John Doe(短編小説)

Open App
3/27/2023, 4:53:28 AM

ただそこにある青


空が青い。

でも、空気中は汚染物質が漂っている。

海も青い。

でも、人は海の中で生きてはいけない。

地球は青い。

でも、あの青の下では血が流れている。

ただそこにある青。

何も知らなければ、本当に綺麗な青。

でも、それは残酷な青。

3/26/2023, 12:39:04 AM

コールド・マン


『嵐が起きたようだ』

大都市に住むコヨーテのように、私は孤独だった。
いつの間にか嵐がやって来た。
遠い地球の裏側で、嵐は人々の生活を奪っている。
それでも世界はまわる。
絶えず太陽と月は追いかけっこをする。

『それでも世界は美しい』

私は憂鬱だった。
そして、冷酷。
自分のことにしか興味がない。
他人を思いやる気持ちなど、持ち合わせていない。

『コールド・マン』

孤独は冷酷にさせるのだろうか。
冷酷が孤独にさせるのだろうか。
私にはどうでもいいことだ。

『腹が減った』

夜食は買ってきたまずいサンドイッチとコーヒー。
野良猫の糞尿の臭いがする部屋。
レディオヘッドのベストアルバム。
タバコを吸う。

『特別な存在になりたい』

考えてみたが、人生は退屈なゲームだ。
これといって楽しいことはほとんどない。
それでも社会の奴隷のように奉仕活動。
生きてくため。

『生きてくためさ』

私は、負け組。
少なくとも幸福とは程遠い生活。
私が知らないだけで世の中はもっと悲惨だろう。
死ぬのは馬鹿馬鹿しい。

『死ぬのは馬鹿馬鹿しい』

指をピストルの形に折り曲げて、こめかみを撃つ

3/25/2023, 2:20:45 AM

通常運行


私は極めて冷静だった。
体調は整っていたし、腹は減っていなかった。
しっかり眠れたし、これといって問題は全くない。

ただ、目の前に広がる光景だけは受け入れ難い。

赤。

部屋一面真っ赤の。

それは本当に美しく、残酷な通常運行。

3/24/2023, 8:24:09 AM

大人の夢


大人になれば、何でもできると思っていた。
誰もがたくましく生きていけると思っていた。
大人は本来完璧なはず。

でも、そうじゃなかったみたいだ。

憧れていた酒は気持ち悪くて飲めなかった。
憧れていたタバコは何もカッコ良くなかった。
免許を取っても車になんか乗りたくなかった。
異性と恋をしても疲れるだけだった。

鏡を見てみろ。
目の前のやつれた、弱々しいその姿がお前が夢見ていた『大人』だ。
日々のストレスを引きずり。
引きこもるようになり。
何もかもが破綻した今のお前は。
今のこの自分が、大人だって?

悪い冗談じゃないのか?
本当の自分はまだ幼い子供で、きっと悪夢を見ているに違いない。

なあんだ、ただの夢だったのか。

こんなヤツが、ぼくのはずじゃない。

ぼくはまだ、こども。
そうだよね。
そうだといってよ。
ああ、はやくがっこうにいかなきゃ。
せんせいが。ともだちが。
ぼくをよんでる。

だれか、たすけてくれ

3/22/2023, 11:12:39 PM

もう一度生まれてきたら


もう一度生まれてきたら
まず君に会いたい
もう一度生まれてきたら
悲しませたことを、謝りたい
もう一度生まれてきたら
今度は前よりもっと優しい人になりたい
もう一度生まれてきたら
私を支えてくれた人達に感謝したい
もう一度生まれてきたら
自分の限界を決めつけず、ただ前進したい
もう一度生まれてきたら
空が青くて、星が輝いていたことを確かめたい
もう一度生まれてきたら
もう一度生まれてきたら
君を傷つけずに、守ってあげたい

だから、私にもう一度チャンスをください。

Next