君と見た虹
あの日、君と見た虹を僕は忘れることは無いだろう。
虹の根元にはお宝がある、だなんて君は言って。
二人で探しに行ったっけ。
人のいない空き地に虹の根元はあって。
二人で掘って。
宝を手に入れて。
「まだそんな夢を見てるの?」
誰かの声がする。
「お宝なんて手に入れてないでしょ」
誰かの声がする。
「虹の根元を目指して」
誰かの声がする。
「私は死んだの」
死んだはずの君の声がした。
ひそかな想い
気付かれないように。
気付かれないように。
ひそかな想いは隠しておくの。
だって、もう決まっているから。
お姉さまとあの方の結婚は、もう。
私みたいな人間にチャンスは無い。
嗚呼、でも悔しいわ。
「どんなことでもできる。だから諦めない」
お姉さまよくそうおっしゃっていたのに。
ただもし、諦めなくてもいいのなら。
私にも結婚できるとするなら。
ねぇ、お姉さま。
私やっぱり諦めたくないの。
だから。
「この毒林檎を食べてちょうだい」
輝き
その輝きは一瞬だ。
私はその一瞬を求めて夜になると彷徨っている。
今日は駅で見つけた。
ストリートピアノで輝く女性を。
私は彼女を見つめた。
終わってもなお、見つめ続けた。
彼女が人通りのない路地に向かった。
私は追った。
そして、彼女を。
「あなたが噂の吸血鬼さん?」
彼女は言って、私に水を、いや違う。
これはあああ。
「聖水だよ。バイバイ」
私は一瞬の輝きに包まれた。
君の声がする。
ふと君の声がする。
仕事をしているとき。
電車を待っているとき。
歩道橋を歩いているとき。
君の優しげな声が聞こえる。
なんて言っているのかなんて。
ぜんぜん分からないんだけども。
きっとボクを応援してくれている。
今日も君のために、頑張ってくるよ。
庭に一人きりだなんて、寂しいからね。
「お前に殺されたお前に殺されたお前に殺された」
ありがとう
ありがとう、感謝の言葉を教えてくれて。
ありがとう、地球の文化を教えてくれて。
ありがとう、僕らの言葉を信じてくれて。
ありがとう、力の差を理解してくれて。
ありがとう、対話で解決してくれて。
「今日から地球は我らの傘下になります」
ありがとう、ありがとう、ありがとう。