依頼者 田中啓介
カランコロン、とドアが開き、細身の男が入ってきた。彼の他に人は居ないようだ。少々辺りを見回していると奥から慌てたように愛想のよさそうな男が出てきた。この萬屋の社長、白羽隼人である。
「すみません、お待たせしました。お電話くださった方ですよね、こちらにお座り下さい。」
人当たりのいい笑顔を浮かべながら細身の男、田中を応接間に招き入れた。
「いえいえ、こちらこそ急な依頼ですみません。それで…本当になんでも受けてくれるんですよね?」
「はい、迷子のペット探しから庭の手入れ、子供のお世話、なんでもお受け致します。」
「それは、その、
人を殺す、という依頼でもですか。」
この言葉を聞いた時、白羽の笑顔が人当たりのいい笑顔からニヒルな笑顔に変わり、
「もちろんですとも。なんでもお受け致します。」
そう放った。
「それでは田中さん、依頼内容は人を殺す、ということですが、具体的にお話を聞いても?」
そう言われ田中は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべながら話し始めた。
「…殺して欲しいのは会社の上司です。僕の会社は所謂ブラック企業というもので、パワハラ、セクハラも当たり前のような会社です。辞めようにも退職届は受理されず、仕事量が増やされるだけ。僕はもう諦めていたんです。そんな時同僚の奴が僕のために立ち上がって上司に反抗したんです。そんな彼の対応が気に食わなかったのか、上司は今まで以上に彼に仕事を回したり、殴る蹴るなどの暴行を行ったりしました。上に伝えても意味がなく、僕が何も出来ないまま彼は過労死してしまいました。…彼を死に追いやったあの上司が許せないんです。なのであいつを殺してください。」
「…わかりました。その依頼お受け致します。それでは手続きの方始めさせて頂きます。こちらの書類に田中さんのお名前、それから殺して欲しい人の名前をお書きください。そして、このことは口外禁止でお願いします。守れなかった場合、あなたの命の保証はできません。」
「ッ、わかりました。」
「.......はい、書類の手続き完了です。依頼が遂行出来次第こちらから連絡致します。本日は出向いて頂きありがとうございます。」
「こちらこそ受けて頂きありがとうございます。それでは、また。」
このお話、某支部の方で閲覧可能です
昨日のお話の続きです
6人の関係性
全員同じ大学だった。学科は白羽、高槻が経済学部。桜木、諸星が教育学部。田宮、新田が文学部。
学部が違うのに仲がいいわけは諸星が持ち前のコミュ力を活かして全員仲良くさせたから。他にも桜木と新田は幼なじみやら、高槻と田宮は高校の同級生だったなど色々繋がりがある。
こちらに投稿しているのは下書き同然のようなものですのでどうぞお手柔らかにご覧下さい。
「今日の依頼は?」
「まだなんも来てないと思うけど。要に聞いてみな」
「かなめー!来てるー!!??」
「そんな大声じゃなくても聞こえてるよ……うん、来てる」
「え?!なんて依頼?」
「いつものおばさんからの庭の手入れの手伝い」
「えぇ〜またかよ。最近毎日庭の手伝いしてねぇ?」
「まぁまぁ、瑛太そんなこと言わないの。毎日暗殺の依頼が来ても困るでしょ」
「麻耶は喜ぶよ」
「……彼は変わり者だから。」
「まぁなんでもやるって決めたしな!」
「そうだね、“なんでも”ね。」
「よし、じゃあいっちょやってくっか!亮介と優希連れてくわ」
「わかった。頑張ってね」
この萬屋はどんな依頼でも快く受けて、完璧に遂行してくれるらしい。それがたとえ、
法に触れることでも。
これはそんな萬屋のメンバーである6人のお話である。
長めのやつです。
迷子のペット探しから暗殺までなんでもこなす萬屋のお話です。主に6人のキャラたち+依頼主が出てきます。できるだけ短めに完結させます。初めてなのでお手柔らかに…。本日は設定のみです。
設定
白羽隼人
シラハネ ハヤト
社長(ボス)。ボスになった理由はジャンケンに負けたから。不本意なので自分では仮としている。
いつも笑顔を絶やさず、依頼主も心を開きやすい。だが、自分の心情や手の内は絶対に明かさない。あまり前線に出て戦うことはない。身内の5人には甘いところがある。この萬屋の最年長。
田宮瑛太
タミヤ エイタ
事務。交渉が上手いのでよく仕事を持ってくる。眉間に皺を寄せがちだが、怒っている訳では無い。衣食住に興味がなく、ご飯はあまり食べないし、服も同じ白Tとジーンズばかり買う。銃の扱いが上手い。なので暗殺の依頼などではよく仕事を任される。こいつも身内に激甘である。高槻と同い年
高槻要
タカツキ カナメ
情報員。参謀。ハッキングはお手の物。右に出る者はいない。ネットからの依頼は高槻が管理している。人見知りが激しく、依頼主と顔を合わすことは無い。なので顔を知られていないので自由にしている。身内には子犬のようにじゃれてくる。情報担当なのであまり前線には出ないがごく稀に仕事を任されることもある。そのときは刀を使用。田宮と同い年。
新田麻耶
ニッタ マヤ
従業員(戦闘員)。名前や顔からよく女に間違えられるが、れっきとした男である。「俺が戦闘員だったらギャップあってかっこよくね?」という理由で自ら戦闘員に立候補したが、あまり依頼がこないので不満である。坊ちゃんだったので世間知らずなところもあるが可愛いので許される。ナイフの扱いが上手く接近戦が得意。年齢は上から2番目。
桜木亮介
サクラギ リョウスケ
従業員(諜報員)。いつも元気で愛嬌があり、フレンドリーなので相手の懐に入るのが上手い。動物によく懐かれるのでペット探しの依頼では1番活躍する。 運動神経もよくアクロバッティックに戦う。麻耶とは小さい頃から一緒なので兄弟のような関係性である。萬屋の最年少。
諸星優希
モロホシ ユウキ
社長の側近。英語が話せるので海外との交渉や、外国人からの以来の際活躍する。身長が高く威圧感があるが、敵では無い限り誰にでも優しい。社長が大好き(友愛)で、ずっと一緒にいる。側近になるくらいなので戦闘力は高く、長い手足を活かして接近戦を行う。桜木の一個上。
年齢順
白羽(26)
新田(25)
田宮、高槻(24)
諸星(23)
桜木(22)
萬屋
某所にある二階建ての建物。1階が事務所で2階に6人が住んでいる。
6人の関係性、そしてお話はまた後日…。
行かないで、って力を込めて君の手を握ったけどやっぱり待ってはくれなくて。
小さい頃も勝負だーなんて言って置いていかれたっけ。
でもそのときはおいで!って声をかけてくれたのに。君はもう何も言わなくなった。
真っ白な部屋で君を見ながら、僕はただ泣くことしか出来なかった。
『力を込めて』
子供の頃はジャングルジムは高くて怖いものだと思っていたが、今となってはそこまで大きくないし、全然怖さも感じない。なんか歳とったなぁなんて。
『ジャングルジム』