短編小説 しらたま

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終わらない物語

「もうすぐ卒業だね」

家庭学習期間に入り、登校日数が残り僅かである。
私は君の問いかけに「そうだね」としか返事が出来なかった。
「ねぇ、卒業したら何する?」
私は上手く答えることが出来なかった。
私は今までずっと学生生活は永遠だと疑ったことが無かった。両親だって年は変わらずに自分だけどんどん成長する感覚だったから。
今となっては「卒業したら死のう」なんて忘れてるだろうに。何かがプツリと切れて無くなった感覚が私を私たらしめていた。
思考がまとまらず、早急に出した結論は「ありがとう」だった。
「なんで?」
君はなんでこんなに純粋なままでいられるんだろう?
君はなんで闇を気にせずに生きていけるの?
青春脱落組の烙印を押された私は太陽の下で歩くことは叶わないと思っていた。

それでも学生生活という物語はプロローグに過ぎない。
果てのない物語、その密度は今までよりも濃薄なのかは検討もつかない。緑に溢れた平原から未知の砂漠へと足を踏み入れることになる。

1/26/2025, 8:06:35 AM