John Doe(短編小説)

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大人の夢


大人になれば、何でもできると思っていた。
誰もがたくましく生きていけると思っていた。
大人は本来完璧なはず。

でも、そうじゃなかったみたいだ。

憧れていた酒は気持ち悪くて飲めなかった。
憧れていたタバコは何もカッコ良くなかった。
免許を取っても車になんか乗りたくなかった。
異性と恋をしても疲れるだけだった。

鏡を見てみろ。
目の前のやつれた、弱々しいその姿がお前が夢見ていた『大人』だ。
日々のストレスを引きずり。
引きこもるようになり。
何もかもが破綻した今のお前は。
今のこの自分が、大人だって?

悪い冗談じゃないのか?
本当の自分はまだ幼い子供で、きっと悪夢を見ているに違いない。

なあんだ、ただの夢だったのか。

こんなヤツが、ぼくのはずじゃない。

ぼくはまだ、こども。
そうだよね。
そうだといってよ。
ああ、はやくがっこうにいかなきゃ。
せんせいが。ともだちが。
ぼくをよんでる。

だれか、たすけてくれ

3/24/2023, 8:24:09 AM