紆余曲折って言葉がある。
その言葉通りに色んなことがあって、一緒に暮らしていた彼女と家族になれました。
俺の記憶では彼女とケンカをしたことはないけど、怒られることや怒ることは何度かあった。
回数を増すほど注意は減って、一緒に笑って、抱きしめ合う時間が増えていったから、これで良かったんだなーと思う。
まだまだ旅路の果てとは言いきれないけど、俺ひとりの旅路は終わりだ。
先を歩いていた愛しい彼女が、くるりと振り返る。
太陽の光を背負って逆光になっているけれど、満面の笑みを浮かべているのが分かった。
これからは、彼女と共に旅を始める。
おわり
六二五、旅路の果てに
「これは……」
目の前にあるのはクリームソーダのサンプル写真。
よくある緑色の炭酸にバニラアイスが乗っているものではない。
薄い水色の炭酸にバニラアイスが乗っていて、細長い楕円形のホワイトチョコレートのプレートが左右に添えられてウサギさんみたいだ。
可愛い。
私の脳裏には気になる彼が過ぎった。
太陽のように笑うクリームソーダの大好きな彼。
私は写真を撮り彼へメッセージを送る。
『新しいクリームソーダを発見しましたよ!』
もしかしたら知っているかもしれないけど、知らないなら大切な情報だ。
喜んで、くれるといいな。
おわり
六二四、あなたに届けたい
最近よく、あの子の顔がちらつくんだ。
彼女と同じく大好きなクリームソーダを買う時。
雲一つない真っ青な空を見かけた時。
彼女の仕事場を視界に入れた時。
どうしても、彼女の笑顔がちらつく。
ひとり寒くて、疲れて、寂しくて。
笑顔になれない時に限って、偶然の糸が紡がれて彼女の笑顔を見ることがあるんだ。
一回じゃなくて。
そういう回数が続くと自然と彼女を捜しちゃう。
彼女を思い出すと胸が暖かくなる。
自然と笑顔になっちゃうんだ。
彼女のことは、きっともう特別なひとなんだ。
おわり
六二三、I LOVE……
未来を掲げて、私は足を進める。
荷物は最低限だけ。
あとは新しい街で新しい自分で生きるんだ。
そう決めて飛行機から降り立ち新しい街にたどり着いた。
初めて感じる空気に胸が高鳴る。
ここには今までの私を知る人は居ない。
私も知らない私になるんだ。
顔を上げると雲ひとつない真っ青な空が広がっている。
私は期待に胸をふくらませて新しい街へ一歩踏み出した。
「どんな未来があるのかな」
おわり
六二二、街へ
彼の優しさは残酷だ。
誰にでも優しくて人たらしだから、独りになった人にとってその優しさは彼に特別な想いを宿らせてしまう。
なにより私も特別な想いを寄せてしまった。
胸の奥にしまい込んでいるけれど、そろそろ溢れそうになっている。
他にも想いを寄せている子がいるのも知っているの。
だから。
彼を困らせたくないから。
彼への気持ちを胸の奥に隠して、なにも無かったように笑うの。
彼が寂しそうにしていたら、トモダチって笑うの。
でもね。
誰にでも優しくしている姿を見て胸が締め付けられる時があるんだよ。
おわり
六二一、優しさ