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 冬はつとめて、と言うけれど、冬の朝はともかく寒い。
 薄紫色の明け方の空。月も星も冴え冴えと澄んで、凛と浮かぶ夜明けの空気は見てる分にはキレイだけど、一歩外に出たらえらい目に合う。どんなに防寒をきっちりしても、靴のつま先から手袋の指先から、マフラーの上白い息を吐いた口から頬から顔から、一気に体の芯まで氷漬けにされてしまう。
 なのに、私は時々、冬の晴れた夜明け前に外に出る。
 寒さが身にしみるだけしみて、景色どころじゃないのに、その空気を肺いっぱいに吸い込んで少しむせるのがお決まりになっている。
 そうして、山の稜線を染めて顔を出す朝日の例えようもない光の美しさに見惚れるのだ。

 元日でもないのに冬の朝に早く起きるのは、一重に、その、冬の朝日に魅了されてしまったからかもしれない。

1/11/2023, 11:41:10 AM