早く眠りたいのに
勢いよく降り始めた雨の音と
激しい稲光り
そして時折
窓を震わすような雷鳴が
私の心をざわつかせる。
この雨が過ぎれば
夏は押し流されるように去り
秋が始まるのだろう。
そんなことを、ぼんやりと
考えながら
スマホに手を伸ばすと
LINEの通知が表示されている。
「雷、うるさくて寝れねーわ笑」
ぶっきらぼうな、短文が彼らしい。
「同じく…笑」
と、返すとまた直ぐに既読が付いた。
そうして、いつものなんて事ない
やり取りをしていると
ざわついた心は穏やかになり
瞼がどんどんと、重たくなってきた。
「なんか、あんたとLINEしてたら
急に眠くなったわ。おやすみー」
それだけ送信して、私は眠りについた。
まだ、何も気付いていなかった
夏の最後の夜の出来事。
これから彩られてゆく、何もかもを
知らずに。
【お題:秋恋】
9/21/2024, 5:14:43 PM