私はお腹をさする。
ほんの少しだけふっくらしてきて、思わず頬が緩んだ。
ここには彼との愛し子がいる。
小さな命がすくすくと育ってきている。
色々と大変な時はあるけど、ようやく宿った命だ。
私はまたお腹を撫でる。
神様へ。
愛しい彼との子供を授けてくれて、ありがとう!
おわり
六九八、神様へ
恋人が不機嫌だ。
そう見せないように笑顔でいてくれるんだけど、どこか引きつったように見えて不安がよぎった。
んー。
遠慮しているわけじゃないのも分かるんだけどね。俺としては頼って欲しい……かも。
「ねえ。ドライブしない?」
彼女は首を傾げるけれど、俺は車のキーを片手にしながら彼女の手を掴んだ。
俺が凹んだ時に見に行く空を見に行こう。
彼女が同じように心が晴れるとは限らないんだけどさ。空を見ながら彼女の話を聞こう。
話しにくいなら空を一緒に見ればいいんだ。今日みたいな雲ひとつない空はるだけでも心地いいしね。
ただ、ずっと一緒にいるよってだけ伝えれば。
おわり
六九七、快晴
仕事のストレスが溜まると、青空が見たくなって高層ビルの展望フロアまで足を運んでしまう。
空の広さに自由を感じて感動するんだ。
重くなっていた心が晴れて行く気がして、空の近くに行きたくなる。
俺の仕事はお医者さんだから、失敗は基本できないんだ。
でも、ままならないことが溜まれば心が疲弊する。
そういう時に展望フロアがある高いビルに遊びに行った。
地上にいても遠い空。
全然届きはしないけど、それでも手を伸ばしたくなるし、近いところに行きたい。
でもさ、最近ちょっと違うんだよね。
好きなものがやたら被っている子がいて、最近よく話す。
「あの子になら……一緒に見たいかもな」
なんでだろう。
そうは思うけど、その疑問には見ないふりして空を見続けた。
おわり
六九六、遠くの空へ
どうしよう。
彼女からの返事が嬉しくて何も言えない。
うっかり伝えてしまった心の奥にしまっていた気持ち。それに彼女は応えてくれた。
どうしよう。
嬉しい。
手を伸ばして彼女の頬に触れる。
俺の手に彼女の手がおおって、頬を擦り寄せてくれた。
頬を赤らめながら笑う彼女は今まで見た中で一番可愛いんだから、本当にズルいよ。
おわり
六九五、言葉にできない
桜舞う季節。
花より俺の視線を奪う彼女がニコニコしていて、それだけで嬉しくなる。
「あ、こんにちはー!!」
彼女は俺を見つけて、小走りで近寄ってくれる。それがまた可愛くて頬が緩みそうになるのを何とかこらえた。
「こんにちは」
見つけてくれたのも嬉しいんだよね。
こんな表情を見ていると更に笑顔が見たくなって、さっき買ったばかりの炭酸飲料を差し出した。
「これあげる〜」
「なんですか?」
ペットボトルのラベルには俺と彼女が好きなクリームソーダが描かれている。それに気がついた彼女は花が咲き乱れるように笑ってくれた。
おわり
六九四、春爛漫