John Doe(短編小説)

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4/19/2023, 12:40:18 AM

無色の世界


エレベーターの扉が閉まるのを見ていた

やけにゆっくりと閉まっているんだ

中には誰も乗っていない

そのまま上昇していく…


電車の扉が閉まるのを見ていた

駆け込み乗車をしたヤツがいたせいで

扉は閉じたり開いたりしてから閉じた

中には乗客で溢れている

俺は車窓から駅の周りの小麦畑を眺めていた

そのまま発車していく…


俺は部屋の扉を閉める

ついでに鍵もかける

扉の向こうは無色の世界

俺は色のない世界の住人さ

小麦畑の中で揺れていたいだけさ


4/18/2023, 12:29:25 AM

鎮痛剤


傷だらけの心。
傷口が開き、血が流れる。
疼いては、痛みに襲われるんだ。

魂に鎮痛剤を。
鎮痛剤をくれないか。

4/12/2023, 1:40:43 AM

知らない


知らないって言ってるのに。
本当に知らないんだ、わけがわからない。
嘘だと思うなら頭を切り開いて調べてみれば
そうすれば

4/9/2023, 1:37:47 PM

誰よりも、ずっと


青い石畳の街角で

そこに貴方はいた

小さな噴水のそばに

水しぶきをうけて輝く貴方がいた

レンガ造りの街で

朝か昼かわからない空間で

光を浴びた貴方の姿は眩しかった

誰よりも、ずっと。

風のざわめきが、街をすり抜けていく

貴方は繊維のようにほつれて

とおくへ行ってしまった

4/8/2023, 12:35:37 PM

カル・デ・サック


爆発する色彩。

躍動する空間。

炸裂する時空。

廻転する惑星。

創造する精神。

ああ、今、私は芸術家である!
ああ、今、私は創造している!
我々には膨大な生命力がある!
大海は太陽の光りを受け輝く!
摩天楼に!
大都市に!
工場群に!
住宅街に!
そこかしこに溢れんばかりの生命力!

ああ、私は今、生きている。
膨大な歴史の小さな断片を描いている。
なんとも素晴らしい!!

袋小路に差し掛かっても問題はない。
来た道を戻ればいいのだ。
人生はたったそれだけでいい。

私は生きている!
そして詩を、絵を作らなければならないのだ!

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