ソファに横になる恋人。
暑いと言うのにカーテンも閉めずに揺れる木陰の中で眠っていた。
救急隊のお仕事をしてるから、この季節は特に忙しいみたい。だから休みの日くらいはゆっくり眠らせてあげたい。
顔周りは木陰の中とはいえ、窓から日差しが降り注いでいる。
このままでは暑くて寝苦しいかもしれないから、私はカーテンを閉めようと立ち上がった。
ゆっくり休んでね。
おわり
四二七、揺れる木陰
眩い太陽の元、プールで恋人とのデート。
恋人の水着姿も太陽より眩くて、本当に目がつぶれそうです。
スタイルの良い彼女の水着姿を他の男共に晒すのは嫌過ぎるんだけど、今年の水着は胸元に大きなヒラヒラが付いたオフショルダーのワンピースで余り気にならない。
何より彼女は白が似合うから、とてもとても可愛いです。
尊くて彼女に向かって両手を合わせていると怪訝な顔の彼女が首を傾げた。
「どうしたんですか?」
「あ、いや。可愛いからありがたくて」
彼女がほんのりと頬を赤らめてから眉を八の字にして笑う。
うーん、可愛い。
彼女の愛らしさに頷いているとグラりと視界がゆがむ。
熱中症?
このまま倒れるのはまずいと思いながら視界が暗くなった。
――
浮遊感に驚いて、身体中がビクリと動いて目が覚めた。のと同時に俺は床に落ちる。
「大丈夫ですか!?」
周りを見回すと家のリビング。隣にはソファがあるから、ソファから盛大に落ちたのかもしれない。
しかもよく見ると、ソファにはカーテンの隙間から日差しが入ってきる。もしかしたら俺は光から逃げようとして落ちたのかもしれない。
彼女も慌てた顔で俺のそばに来てくれた。
じゃあ、あの水着とデートは……夢?
「あの、大丈夫ですか?」
「あ、うん。大丈夫ソファから落ちたみたい」
彼女に笑顔を向けると、ホッとした顔をしてくれる。
「心配させて、ごめんね」
「いいえ。怪我していませんか?」
俺は身体を動かして痛みがあるか確認をしてみるけれど、特に痛みは感じられなかった。
「大丈夫。痛みはなさそう」
「良かった」
ふわりと微笑んでくれる彼女を見て、夢の中で見た彼女の笑顔を思い出す。
だから俺は彼女に、こう誘った。
「今年はプール。行く?」
おわり
四二六、真昼の夢
新しい部屋には独特の匂いがする。
それがなんとも嬉しい。
私はダンボールを開けて棚に荷物をしまっていく。私自身の荷物はそこまで多くないから、自分の荷物をサッと終わらせてリビングやキッチンを整頓したい。
とは言え、仕事が休めなかった彼が帰ってきてからじゃないと出来ないことも沢山ある。
私は一度手を止めてリビングに足を向ける。
まだまたガラーンとした場所だけれど、明日はここに彼と二人で使うものを買いに行く予定だ。
それが凄く楽しみで口元が緩んでしまう。
今日からここが、私と彼。二人だけの〝場所〟だ。
おわり
四二五、二人だけの。
空を見上げれば容赦のない日差しが降り注ぎ、湿気か更なるデバフとなり、身体中から汗が滝のように流れ落ちる。
「あっっつい!」
俺は持っていたペットボトルのキャップを勢いよく開けてそのままの勢いで飲みものを喉に流し込んで飲みほす。
こんなに一気に飲んでも良くないのは大いに分かっているんだけれど、さすがにこの暑さで喉が渇いてしまって止められなかった。
これ、後でトイレ近くなりそうだなー。
そんなことを考えながら自販機で新しい飲み物を買った。
俺はカバンにペットボトルをしまって、また歩き出した。
俺はスマホを取り出して恋人にメッセージを送る。
『今日も暑いから、熱中症に気をつけてね。飲みものをこまめに飲んでね』
おわり
四二四、夏
やったやったやった!!!
昨日、お医者さんの彼になんとか隠れて、検査して結果を貰ってきた。
同じ病院内にいるから、コソコソ行ったけれどきっとバレなかったと思う。科が違うし、大丈夫……だよね。
彼が返ってくるのを待とう。
嬉しい。
私はリビングのソファに座ってお腹をさする。
お腹はなにか変わっているわけじゃない。それでも大切に大切にさする。
昨日一日だけの秘密だったけれど、彼に真実を伝えるのが楽しみ。
赤ちゃんができたよって。
おわり
四二三、隠された真実