青空
夜が来るのが怖い。
眠れないし、悪夢を見るのが不安。
日が沈み出す頃、私の心はぐちゃぐちゃになる。
どうして夜は来るんだろう?
朝日が輝けば安心するのはなぜだろう?
死にたくなる。
そうだ。
夜の街に、真夜中の寂しいあの世界に。
夜空の代わりに紺碧の青空を張り付けよう。
どんなに夜が静寂に包まれても、空を見上げれば安心できるだろう。
青空は好き。
泣きたくなるほど安心するあの青さが好き。
夜空の星や月も綺麗だけど、不安になる。
人は死ぬと星になるそうだけど、私は綿雲になりたいと思う。
そして、あの広大な青の世界で引きちぎられ、揺られ、どこまでも流れていきたいと思うの。
私ってなんてバカなんだろう。
フィクション
人生は、うまくいかないことの方が多い。
人生は、幸福より不幸の方がずっと多い。
人生は、儚い。
人生のラストが、映画のようにハッピーエンドなものになるとは限らない。
それでも、人は生きる。
それでも、僕は戦う。
例え、理不尽な結果が待ち受けていても。
例え、絶対に幸せにはなれないようなシナリオが用意されていても。
僕はどんな結果になっても、運命を呪わない。
でも、ベストを尽くして全力で戦うよ。
それでもどうしようもないのなら、抗わない。
それはむしろ心地よい。
だって、僕の人生はノンフィクションなのだから。
ワン・モア
部屋の窓辺から光が差す。
色とりどりの光。
カラフル。
窓を開ける。
人々の喧騒、そして輝く摩天楼。
瞬間。
荒波が部屋の家具を流してしまう。
私はボートに乗る。
窓から外へ出ると果てしない海原。
珊瑚の大陸。
摩天楼は巨大な珊瑚と石灰岩だった。
真っ赤な夕日が世界を染める。
西の空には私が出てきた窓。
カーテンが揺れ、お気に入りの観葉植物が見える。
その窓から見下ろす目。
私だ。
世界を覗いているのは私。
じゃあボートの上にいるのは誰だ?
水位が上昇する。
手が窓に届きそうなほど近くに。
目は私を見続けている。
そうだ、世界を砂時計みたいに逆さまにすれば。
もう一度。
自由への讃歌
音楽、絵画、彫刻、建築、そして詩。
これらは皆アートだと僕は思っている。
僕は詩を書くとき、音楽を聞いてインスピレーションを得るんだ。
例えばジャズ。
クラシックも好きだけど、20世紀のスイング、モダンジャズが特に好きで、これを聞くと頭の中に一枚の絵画が完成する。
具体的なものから、だいたいは抽象的な、あるいは記号のようなものが頭に浮かび、それをスケッチするんだ。
スケッチしたものを今度は紙に起こす。
それは抽象画になったり、詩になったりする。
躍動感を得る。
「芸術は爆発だ」とはこの感覚だろう。
逆に僕は風景や自然をアートにすることは非常に苦手で、ただ目に見える美しさというのは表現が困難だと思う。
美しい写真を見るのと、風景画を見るのとでは違う、そんな感じだ。
でも、不思議なことに20世紀のモダニズム建築や古風な住居などを見るとアートの感覚が再び沸き上がってくる。
建築は立派なアートだ。そこで生活する人々を魅了する、設計家たちの感性が詰め込まれた魔法の箱のようなもの。
だから、休日はモダニズム建築巡りの社会科見学ごっこをして楽しんでいたりする。
建築で僕がいちばん好きなのはコンサートホール。
たくさんの観衆の前でグランドピアノを弾くピアニストは圧巻だ。
僕が敬愛している亡きジャズピアニストのオスカー・ピーターソン氏に是非「自由への讃歌」を演奏していただけるなら、そんなコンサートホールで聞きたいと思う。
世界はアートで溢れている。
人々は常に芸術に惹かれ、芸術を創造し、芸術を探求する。
映画や本の世界もそうだ。
チャップリン、キートン、ヘミングウェイ、メルヴィル。
僕も本や詩や絵画を楽しむそんな一派だ。
さあ、今日は何を創造ろうか?
アクエリアス
自動車に乗って、ご機嫌な様子の君。
毎日電車に揺られる僕の気持ちなんて知らない。
水瓶座が全てを終わらせてくれると信じている。
町中に水瓶座のマーク。
僕の顔にも水瓶座。
おぞましい記号。
封印が今解かれたんだ、王がやってくる。
僕を噛み殺す。君も噛み殺される。
ざまあみやがれと笑ってやろう