貝殻の内側は、なんて
美しいんだろう。
見る角度によって、色が変わり
星のようであり、虹色にも見える。
内側の幾重もの薄い層の反射と
光の反射、反射光同士が干渉して
出来るのだとか。
軽く調べた、浅知恵だから
間違いも多々あるかもしれないが
反射光同士が干渉するという点が
気になった。
まるで、人間関係のようだなと。
お互いが、存在してこその
美しさが続く時もあれば
逆に、弱めてしまうこともあるのだ。
手のひらの、小さな宇宙を浜辺に
そっと戻し…目の前に広がる海を眺めた。
この浜辺に散らばる無数の貝は
なんて、ちっぽけなのだろうと…
目に見えぬ、海の底には
まだ、知らない宇宙が無限に広がっているのだ。
【お題:貝殻】
心の灯火。
その炎は、熱いのか冷たいのか。
揺らぎは、心の動揺なのか
灯火が消えてしまえば
それは、死…なのか。
考え方も、捉えかたも
千差万別で、良いものなのだろう。
青い炎は、温度が低いようで
最も高温だと聞いた。
私の炎の受け皿には
受け止め切れそうにないなと思った。
そんなに、燃えてしまっては
身体ごと焼け焦げてしまいそうだ。
いまは、ただ
細く長く燃え続けていられたら
それでいい。
どれだけ、体勢を崩しても
消えぬ火であれば、今はいい。
燃えかすと、揶揄されても
揺らがぬ芯が 私にはあるのだから。
そう、信じている。
【お題:心の灯火】
好きな香りに包まれて
ただただ、ゆったり眠りたい。
誰かのために装う世界に
この香りは、持ち込みたく無い。
香水は、自分の為に
使いたい。
いまは、そんな気分。
【お題:香水】
言葉はいらない、ただ…
大好きな景色を眺めて
ゆっくりと、時間が過ぎるのを
噛み締められたら…私は幸せ。
毎日、顔を合わせても
口から飛び出す言葉が、私を
傷付けるような人なら
1人の方がいい。
言葉なんて、最初から無い方が…いい。
一方的な攻撃だと
そういう人は、いくら伝えても
気付かない。
自分は、傷付かないから気付かない。
だから、言葉はいらない。
ただ…私の時間を邪魔しないで。
【お題: 言葉はいらない、ただ…】
8月は、ドタバタと通り過ぎ
お盆前から、初めての流行病が
我が家に蔓延した。
気がかりが、亡くなった父の墓参り。
とはいえ、亡くなって20年は経っている。
生きていたら、まだ60代。
それでも、盆が近付き秋が訪れる前には
再々脳裏を父がよぎる。
手を合わせたい以上に、会いたいという
想いが溢れてくる。
そうして、やっと会いに行ってきた。
県内にも関わらず遠い。
県境の山奥にある、寂れた墓地。
ひと通り、子どもたちが
手を合わせたあと
子どもたちは、少し離れた場所に行き
私に時間をくれる。
無礼かもしれないけれど、許してねと。
墓の前に座り込んで
何をするでもなく、墓を見上げる。
備えられていた、花の枯れた葉を少し
手入れしながら
無言と無音の時間を過ごす。
幾つになっても
親子だから、言葉は不要なのかもしれない。
線香と共に、タバコを取り出し
ゆっくりと2本吸った。
これが、例年のお墓参りだ。
私は、父の前で子どもに戻り
少しだけ寂しさを噛み締める。
また、来るねと墓を撫で
幾度か振り返り。
「お父さん」と、声に出す。
【お題:やるせない気持ち】