Open App
10/17/2023, 11:55:59 AM

すれ違った人から君と似た匂いがして
咄嗟に振り返ってしまうような
あるいは遠くから聞こえた笑い声が
君の笑い方とそっくりで胸が詰まるような
そんな そんな脆い世界で
僕は遠くの君を想っている
そっちの天気はどうですか
嫌な思いはしていませんかって
多分きっと 君がいなくなってしまった後でも
君に問い続けて
僕は君の中で生きてしまうだろう
ただ遠くの影を追いながら
今の自分をここに置いたまま

10/2/2023, 2:27:23 PM

昔科学博物館で地球の始まりの展示を見た時
その途方もない年月と確率をくぐり抜けて
今こうして存在している地球や
その中の細胞のような僕が確かに存在する事に
畏怖の念を抱いたのを覚えている

容易く想像できない可能性の中で
こんな僕の生まれた少し後に
遠くの街で君が生まれて
たまたま僕の町へやってきて
それからもう20年近くも変わらず側に居て
そんな星屑みたいな奇跡を思うと
僕は怖くなってしまうと同時に
その奇跡を守り続けたいと願ってしまう
もう一度なんて言わないから、要らないから
この奇跡が一分一秒でも長く続きますように

10/1/2023, 3:28:30 PM

幼い頃、僕は近所の神社の
ぐにゃりと曲がった松の木に登るのが好きだった
水平に円を書くように曲がった幹は
今じゃ不躾だって失笑してしまうけれど
腰掛けるのに丁度良くて
よくそこに座ってただぼうっと遠くを見ていた
下では当時出来たばかりだった団地の子供達が
こぞって集まって遊んでいて
その笑い声と何処かから漂う夕ご飯の匂いと
遠くから聴こえる夕焼け小焼けのチャイムと
たった一人の僕と
確かに寂しいのに、どこか落ち着くような心地で
僕はその光景が好きだった

今ではもうその松の木は
あっさりと切られてしまって
新しく出来た公園に子供達は吸い寄せられ
神社は夕方になっても伽藍堂になってしまった
ただ西向きの僕の部屋からは
夕日が真っ直ぐ入り込んできて
部屋を橙に染め上げて
窓辺の植物が影を落とすその様を
やはり僕はぼうっと見て
この時間が一番好きだ、と思うのだ

9/30/2023, 4:56:42 PM

明日もまた当たり前みたいに
朝が来て日が暮れて夜が来て
いつの間にか終わってしまうんだろうけど
その片隅で役目を終えた蝉はいつのまにか消えていて
くたびれた枯葉が地面を覆い尽くして
ああ、その度に嫌でも気付かされる
全てに終わりがあるんだって

ねえ、明日もまた電話をしよう
くだらない話をしよう
冗談ばかりで笑わせあって
おやすみと言ってまた眠ろう
雪が降ってしまう前に何度か会おう
降ってしまってもきっと会おう
そうして来年の今頃も
一緒にいられたら眼福だ

明日もまた当たり前みたいに
朝が来て日が暮れて夜が来て
いつの間にか終わってしまうんだろうけど
その終わりに僕は君を想うだろう
君の幸せを願うだろう

9/29/2023, 5:16:38 PM

『早く早く早く消えてしまえ
どうせもうまともじゃいられないんだから』

上記は有機酸という方の「quiet room」という
歌の歌詞の一部であり、僕がおそらく人生で
一番聴いているのはこの曲なのではないか、と思う

酷く落ち込んで、ただ自分の中だけを見つめていた時期
何も見たくなくて部屋を真っ暗にして
天井をただぼうっと見つめて
それでもこの曲をループ再生にして
1時間も2時間もずっと蹲っていた

賑やかなメロディーの中に
確かに寂しさが潜んでいて
それは多分、自分ではどうしようもない類のもので
声に出さなくても苦しいよ
幸せに罪悪感を感じてしまうよ
変わらないものがあるって信じていたいよ
そんな感情が聴こえてくるようで
ああ、なんて脆いんだろう
なんて似ているんだろうって
涙を流したこともあった
今やもうお守りのような曲

Next