼が美しい天使になってから早数ヶ月。
ここは異常なほどの人手不足のせいかすごくブラックだ。
週休2日?定時で帰れる?なんだそれ。こちとら1ヶ月は休めてないし、定時に上がれたことなんてない。
どんなに具合悪くても、仕事行かなきゃだしさ。
有休なんて永遠に消化出来ないし。
そもそも有休使うと負けみたいな空気だし。
ようやく休めても上司から呼び出し来て結局休み消えるし。
会社のモットーは、『皆の為に頑張ろう』
皆って?頑張る?はぁ、何を頑張るんだよ…
はぁ、今度の休みはいつになるんだろうなぁ
しんどいなぁ
タイトル:天国と地獄
こんなに寂しくて悲しくて泣きたくて仕方がないこんな夜ほど、私は夜空で一番光り輝く月を眺める。
だからと言って、別に月が好きな訳じゃない。
どちらかと言うと、嫌いだ。
なんでそんなにあなたは眩しいの。
私と真逆だ。
こんなに頑張ってるのに私は輝くことはできない。
それなのにあなたは何もしなくてもずっと輝いていられる。
羨ましい。
憎いよ…
願うならあなたがこの世界から消えてしまえばいいのに。
私は、今も輝きを失わない月にそう言った。
タイトル:月に願いを
薄暗いけれどここはとても落ち着く。
耳を澄ませば聞こえてくる。
冒険の音。
草むらを走る馬のような音が聞こえてくる。
『ドタドタバタバタ』
お城のガラスが割れてドラゴンが!
『パリーン、ガシャン』
お姫様がドラゴンに攫われた!
『キャー!たすけてー』
勇者様は助けにくれるかな?
『お願い、誰か』
ドラゴンが暴れてるのかな?
『バシ!ドス!パン!グサッ!!』
お姫様は魔法が使えるみたい!
『あの子さえあの子さえうぅ、、違う違う!
お前が!お前が消えろ!消えろ!消え…!!』
私はお姫様を助ける妖精さん!
『でも、足がじんじんしてうごけない』
勇者様はまだかなぁ?
『いたいよ!やだ!やめて!』
ゆう゛、じやま、、くらい゛よぉ
押入れの中で見つかった少女はまだ6歳にもならない。それにしては顔の原型はあまりにも崩れ、目は潰れてしまってる。
妻と娘は、日頃、夫から暴行を受けていた。
警察に被害届を出し、一時は逃れたものの、1年後、夫に見つかってしまい暴行はさらに加速していった。
夫は、暴行により娘を殺害。
妻は、それに激怒し、夫を殺害した。
少女が描いたであろう絵本は、哀しくも苦しい本であった。
少女は押入れで何を聞いていたのだろうか
タイトル:耳を澄ませば