桜並木をすべりおちる。
風に回された桜の花がうずを巻き、
ちいさな輪っかとなってぶつかった。
くすぐったいような心地で、笑う。
歩くたびに景色が変わっていくような並木道を、
ゆっくり歩いて楽しむ。
心地よいリズムを耳にしながら、
すわってる猫に声をかける。
相変わらずの無表情だけど、もう決して逃げていかなくなった猫に。
何気ないふりをして近づいても、
すぐに気づいて逃げてしまう鳥たちが、
挨拶しながら跳んでくる。
色とりどりの香りが広がる庭をかけまわる。
あおいあおいあおいそらのもと、
舞い上がる色白な花に包まれて。
音階が上がっていくように響く笑い声を耳にする。
細いゆびさきがつまむカップの取っ手が
今夜の月みたいだなんて思いながら、
バームクーヘンでも食べようか。
道の脇に小鳥が1羽。
あの日とは違う元気な姿で現れた。
見覚えのない色をまとい、首を傾げてこちらを見ている。
小川のながれや、木々の影。
ずいぶん遠くにいってしまったな。
小さな橋がかかっている。
穏やかで心地よい天気なら、僕らはだいたい幸せだ。
気づかない人もゆとりをもって譲れるよ。
桜が満ち溢れて空が隠れる。
すきまに月が雲の衣をまとって滲んでいる。
急いで良い知らせを伝えに走る彼女のように、
心をこめたい。
おはぎかエクレアか。
どちらも美味しく、エクレアが通常は上位だ。
おはぎとエクレアの良いとこどりをした食べ物があったとて、それを食べたいとは思わないだろう。
アナグマが、冬を快適に過ごすために巣を作っている。どんぐりを食べてまるまる太っている。
アナグマがどうやって巣を作るのかずっと観察してみる。それを真似して部屋を改装してみたりしようか。
リスがどんぐりを集めるのを手伝ってあげてもいい。適当に配分してあげるのだ。
「はい、これは君の分。こっちは君」とアナグマとリスに手渡す。2匹ともお礼も言わずに受け取るのだろう。
森の中が好きなわけじゃないけど。アナグマとリスが格別好きなわけじゃないけど。そんなことしている時間はそれはそれで楽しいのだろう。思いがけないことも必ずあるだろう。
アナグマに巣穴に入るよう誘われたりとか。
リスがどんぐりを預けてくるやもしれない。
…どうやって断ろうか、少し悩むな。