ネットショッピングは簡単だ。欲しいと思った商品を、値段と相談の上カゴに入れて注文するだけ。
タイムセールなんてあった日には奮発するし○○円で送料無料に釣られて一品二品と品物が増えてゆくこともよくある。
三日に一回はネットショッピング。
欲しい物は尽きないし、なにより選んでいるときが楽しいのだ。
でも、ある日知人に言われた。
「それって届いた物ちゃんと開けてる?」
「え? 開けてるよー」
その場ではそのつもりでそう答えたけど、帰った後ダンボールだらけの部屋でハタと気づく。
「あれ? 開けただけで中身出してない…」
あの箱もこの箱も、開けてはあっても中身がそのまま。使ったことなんか一度としてない。急いで中身を出してみると。
「…………。
どうしてこんなに買っちゃったかなー……」
いつ着るのか、いつ使うのか、いつ読むのか。気づけば一人には多すぎる服やバッグや書籍の山が出来上がっていた。その時は確かに欲しかった物も、今はそれほどでもなくなっているのがつくづく不思議だった。
(あれ? これってヤバい?
買い物依存症ってヤツ?)
こうして私は我に返って、以降ネットショッピングは必要最低限にするようになった。買ったものの大半はセカスト行きで二束三文。ただお金を捨てていただけだったのだ。
その頃は会社をストレスで辞めたばっかりで色々不安定だったことも手伝ったのだと思う。
ネットショッピング。
お手軽だけど、だから、こわい。
夜に見る夢の終わりはいつも唐突だ。いい夢ほど現実に返るのが早い気がする。まだ夢を見てたかったのに気づけば夢のカケラしか残らない。次の日に夢が持ち越される訳でもなし。
そういうとき、私は落胆と共に諦めてさっさとベッドから起き上がる事にしている。
けれど、本当は。
出来れば夢を見てたい。
ずっと、ずっと。
冬の休日。
遅めに起きてカーテンを開けると、晴れた日は差し込んでくる陽の光。
その暖かさに、穏やかな冬晴れの一日に、ずっとこのままでいて欲しい、と思う。
なのに、日暮れなんて来なければいいのに、午後の3時辺りからもう日差しは黄昏の気配。そうして4時半をすぎる頃には、お日様は山の中に隠れてしまうのだ。
永遠の時間というものは、人の記憶の中にしか存在しないものなのかもしれない。
冬はつとめて、と言うけれど、冬の朝はともかく寒い。
薄紫色の明け方の空。月も星も冴え冴えと澄んで、凛と浮かぶ夜明けの空気は見てる分にはキレイだけど、一歩外に出たらえらい目に合う。どんなに防寒をきっちりしても、靴のつま先から手袋の指先から、マフラーの上白い息を吐いた口から頬から顔から、一気に体の芯まで氷漬けにされてしまう。
なのに、私は時々、冬の晴れた夜明け前に外に出る。
寒さが身にしみるだけしみて、景色どころじゃないのに、その空気を肺いっぱいに吸い込んで少しむせるのがお決まりになっている。
そうして、山の稜線を染めて顔を出す朝日の例えようもない光の美しさに見惚れるのだ。
元日でもないのに冬の朝に早く起きるのは、一重に、その、冬の朝日に魅了されてしまったからかもしれない。
色々後ろ暗いことがあって、20歳の式典へは行かなかった。
ただ、着物は着てみたくて、写真屋でレンタルして写真だけは撮った。
その日の夜、家族に見守られながら初めてのお酒も味わった。お猪口に一杯の甘口の日本酒。
喉越しのいいそれが、じんわりと熱をもって胃の中に落ちてゆく。
大人って美味しい。
今、選挙に行ける歳は十八歳に引き下げられたけど。それでもトクベツ。
20歳の日。