「どうして……」
冷や汗が落ち、首筋を流れる。
言いようもない緊張が私と恋人の間に走った。
「ごめん……」
「ひどいです」
彼の手元にあるのは私がとっておいた大切なプリン。
「ふたりで食べようと思ったのにー!!」
そのプリンのひとつを食べていた。
「お腹すいてたのー、ごめぇん!!」
「ひどいです、ひどいですぅ!」
私は頬を膨らませて彼の背中をパシパシ叩いた。
後日、お詫びのデートでお高級なプリンを食べに行きました。
仕方がない、許します。
おわり
六〇八、とうして
夢見たい。
気になっていた彼と両想いになりました。
色々話し合った結果、一緒住むことになって緊張しつつ、どこかふわふわしている。
ずっとずっと胸の奥にしまっていた気持ちを開けてくれた。
誰にでも優しい人だけれど、ちょっと寂しさ抱えている気がして、彼のそばに居たいと願ってしまったの。
そんな夢を見ていたい。
そう思っていたけれど、彼のことを本気で好きだと言う人がいることを知っていた。だから私は心に鍵をしていたの。それを開けてくれたんだ。
胸が苦しかったけど、開放された気がして素直に「大好き」と言えたんだ。
太陽のような笑顔を見ていると自然と言葉にしちゃうの。
「だいすき」
おわり
六〇七、夢を見てたい
彼女と恋人になってそれなりに経つ。
注意したり、注意されたりすることはあってもケンカはしたことないなぁ。
一緒にいて心地良くて……いや、もう離れられるかと言うと、きっと難しいんだよ。
眠る時も彼女がそばにいないとなんか分からないけど不安になる。
ひとりだった時は上手く眠れなかったのに、一緒に住むようになってから眠れないことの方が少ないんだ。
ずっとこのままがいいって、思っちゃうんだよね。
そう、ぼんやり考えてしまうけど何かモヤモヤしていた。
このままでいいわけないんだ。
でも、ずっとそばにいて欲しいから、彼女にお願いしようと思うんだ。
この先も一緒にいてくださいって。
おわり
六〇六、ずっとこのまま
外から帰ってきて、いつものように恋人とハグをする。
「おかえりなさい」
「うん、ただいま」
そんな普通の言葉を交わしたあと、いつもならすぐ離れるんだけれど……今日は全然離れない。
いや、彼女が離れないのは可愛いからいいんだけど、どうしたんだろう?
俺もしっかり抱きしめたまま、彼女の腕の力が抜けなくて彼女を見つめた。
彼女は俺の胸に埋まっていたんだけど、いきなり顔を上げるからビックリする。
「冷たいです」
「外、寒いからね」
そう返すと頬を膨らませながら、さらにぎゅーっと抱きついてくる。
寒さが堪えていたけど、彼女の温もりが幸せな気持ちと一緒に染み渡った。
おわり
六〇五、寒さが身に染みて
俺の恋人は、先に二十歳……成人を迎えていた人。
まあ、年上彼女です。
年上に感じられない無垢さがあるから年齢を聞いた時ビックリしたんだよね。
彼女にどんな時間を過ごしたのか聞いた時、少し寂しそうな顔をして話を逸らされた。
ああいう顔をする時って彼女にとっては聞いて欲しくない時だと理解したんだ。
だから俺が決めていることがある。
あの寂しそうな顔を、絶対にさせない。
……なんて言えないのが悔しい。
だって俺に何かがあって、彼女を独りにする可能性があるんだから。
だからね。
この先も一緒にいてもらうためのお願いを伝えるんだ。
寂しい思いなんてさせたくないからね。
本当の気持ちを言うなら、家族になるだけじゃなくて、子供も望めたら嬉しいな。
おわり
六〇四、二十歳