NoName14

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8/18/2024, 3:10:54 PM


時間に追われた生活で
マジマジと、鏡を見るなんて
事はなかった。

化粧をしても、髪を整えても
それは、仕事に行くためだけの作業で
鏡に映る自分のパーツが
変じゃないかどうかの確認を
していただけだった。

けれど、自分を「見る」という事は
大切な事なんだ。

嫌いとか、見たくないとか
関係なく。

見ることで「知る」ことが出来るし
知ることで「必要な物事」が
分かったりもする。

疲れてるね。休もうかとか。
じゃあ、どんな休養が良いかなとか。

鏡が伝えてくれる情報は
中々に侮れないサインのひとつなのだ。


【お題:鏡】

8/15/2024, 1:19:31 PM


夜の海よ、私を呼んでくれ。

私を強く強く呼んでくれ。

引きずりこむように
荒々しく、恐怖も何もかも
考えられなくなるぐらい

そんな、潮騒じゃ足りないんだよ。
甘いんだよ。

私には、優し過ぎて
今日の大潮でも、まだ逝けない
じゃないか。

さらってよ。
あの人をのみこんだみたいに。
奪ってよ、この痛みから解放されるように

月明かりを、泣きながら睨みつける。
月がキレイだなんて、誰が言ったんだ。


【お題:夜の海】

8/13/2024, 10:58:55 PM


心は、思っているよりも
頑丈で
痛みや、悲鳴を無視しても

身体に、引っ付けておけば
見失うはずも無いと

そう思っていた。

油もささず、休憩もとらず
ギィーギィーと歯車が軋み始めても

「まだ、大丈夫」と
心と身体が、どれだけ重たさを
感じても動くのだからと
過信していた。

そうして、壊れてはじめて知る。

心と身体は、ひとつであったこと。
一度壊れた物を
組み立て直すのは簡単ではないこと。

心が壊れると、身体が壊れる。

けれど、日常を失っても
世界はそれを気にはしてくれない。
壊したのは、お前だろうと。
だからなんだ、働けと。

馬鹿みたいだなぁと、思いながら。
もっと馬鹿だった自分の為に
少し泣いた。


【お題:心の健康】

8/6/2024, 12:20:37 AM


鐘が鳴ると、厄災が起こる。

小さな村の住人たちは
その言い付けを、代々守り続ける。

幼い頃から刷り込まれた
鐘に近づいてはいけないの
鐘を鳴らしてはいけないの
皆んなが不幸になってしまうのよ。

誰もが、何故?という
疑問を抱かない。

きっと、命と引き換えになっても
誰も鐘に触れないのだろう。

そうして、恐れていた事が起こった。
村に疫病が流行り
慎ましく生活してきた村人に
薬なんて買える代物ではなかった。

ただひとつ、あの黄金色に輝く
鐘を売り払う以外には
生き延びる選択肢はなかったのだ。

そうして、村は村人ごと
滅びてしまった。
あの鐘だけを残して。

その鐘すら、どこの誰かが盗んでいった。

厄災は起きなかった。
ただただ、村人たちは自分の中に
巣食ったあの鐘の呪縛を
ふり払う事が出来なかったのだ。


【お題:鐘の音】

8/4/2024, 11:36:06 PM


つまらないことでも
他にやることが無いなら
手を出してみたら、どうかな。

まだ、夏は続いて
暑過ぎて、やる気も気力も
何か考えるのですら面倒だけど。

やらなきゃいけないことを横目に
クーラーの効いたファミレスで
耳にも入ってこない雑談を
お金と時間とグラスの氷を溶かしながら
過ごすより。

もしかしたら、違う何かが
起こるかもしれない。

何もかもが有限な世界だからこそ
無駄になる時間は、きっと無い。


【お題:つまらないことでも】

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