いつかにあなたは言いました
私たちはもう家族みたいね、と
僕は笑って答えました
家族よりも話しているよ、と
それを聞いたあなたは嬉しそうに笑いました
名前もない些細な夜のことでした
君を誰かに紹介するとして
僕は君を何と形容するでしょうか
友人というには近すぎて
親友というには密やかで
家族よりも踏み入れた
この関係を表すならば
多分僕は君の名前を使うでしょう
君という特別な人間がいるのだと
踏み入れさせないように慎重に線を引いて
わざとその名前を使うでしょう
「添い遂げられて気づく蟠り」
無意識に頭に浮かぶその歌詞を
ぼんやりとした焦点で見つめていた
始まりはきっと些細な事
誰かを愛することは決意だ
最近はそんなふうに思ったりもするんだ
ただ一つ確かな事は
僕の幸せというものは
君の隣を歩いたあの緩い風の中に留まり続けていて
僕は本当に些細なきっかけで
その場所に立ち戻ることができて
その一つの思い出だけで
生きることが許されるような感覚で
もうそれでいいじゃないか、と思うんだ
これが僕なりの精一杯の愛だと思ったりするんだ
空を見る
大袈裟なくらい広い空の下で
はぁ、と息を吐く
今日も頑張ったよ
君はどうでしたか
お疲れ様
そんなことを思いながらぼんやりと空を見る
ふと考えたことがある
僕のこの想いはどうしたら
終わりになるのか
君が僕より他の誰かを
優先した時だろうか
もうやめようか、とどちらかが言って
滅多に話せなくなる時だろうか
あるいは、君が誰かに
添い遂げることを決めた時だろうか
しばらく考えてみたが
「諦める」と「無かったことにする」は
全くの別物で
僕はきっとどうやったって
君を無かったことにはできないので
君が遠く離れたとしても
心の一番深い部分で
君の事を案じるのだろう
これが綺麗なのか汚いのか
祈りなのか意地なのか
僕にはもうとっくに分からない
まだ僕らが学生だった頃
いつの間にか降っていた雪が
外の世界をうんと冷やして
何も知らず校舎から出てきた僕らは
口を揃えて寒い寒いと溢した
その時吐いた息が白く染まるのを
君はゲームか何かの技みたいと笑った
僕らはさっきまであんなに寒かったことも忘れて
その技に夢中になってはしゃいだ
今日僕の町にも雪が降った
無意識に吐いたため息が白く染まって
思わずその出来事を思い出した
隣に君の影はないけれど
いつだって君は僕の側に居る
たった2日ぶりの君の声
家族と君しかもう使わない
その呼び方で僕を呼んで
夢に僕が出てきたと教えてくれた
ああ、もう何だかそれで良いや
僕が此処にいる意味はそれで良いや
君の声に耳を傾けながらそんな事を思ったりした
昨日死ぬのをやめて良かった、と思ったりした
君の口から愛の言葉を聞く事はないだろう
もう何となく判っているよ
それでも側に居たいと願ってしまうのは
きっともう僕が此処に存在している事みたいに
どうしようもない事なんだろう
今日は僕の夢に君が来ますように
さよなら おやすみ 大好きな君へ