John Doe(短編小説)

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2/23/2024, 10:53:09 AM

アウトサイド・ザ・ダークネス


久しぶりと言うべきかしら?
貴方とはもうずいぶん会ってなかったもの
どうでした?
どんな時間を過ごしましたか?
貴方の27年もの時間
私はずっと見守っていたの

貴方はとても勇敢だった
貴方は一人で戦っていたつもりみたいだけど
私はいつも貴方を見てたよ
貴方は私を遠ざけていたけれど
怒ったりしないわ
むしろそれが普通の感覚なのだから

これからのことが怖いのかしら?
心配しないで、私の後に着いて来ればいい
これから向かう場所は貴方の世界
貴方のかつての最初の安息の地
思い出したかしら?
もう何も辛くないでしょ?

そこには懐かしい人たちが居るわ
だから寂しくないよ
貴方の旅はここで終わりだけど
50年後にまた迎えに来るから
それまで少しおやすみ
お疲れ様、明かりを消しますね。

2/22/2024, 6:37:22 AM

シナーズ・フィート


もう誰も傷つけたくないんだ
もう誰も失望させたくないんだ
僕が何かを言えば、その言葉は凶器となる
『幻想』という名の殻に閉じ籠っていたい
もう朝日が見えなくたっていいよ
永遠に冷たい夜の世界に居るから

僕にとって光明は耐え難い苦痛
僕にとって優しさは神経毒
そっとしておいて欲しいんだ
利用するだけしただろう?
奪えるもの全て奪い尽くしたろう?
何が『救い』だ、もう止めてくれ

僕の人生は、ゆっくり崩壊していく
それを望んだのは他でもない僕さ
お姫様は居なかった、神様でさえ
お願いだよ
もう僕をそっとしておいてくれ
僕はあなた方に全てを差し出したろう?

いずれ絞首台へと登るのは僕自身の足なんだ。

2/20/2024, 12:06:01 PM

アンダー・ザ・シー(スーサイド)


少しずつ僕は沈んでいく
二度と浮き上がることはできない
この箱の中からは出られないんだ

でももう手遅れ
もうあの世界には戻れない
自分で決めたことだから

肺を水が満たしていく
これが苦痛で、これこそが僕
これが生きているということ

だけどもう僕は手遅れなんだ
これでいいんだよ、もう
僕の居場所はどこにもなかったんだから

やっと解放される
やっと安らげる
やっと笑える
やっと、やっと、やっと…

苦しい…僕は解放されたはずなのに
怖い…海の底は美しいはずなのに
寒い…ここは暖かいはずなのに
後悔している(もう手遅れだよ)
心の底から反省している(君がそれを望んだんだ)
助けてくれ…!(…)
誰か救いだしてくれ…!!(…)

2/19/2024, 11:53:12 AM

モダン・アート


僕に言えることは何もないよ
だって主導権は君が握っているんだから
僕ができることはただひとつ
君が望むものを差し出すだけなんだ
さあ、何でも言ってごらん

君はニューヨークのハーレムに住んでる
近代美術館のショーウィンドウの展示品
そんな綺麗で芸術的な世界に飛び出したんだ
君が望むものを差し出してあげる
さあ、何でも言ってごらん

僕は現代美術が苦手なんだ
でも君が好きなら僕も好きになりたいよ
僕は雑音が嫌いなんだ
でも君が鼻をすする音は我慢するよ
僕はいつも退屈してるんだ
でも君が居てくれるならそれで満足さ

水色の三角屋根の家のバルコニーでタバコを吸う
雄大な海を眺めながら、煙を吐くのさ
乾いた潮の匂いが心を安らげてくれる
そんな日常を君は望むんだね?
だったら僕はそれを君にあげなきゃ

僕は現代美術が好きになったよ
君はもう飽きてしまったようだけど
僕は雑音に慣れた
君はもう鼻炎が治ってしまった
僕は毎日が充実してると感じる
そして、君は僕の隣に居るけど不思議じゃない

今度、僕も現代美術に挑戦してみるよ
何を描くか、あるいは造るかは決めてないけどね

2/18/2024, 2:35:49 PM

ワイ・イズ・イット・ソー・ペインフル?


僕はもう行かなきゃいけない
ギターだけを抱えて、今夜出ていくんだ
君にはとても迷惑をかけたね
何かお詫びをしたいところだけど
あいにく僕にはこのギター以外に何もないんだ
コートのポケットに10ドル紙幣があったから
それで何か買ってくれ

昨晩、人生について深く考えてみたんだ
そして、これが僕の答えだよ
自分勝手なのは分かってるよ、でももう辛いんだ

君が寝ている間に、僕は行く
コソコソと抜け出していくのを許して欲しい
部屋の隣に車が迎えに来ているんだ

さようなら
僕が居なくなってもどうかお元気で。

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