あなたは誰
けたたましく鳴り響くアラームが僕の目を覚ます。夢うつつの世界は少しずつ現実へと引き戻される。1階に降りて朝ごはんを食べる。いつも通りの支度をしていつも通り登校。いつも通りだるい授業を受けて、いつも通りの弁当。残りの授業を消化して、ただただ家に帰る。そんなもんだ。
僕の意識はどこにあるんだろう?
いつもそうだ。体は僕のものでも少し離れたところから僕を見ているような。そんな感覚だ。
結局僕は誰なんだろう?
やさしくしないで
中途半端にそんなことされたら君を拒絶出来ないじゃん。最初から全て突き放してくれたらモヤモヤせずにいられるのに。中途半端だから僕を苦労させる。突き放してくれない君が悪いんだからね。もう疲れた。何もかも
終わらない物語
「もうすぐ卒業だね」
家庭学習期間に入り、登校日数が残り僅かである。
私は君の問いかけに「そうだね」としか返事が出来なかった。
「ねぇ、卒業したら何する?」
私は上手く答えることが出来なかった。
私は今までずっと学生生活は永遠だと疑ったことが無かった。両親だって年は変わらずに自分だけどんどん成長する感覚だったから。
今となっては「卒業したら死のう」なんて忘れてるだろうに。何かがプツリと切れて無くなった感覚が私を私たらしめていた。
思考がまとまらず、早急に出した結論は「ありがとう」だった。
「なんで?」
君はなんでこんなに純粋なままでいられるんだろう?
君はなんで闇を気にせずに生きていけるの?
青春脱落組の烙印を押された私は太陽の下で歩くことは叶わないと思っていた。
それでも学生生活という物語はプロローグに過ぎない。
果てのない物語、その密度は今までよりも濃薄なのかは検討もつかない。緑に溢れた平原から未知の砂漠へと足を踏み入れることになる。
冬休み
高校生活において2回目となる長期休暇。僕はこの時間を全て創作活動に費やそうと思っている。
他人の才能を感じてしまった。僕でもそんな人間になれるのかな…。憧れは全て砕け散ってしまっても次のための経験になる。その集大成が今回の作曲だと思う。というよりそうしなければならない。
僕の価値は無に等しい。それは古い神社に投げ捨てられた一円玉のような存在だ。そんな僕でも「足掻いてやる」 そう決めたんだ。だからやれる所までは歩いてみようと思う。だから頑張ってね[未来の私へ]。
「冬は一緒にデートしない?」
「いいね! それじゃあ行きたい所があるんだけど…」
なんて話で盛り上がってた半年前がつい昨日の出来事のように思い出してしまう。彼女は冬を迎えることなく散ってしまった。
49日を終えた昨日を経ても実感が湧かずにただ何もせずに過ごしていた。ほこりの漂う空間よりも心が晴れないことに憂いを覚えていた。そんな空間が心地いいかと言われるとむしろ悪いと答えたいくらいの酷い環境だった。
少しばかりあずましくないので雪の積もる歩道をただ目的もなく歩き回っていた。
彼女が出来なかったことを僕が叶える。
希薄な望ではあった。私は…。僕だっけ?
どつでもいいや。さよなら