「ただいまぁ!」
元気よく玄関を開けて家の中に入ると、部屋の奥からバタバタと音がして廊下に恋人が現れる。
そのまま走って俺に向かって飛びついた。
「おかえりなさい〜」
パァっと花が咲き誇る。そんな笑顔だった。
そして俺は彼女を抱きしめる。
この温もりが愛おしいんだ。
なにより、辛い時に彼女の体温を感じると、なんか落ち着くんだよね。
少しだけ雰囲気が悪い時でも、必ず帰った時に抱きしめると、彼女の方が大切だと思って嫌な気持ちが飛んでいっちゃうんだ。
たから、これが俺たちだけのルール。
おわり
七〇八、ルール
よくない、よくないぞ。
今日はダメな日だな。
こういう時は気晴らしするに限る。
俺はスマホを取りだして恋人に電話をかけた。
『もしもし、どうかしましたか?』
「あ、ごめんね。お願いがあってさ」
『私でよければ喜んで!』
元気な声でそう言ってくれる彼女に嬉しくなる。
「あのね。元気、分けて」
『お安い御用です!!』
少し間をおいて、スゥと空気を入れる音が聞こえた。
『大好きですよ』
そっと囁かれる甘やかな声に耳が一気に暑くなった。
てっきり大きな声で応援されるかと思ったんだ。
だからこの声は予想外で、ドキドキしてしまった。
「ありがとう。めちゃくちゃ元気出た」
ホント、単純なもんだ。
おわり
七〇七、今日の心模様
彼を本当に想っていた人がいるの、私知ってた。
でも、ごめんなさい。
たとえ彼が私を選んだことが間違いだったとしても、私は彼を譲れそうにない。
そんなことをぼんやりと彼に伝えたら、両頬を横に引っ張られた。
「俺が君を選んだのは間違いじゃないよ。ふたりで幸せになればいいんだからね!」
そこで見せてくれた彼の笑顔は、私の大好きな太陽のような眩しい笑顔だった。
おわり
七〇六、たとえ間違いだったとしても
悲しい時にこぼれ落ちて、嬉しい時にもこぼれ落ちる。
そして今、私は幸せで雫が頬をつたう。
腕の中で精一杯泣いている声に安心を覚えて、自然と口角が上がる。
産まれてくれて、ありがとう。
あなたのお母さんにさせてくれ、ありがとう。
これからよろしくね、私たちの天使。
おわり
七〇五、雫
大好きな人と気持ちを通わせることができた。
嬉しくて身体が軽い。
一緒に心も軽くて踊り出しそう。
それくらいの気持ちだった。
こんな幸せ、初めてで。
ずっと胸が暖かくて、もう何もいらない。そんなふうに思ってしまった。
あ、違う。
何もいらないなんてない。
私は彼と気持ちを合わせてより欲張りになったの。
もっと、頑張って幸せになるんだ。
おわり
七〇四、何もいらない