昔の記憶を突然、思い出して私は泣いた。泣きすぎて声が掠れている。
悲しい、寂しい、虚しい。
誰も理解してくれないもどかしさと後悔しか残らない感情にどこか怒りを覚える。
でも君の笑顔を見ると、安心とどこ芽生える幸せの懐かしい記憶が蘇る。
ふっと気がつくと知らぬ間に君が優しく抱きしめていた。
声を掠らせながら、聞こえているか分からないけれど、ありがとうと私は呟いた。
秋のすっきりとした日差し。
暖かく、絶好の絵描き日和だ。僕は誰もいないことを確認をすると、自然と昔からいる絵で描いて具現化した使いが現れた。姿は鯱で他の具現化した使いより遊び好きで無邪気な使いだ。
僕はおもむろに絵を描くと、不思議と描いた絵が具現化した。
不思議すぎる現象に周りは謙遜する。だから誰もいない所で自分だけの世界で絵を描くのが僕の日課だ。
でも君は謙遜せず、僕の周りにいる使いのように興味津々で見てくれる。
ぼんやりとしていたら、使いにつんつんともう少し絵を描いてと言わんばかりに催促された。僕はそれに答えるようにまた絵を描いてみながら、また会いたいなと考えていた、今度はお話でもしてみたいけれど、そういう勇気、僕にはあるのだろうか?
忘れられない君達との出会えた縁の記憶。
昔の記憶は無いけれど、不思議と友になった君達の記憶は忘れるわけは絶対に無いよ。
僕の唯一の友もいるけれど、こんなにも他に友ができた喜びは僕の記憶に刻み込まれている。
君達と出会えた奇跡、これからも忘れない、ずっと仲間でいて欲しい。
こんなわがままな僕の願い、聞いてくれると嬉しいな。
柔らかい温かみがあり優しさがどこかある朝の日差し。だが、悪夢を見たせいで目覚めが最悪で先程の柔らかい感情は壊れていく。
先に起きた君は不機嫌そうな僕に心配そうに見ている。大丈夫だよと優しく無理に微笑んでみた。だが君の表情はどこかぎこちなく、反応が少し薄そうに感じた。君の目の下の隈。僕と同じでよく寝れなかったのか。
僕はふわり君を抱きしめてみた。僕が先程感じた柔らかい朝の光のように君も癒されると良いな。
怖い怖い。一人は嫌だ!
だが、その訴えは虚しく、泡の様に消えてい恐怖心は増すばかり。
君は怖がりだね。僕は君のそばにいるよ? そう無邪気に言いながら頬ずりし、優しく抱きしめ、君は私を暗い倉庫から助けてくれた。
何も怖いのは無いのかと逆に私は問う。
君の居ない世界が怖いよと、暗く、寂しげな笑みを見せながら君はそう答えた。