私の両親は仮面夫婦なのかもしれない。お互いの文句を私にぶつけてくるのだ。なんで離婚しないのかって思ってたけど世間体もあるし金銭面でも困るしで離婚できないんだなって最近やっと理解した。私が生まれたことで別れることができないのだろう。私のせいで夜中に喧嘩するのだろう。
高いところが怖い
虫が怖い
怒ったお母さんが怖い
怪我するのが怖い
病気になるのが怖い
笑われるのが怖い
叱られるのが怖い
見放されるのが怖い
嫌われるのが怖い
生きるのが怖い
この部屋はいつも陽の光がはいらない。
そんな部屋の片隅でこの子はいつも犬のぬいぐるみを抱えている。最初の頃はおいでと呼んでも来てくれなかったが、最近はそばに来て座ってくれる。まだ少し震えているようだがそんなところも可愛らしい。
やっと俺から離れられないことに気づいたようだ。
馬鹿な子も可愛いが少しくらい従順でなければ。なのでまだまだ躾ける必要がある。これからもずっと俺のそばに置いておいて俺だけのことしか考えられないくらいに従順に。
『部屋の片隅で』
『……流星群が見られるでしょう。また、~ぶりとなる月が木星と火星に近づくと言う現象も………』
天気予報士が淡々と、だがどこか嬉しそうに今夜の天気を伝えている。あまり星に詳しくないのでどれ程凄いのかは分からないが、とてもレアなのだろう。そういえばあいつも宇宙やらなんやらが好きだった気がする。流星群や皆既月食なんかの時はいつも誘われていたな。どうせ今夜も誘われるのだろう。眠れないほど興奮したあいつといるのは少し疲れるがこんな日くらいは付き合ってやるか。
そんなことを考えてるとあいつから電話がかかってきた。
[……もしもし!今日流星群だって!しかも月と木星と火星と一等星が近づくっていうレア現象も見れるんだよ!もう今夜は寝られないね!一緒に見ようよ!前山でさ……]
…やっぱりな。わかってはいたがこんなにも興奮しているとは。今夜は早く寝れそうにない。
『眠れないほど』