NoName14

Open App


早く眠りたいのに

勢いよく降り始めた雨の音と
激しい稲光り
そして時折
窓を震わすような雷鳴が

私の心をざわつかせる。

この雨が過ぎれば
夏は押し流されるように去り
秋が始まるのだろう。

そんなことを、ぼんやりと
考えながら
スマホに手を伸ばすと
LINEの通知が表示されている。

「雷、うるさくて寝れねーわ笑」

ぶっきらぼうな、短文が彼らしい。

「同じく…笑」

と、返すとまた直ぐに既読が付いた。
そうして、いつものなんて事ない
やり取りをしていると

ざわついた心は穏やかになり
瞼がどんどんと、重たくなってきた。

「なんか、あんたとLINEしてたら
急に眠くなったわ。おやすみー」

それだけ送信して、私は眠りについた。

まだ、何も気付いていなかった
夏の最後の夜の出来事。
これから彩られてゆく、何もかもを
知らずに。


【お題:秋恋】

9/21/2024, 5:14:43 PM