目が覚めるまでに僕は何をするべきだろう。
この透明で透きとおった果のない空間の中、
出来ることはなんだろう。
僕は何をしたいんだろう。
僕が思うことは。
本音は。
目なんて冷めなければいい、そう思ってる。
この世界は。
僕が生きているこの世界は。
97%はとても深くて血みどろで意味がわからなくて難しい。
3%はこの空間と同じ。
何にでもなれるし、いつでも97%へ追い出そうとする。
97%に生きている僕は。
3%に恋い焦がれて依存している僕は。
いつ死んでもいいし、時が来るまで生かされる。
どうせ人生の97%は自分の選択で。
3%は神様が予め僕に与えた人生のデータだ。
くらくらするこの世界で3%に行くためだけに、
朝がもう一度来て瞼が上がってしまったら。
なりたかったわけじゃないけど3%に行くために僕がした、
97%の選択のうちの1つを完結させるため労働者になる。
まだ高校生にさえなりきっていない僕の。
いつまでも少年でいたい僕の。
僕だけの少しの後悔と屈辱と。
僕だけのたくさんの好奇心と少年心を。
楽しそうに笑って話す高校生を横目に噛み砕く。
病室からもうずっと出ていない。
最後に出たのはいつだったっけ。
でも寂しくはないよ。
毎日君が来てくれるから。
僕は覚えてる限りこの病院の敷地から出たことがない。
そういう子はこの病院にたくさんいるけど、
仲良くはなれなかった。
みんな僕より体が強くて僕よりいろんなことができた。
僕にはできないことがたくさんあったから誰も仲間に入れてくれなかった。
昔から僕を看てくれている看護師さんがいた。
その人はずっと僕の担当だった。
最近はなんだか悲しそう。
僕は病院の子と仲良くなれなかったけど、
君は僕を見つけてからずっと仲良くしてくれてる。
初めて次の日が来るのが楽しみになって
初めてずっと起きていたいと思った。
そのくらい君が大好きだよ。
早く来ないかなぁ~
「おはよ、来たよ」
そうやって笑う君が早く見たくて、
たくさんの管に繋がれた体が今日もそわそわして落ち着かない。
だから、一人でいたい。
って言ってたの。
彼はそうやって僕から離れていったの。
僕は一人でいたいけど、
1人でいたくないの。
だからお願い。
僕の純美が壊れるまででいいから、
手を離さないで。
澄んだ瞳。
君の目は澄んでいるねって言われたことはないが、
心のなかで街ですれ違う人と目が合うときに口に出しそうになることがある。
基本的に人と至近距離で関わることが苦手な僕は自分から話しかけに行くことができない。
怖いのだ。
普通の人たちの輪に入るのも、
自分が普通になってしまうのも。
でも魅力を感じた人のそばに行きたいと思うし、
話したいと思う。
だがそれはいつだって周りの人と少し違うなと思う人だった。
髪色でも、
目の色でも。
中でも目というのは僕の大好物だった。
キラキラした目。
緑色の目。
ハイライトの入らない黒い目。
ずっと見つめていたくなる。
だから僕は僕が好きだ。
特に僕は僕の目が好きだ。
僕の目にはハイライトが入らない。
写真なんかはいつも暗く映る。
でも近くで見れば栗色のきれいな目だ。
きっとこれを知っているのは僕と、
これを読んでしまった貴方だけだ。
僕らだけの秘密ですよ?
神様が舞い降りてきて、こう言った。
「 」
僕の耳はそれを拾えなかった。
僕の世界はずっと無音だ。
僕はそれが嫌じゃない。
哀れみも慈悲も僕には必要ない。
もちろん神様だって必要ない。
あぁ~、、、
眠たい。
寝よ。
おやすみ神様。
神様が舞い降りてこない明日が来ますように。