John Doe(短編小説)

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無色の世界


エレベーターの扉が閉まるのを見ていた

やけにゆっくりと閉まっているんだ

中には誰も乗っていない

そのまま上昇していく…


電車の扉が閉まるのを見ていた

駆け込み乗車をしたヤツがいたせいで

扉は閉じたり開いたりしてから閉じた

中には乗客で溢れている

俺は車窓から駅の周りの小麦畑を眺めていた

そのまま発車していく…


俺は部屋の扉を閉める

ついでに鍵もかける

扉の向こうは無色の世界

俺は色のない世界の住人さ

小麦畑の中で揺れていたいだけさ


4/19/2023, 12:40:18 AM