秋、大好きだよ。
四季のある、この国で
それぞれの空の青や雲の形が
あるけれど。
私は、秋が大好きだよ。
葉が色付き
落葉となり
道を彩る。
黄金の稲穂は
重く首を垂らし
実り揺られて
刈り取られ、また命を繋ぐ。
秋桜は背丈を伸ばし
風に煽られても尚、強く咲き
燕は南国へと帰ってゆくね。
日々、変わりゆく景色は
美しく…
言葉では紡ぎきれない
そのものを、どうか見に行って欲しい。
そうして、触れて包まれて
貴方も、秋色に染まりますように。
【お題:秋🍁】
早く眠りたいのに
勢いよく降り始めた雨の音と
激しい稲光り
そして時折
窓を震わすような雷鳴が
私の心をざわつかせる。
この雨が過ぎれば
夏は押し流されるように去り
秋が始まるのだろう。
そんなことを、ぼんやりと
考えながら
スマホに手を伸ばすと
LINEの通知が表示されている。
「雷、うるさくて寝れねーわ笑」
ぶっきらぼうな、短文が彼らしい。
「同じく…笑」
と、返すとまた直ぐに既読が付いた。
そうして、いつものなんて事ない
やり取りをしていると
ざわついた心は穏やかになり
瞼がどんどんと、重たくなってきた。
「なんか、あんたとLINEしてたら
急に眠くなったわ。おやすみー」
それだけ送信して、私は眠りについた。
まだ、何も気付いていなかった
夏の最後の夜の出来事。
これから彩られてゆく、何もかもを
知らずに。
【お題:秋恋】
カレンダーには
よほど、大事な用事以外は
書き込むのをやめた。
空白の少ない、スケジュール帳も
鞄から放り出した。
文字の羅列に、縛られて
カレンダーやスケジュール帳を
見る度に、時間を逆算して
息が苦しくなった。
最初のうちは
それが、自己満足でやり甲斐でも
あったのに。
あの、ビッシリと書き込まれた
カレンダーは、私の自信の無さ…
そのものだったのかもしれない。
真っ黒であるほどに、求められている
ような…自己陶酔の世界。
そのうちに、大事なモノも書き潰して
しまった気がする。
それは、私には合わなかったんだ。
予定はあるけど
いま、家のカレンダーには
空白が沢山ある。
それだけで、なんだか少し
穏やかでいられる。
【お題:カレンダー】
私は、世界に一つだけ
皆んなも、世界に一つだけ
どこを、見回してみても
世界に一つが、溢れている。
同じ景色を見ても
同じ食事をしても
感じかたも、世界に一つだけ。
世界に一つは、特別なことじゃない。
もしかしたらこの世界自体は
『無』みたいなもので
そこに、感情という色彩を垂らすから
波紋のように広がって
何かを感じながら、人は生きているのかも
しれない。
【お題:世界に一つだけ】
踊るように
泳ぐように
舞い上がるように。
生きる為の
生活の動作が、会話が、心が…
そうであれば良いのにと。
同じ天井を眺めながら
何度も、思った。
踊り出すと手を引かれ
泳ごうとすると、波は去り
舞い上がる為の翼は、羽ばたかない。
諦めなさいと重石を
幾つも担がされているような
そんな日も…
私の思考は、とめどなく。
踊るように
泳ぐように
舞い上がる。
【お題:踊るように】