高く積み上がった書物に埋まるように
黙々と必要な情報を追いかける。
西陽が少し眩しいなと…
ふと、顔を上げると君が居た。
束の間の沈黙。
『相変わらず、すげぇ集中力だな』
彼は、少し呆れたように
ぐーっと伸びをして
そのまま高く上げた手で私の頭を撫でた。
『相変わらず、ボサボサだ』
私は、ぼろぼろとこぼれ落ちる涙も
ここが図書館であることも
高く積み上がった書物も何もかも
忘れて、目の前の彼に抱きついた。
「来週って…帰るの来週って…」
優しく包み込むように、背中をさすって
くれる彼は
『けど、もっと早く会いたかったから』
と、静かに囁いた。
【お題:突然の君の訪問。】
8/28/2023, 4:18:38 PM