胃弱

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 薄暗いけれどここはとても落ち着く。
 耳を澄ませば聞こえてくる。
 冒険の音。

 草むらを走る馬のような音が聞こえてくる。
 『ドタドタバタバタ』

 お城のガラスが割れてドラゴンが!
 『パリーン、ガシャン』
 
 お姫様がドラゴンに攫われた!
 『キャー!たすけてー』
 
 勇者様は助けにくれるかな?
 『お願い、誰か』

 ドラゴンが暴れてるのかな?
 『バシ!ドス!パン!グサッ!!』

 お姫様は魔法が使えるみたい!
 『あの子さえあの子さえうぅ、、違う違う!
  お前が!お前が消えろ!消えろ!消え…!!』

 私はお姫様を助ける妖精さん!
 『でも、足がじんじんしてうごけない』

 勇者様はまだかなぁ?
 『いたいよ!やだ!やめて!』

 ゆう゛、じやま、、くらい゛よぉ


 押入れの中で見つかった少女はまだ6歳にもならない。それにしては顔の原型はあまりにも崩れ、目は潰れてしまってる。

 妻と娘は、日頃、夫から暴行を受けていた。
警察に被害届を出し、一時は逃れたものの、1年後、夫に見つかってしまい暴行はさらに加速していった。
 夫は、暴行により娘を殺害。
 妻は、それに激怒し、夫を殺害した。

 少女が描いたであろう絵本は、哀しくも苦しい本であった。
 少女は押入れで何を聞いていたのだろうか

             タイトル:耳を澄ませば

5/4/2024, 10:34:58 AM