NoName14

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8/30/2023, 10:48:51 PM


洗練された。
美しい小瓶で
煌めく香水ですら
敵うものはなく。

どんな、香水よりも
あなたの首筋から香る

あの匂いに、私は溶ける。


【お題:香水】

8/29/2023, 4:33:17 PM


母は、イラついたように
広げられたテストの端を指で弾き
深いため息をつく。

点数は悪くなかった。
ただ、満点ではなかった。

『ごめんなさい』

「謝罪は要らないの、結果にして頂戴!」

上司は、イラついたように
私に任せっきりだった資料を丸め
ゴミ箱に投げ込んだ。

資料は、完璧だった。
が、完璧が故に気に食わないようだった。

『すみませんでした』


「気が利かないんだよなぁ、入社何年目よ。
そういうのは、言わなくても察するもんだよ?」


ことば、言葉、要らないもの。
結果を出せば、気が利かないと言う。
何も言わなければ、ヒソヒソと
誰かが囁いている。

だけど、私は…

神様、次に生まれてくるときは
どうかどうか…言葉の要らないモノに
変えてください。
言葉を交わさずに、愛されるような
そんな世界があるのならば。

『人間』である、必要はきっとないから。



【お題:言葉は要らない、ただ⋯】

8/28/2023, 4:18:38 PM


高く積み上がった書物に埋まるように
黙々と必要な情報を追いかける。

西陽が少し眩しいなと…
ふと、顔を上げると君が居た。

束の間の沈黙。

『相変わらず、すげぇ集中力だな』

彼は、少し呆れたように
ぐーっと伸びをして
そのまま高く上げた手で私の頭を撫でた。

『相変わらず、ボサボサだ』

私は、ぼろぼろとこぼれ落ちる涙も
ここが図書館であることも
高く積み上がった書物も何もかも
忘れて、目の前の彼に抱きついた。

「来週って…帰るの来週って…」

優しく包み込むように、背中をさすって
くれる彼は

『けど、もっと早く会いたかったから』

と、静かに囁いた。


【お題:突然の君の訪問。】

8/27/2023, 11:10:37 PM


ぼちぼち、良い歳になる。
家庭を築き、母親になり。
歩幅の合わない、パートナーとも
連れ添って10年…14年にもなろうと
している。

ひとりになりたい。

ふと思い立ち、雨降る夜、外に出る。
傘も要らぬほどの小雨。

遠くの空では、雷が光っている。
あの雷が一瞬にして
私の元まで走り稲妻を落とす確率は
どれくらいだろうか。

バカな空想だ。きっと私は疲れているんだ。
だけどもう少しだけ、ひとりでいたい。

小雨がいつの間にか
大粒の雨に変わり、アスファルトを
強く打つ。

その中で、私はひとり、雨に佇む。


【お題:雨に佇む】

8/15/2023, 2:20:23 PM


波音だけが世界を包む
夜の海で

孤独で、居られるこの瞬間が
心地よかった。

きらびやかな、夜の街に潜む日常から
解き放たれる。
この闇が、私には優しい。

誰よりも高い高い場所で
眩し過ぎる照明とライトを浴びて
眠らぬ街から、私は離れた。

限りある人生と、夜の海。
どうやって生きて行こうか
彷徨える…それが、いまの幸せ。


【お題:夜の海】

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