初心者太郎

Open App
10/17/2025, 8:54:04 AM

—受け継ぐ想い—

私の心優しい友人の話をしよう。

「父さんに友達がいたの?」と息子は首を傾げて言った。

ああ、私の数少ない友人だ。その友人は珍しい事に、いつも星図を持ち歩いていた。

「どうして?」此処でもまた、首を傾げる。

彼は自分でそれを作ろうとしたからだ。星が好きでね、その魅力を色々な人に伝えたかったらしい。

「すごい人なんだね」

もちろんすごいさ。そして彼は、見事に自作の星図を完成させたんだ。

「えー!見たい!」

ごめんユミコ。私の部屋からあの星図を持ってきてくれないか。

「ええ、いいわよ——はい、どうぞ」一分程の間の後、妻が渡した。
「うわーすごい!」

すごいだろう。これがあれば星の位置や名前、星座まで全て知れるさ。

「ねぇ、どうしてブツブツがついてるの?」

それは、点字って言うんだ。私のように目が見えない人でも星を学べるように、それがついているんだ。

「その人はお父さんの為に作ってくれたんだね」

ああ。その友人のおかげで、私は星を知れた。それをお前にあげよう。

「いいの?」そう言って、頬に光が差したように笑った。

もちろん。きっとお前も星が好きになる。大切に使ってくれよ。

「やったー!ちょっと星を見てくる!」

気をつけて行っておいで。

友人よ。星図は息子に託した。本当に感謝している。お前が旅から帰ってきたら、是非お礼を言わせてほしい。
どうか、星の下でまた会えますように。

お題:消えた星図

10/16/2025, 2:39:29 AM

—愛の方程式—

最近、妻と会話をする事が減った。結婚してから三十年も経つのだから、仕方ないとは思う。

付き合っていた頃は、いつも何かを話していた。会えない時には、電話越しに夜更けまで会話したものだ。
もちろん、以前のような胸の高鳴りはない。

「なぁ、今度映画館にでも行かないか?」

私は妻をデートに誘ってみた。

「いいですよ。一緒に出掛けるなんて久しぶりですね」

妻はそう言って笑みを浮かべた。

恋という感情はとっくの昔に消え去ってしまった。それでも一緒に居たいと思うのは、愛がある故である。

だからもし『愛 — 恋』という方程式があるならば、その解は愛であると思うのだ。

お題:愛 — 恋 = ?

10/15/2025, 4:37:55 AM

—幸せはもうここに—

子供の頃は病気がちで、よく入院していた。父はお見舞いに来てくれる時に、よく梨を持ってきてくれた。

大人になってから知ったことだが、病気見舞いで梨を持っていくことはあまり良くないらしい。でも私は梨が好きだから、むしろ嬉しかった。

「お父さん、早く良くなると良いね」

私が大人になって、今度は父がよく入院するようになった。

「いつもありがとうなぁ。俺も梨が好きなんだべ」

そう言いながらむしゃむしゃと食べる。
食が細くなったせいで、父の体はだんだんと弱々しくなっていく。

「何か欲しい物があったら言ってよ」
「それなら、アイの幸せな話が聞きてぇな」

まだ冗談を言う余裕はあるらしい。私は父が食べ終わった皿を回収した。

「じゃあまた来週来るから、ちゃんとご飯食べて元気にしててね」
「何で無視するんだべ。まぁいいや、いつもありがとうなぁ」
「うん、またね」

そう言って、病室を後にした。
今度は、私が父に恩返しをする番だ。父が好きな梨をまた買っておこうと思う。

お題:梨

10/14/2025, 2:14:41 AM

—最高のライバル—

親友が、大学進学の為に上京するという。その大学はサッカー部が強い。何人ものプロ選手を輩出している、有名な大学である。

駅の改札口で彼の後ろ姿を見つめていた。

「他の奴らに負けるんじゃねぇぞ」

俺は、小学校の頃から彼と一緒にサッカーをプレーしてきた。だから、周りの誰にも負けてほしくなかった。

「当たり前だ。今度は敵同士で——」

俺は地元の大学に進学し、サッカーを続けるつもりだ。

「また会おうな」
「あぁ。試合であたったらボコボコにするからな」

俺がそう言うと、彼は笑った。
最後に手を振って、彼が見えなくなるまで見送った。

「絶対負けない」

次会う時には、絶対に彼よりも上手くなって見せる。彼と再会できるのを楽しみにしながらも、心は闘志で熱く燃えていた。

お題:LaLaLa Goodbye

10/13/2025, 6:27:24 AM

すみません、後日書きます。

お題:どこまでも

Next