愛を叫ぶ。
「失って閉まっては想いは伝わらないよ」
偉い人か誰かがそう言っていたのをSNSで見かけた気がする。
私は鏡の自分に目を向ける。
寝癖が所どころ目立っていて衛生的とは言えず、これから遠くへ言ってしまう友人に見せられる姿でなかった。
私は身支度をしなければならない。
顔に冷たい冷水が突き刺さり、重い腕が髪を整える邪魔をする。
この苦痛と友人との別れは天秤に賭けられるものなのだろうか。
彼に会ってしまうのが怖い。
別れを実感するからだ。
彼と会ってしまうのが怖い。
駅のホームで見送らなければならないからだ。
それでも、やらない後悔よりやる後悔。
今日、あの瞬間までは心への傷を考えてはならない。
今、行動を起こせば悲しみを乗り越えられなかったかもしれない自分への手向けになる。
「ありがとう。向こうでも元気でね。私の友人」
何も死ぬわけじゃない。
ただ、遠くへ行って未知の世界へ飛び込む勇者を見送るだけなんだ。
いつか出会った時は、胸の中にある感情も水に溶けてゆくに違いない。
だから、悲しくはない……はずだ。
私の理性はここまでらしい。
今だけは心を閉じてもいいよね。
虹の架け橋
僕らはいつからか遠く離れてしまった。今となっては昔すぎて霞んでしまっているけども別れの瞬間だけは鮮明に覚えてる。
君と僕が駄々をこねて嫌だ嫌だと言って両親を困らせてたっけ。挙句の果てには大きくなったら結婚するだのほざきやがって…。10年も昔話だ。無論昔話をずっと引きずっている訳では無いが、僕は別れの寂しさだけが残った残骸として生きている。
少し先の未来で友として逢えたなら
あなたは誰
けたたましく鳴り響くアラームが僕の目を覚ます。夢うつつの世界は少しずつ現実へと引き戻される。1階に降りて朝ごはんを食べる。いつも通りの支度をしていつも通り登校。いつも通りだるい授業を受けて、いつも通りの弁当。残りの授業を消化して、ただただ家に帰る。そんなもんだ。
僕の意識はどこにあるんだろう?
いつもそうだ。体は僕のものでも少し離れたところから僕を見ているような。そんな感覚だ。
結局僕は誰なんだろう?
やさしくしないで
中途半端にそんなことされたら君を拒絶出来ないじゃん。最初から全て突き放してくれたらモヤモヤせずにいられるのに。中途半端だから僕を苦労させる。突き放してくれない君が悪いんだからね。もう疲れた。何もかも
終わらない物語
「もうすぐ卒業だね」
家庭学習期間に入り、登校日数が残り僅かである。
私は君の問いかけに「そうだね」としか返事が出来なかった。
「ねぇ、卒業したら何する?」
私は上手く答えることが出来なかった。
私は今までずっと学生生活は永遠だと疑ったことが無かった。両親だって年は変わらずに自分だけどんどん成長する感覚だったから。
今となっては「卒業したら死のう」なんて忘れてるだろうに。何かがプツリと切れて無くなった感覚が私を私たらしめていた。
思考がまとまらず、早急に出した結論は「ありがとう」だった。
「なんで?」
君はなんでこんなに純粋なままでいられるんだろう?
君はなんで闇を気にせずに生きていけるの?
青春脱落組の烙印を押された私は太陽の下で歩くことは叶わないと思っていた。
それでも学生生活という物語はプロローグに過ぎない。
果てのない物語、その密度は今までよりも濃薄なのかは検討もつかない。緑に溢れた平原から未知の砂漠へと足を踏み入れることになる。