ほたる

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3/24/2025, 2:19:17 PM

大切な人の明日を信じられたことは、一度もない。

また明日、ほど保証のないものもないと思う。
人は日々生きていて、ひとりひとりにそれぞれの時間が流れていて、その中で終わる命もあるのに。人はどうして明日も会えるだなんて簡単に信じられるのだろう。きっと愛する人の明日を信じるのが正解で、3時間後には生きていないかもしれない、と思う私はきっと頭がおかしいのだ。

昔から何かに執着して生きていた。
服、音楽、友達、恋人。
しっかりと認められた状態でなにかを愛していないと、生きていけなかった。

そんな私の人生にも、6ヶ月間だけなにもない時間があった。

何にも縛られず、愛さず、依存しない日々は全てから解放されたようで、ああ、こんなにも羽が生えたような気分で生きていけることがあるんだなと思った。
だけど私はその期間、全ての気持ちを飲み込んでいたように思う。愛さないということは、きっと私にとって全ての気持ちをぼかすということだった。
25年というまだ短い、そしてこの先長い人生だが、きっともう何も愛さない時間はもう二度と訪れないと思う。
あの時間には羽が生えていたけれど、私にはその羽で、一人で空を飛ぶ力はなかったのだ。

だから私は今日も、愛する人に手を振るたびに、着信の切れる音を聞くたびに、心の中身を覗くたびに、思う。

もう二度とないのかもしれないのに、私はどんな顔でどんな声で笑えばいいのだろう。

3/23/2025, 3:08:05 PM

3/23日。
今日の天気、曇り。

曇り空を見ると、心がざわめく。
晴れた空を見上げたところで元気が出るようなことはないのに、なんだか釣り合いが取れないというか、おかしな世界だなと空を見上げながら私は思った。
雨が降るかもしれないから、と朝のニュースで天気予報で確認したのに折りたたみ傘を忘れてしまったので、できれば雨は降らないでほしい。

昨日はあまりいい日ではなかった。だからあまり寝付けなかったし、今朝も気分が良くなかった。人の心というのは難解で、些細なことを喜べる日もあれば逆に同じ出来事でも過敏に悲しみに満ちてしまう日もある。
昨日に引き続き、今日は全てが哀しく見える日だ。

駅前のレストランで昼食を取る家族、犬の散歩をしているおじいさん、公園で遊ぶ子供達。全員が穏やかな顔をしているのに、それが私はすごく悲しい。心が俯いている日は、人の幸せが喜べない。そしてまたその事実に悲しみは追い討ちをかけられる。どうしてそんなことすら上手くできない人間になってしまったのだろう、と。

頬に冷たさを感じた、雨だ。
天気予報は正確だったらしい。小降りのうちに用を済ませて帰宅しようと自然と足早になる。しかし雨足はどんどんと強まり、道ゆく人たちの傘がまるで花のように咲いていく。二人で一つの傘を分け合う学生を見て、またしてもすこし哀しくなった。

仕方がない。近くにあったコンビニに入り、ビニール傘を買う。こうやって傘は増える。せっかくなら可愛い雑貨屋のものを買おうかと思ったけど今日は臨時休業らしい。コンビニの傘は、なんだか妙に大きくて開く時にバサっと音がする。私は可愛くもない、無愛想なただの透明の傘をさしながら歩き出した。

雨が傘を叩く音が耳に届き、ふとその音の方に顔をやるとビニール傘の表面にしずくがもの凄い勢いで降り注いでいる。水滴となるものから地面へとこぼれ落ちるものもある。ビニール傘を使ったことは何度もあるので、それは見慣れたもので世界の当たり前のはずだった。
だけど今日は少し違った。全てが哀しく見えていた私にとって、雨の音が響き渡るこの傘の中だけはなんだかとても温かく感じた。

心が俯いている日は、人の幸せが喜べない。
だから、きっと雨と傘の関係に寄り添えたのかもしれない。

3/22/2025, 10:58:18 AM

きみの声で世界でいちばん聞きたくなかった言葉だった。
だった4文字でわたしの心臓を切り裂いて
ぐちゃぐちゃに掻き混ぜて火をつけられる。
わたしも真似て声に出したけど、
きっとその中身には酷く違いがあっただろう。

3/21/2025, 4:14:59 PM

あの日の景色は、特別だ。

色がある。それは見たこともないくらいふんだんな色遣いである。
匂いがする。甘くて目が眩むような香りである。
音が聞こえる。全ての音楽を凌駕するほどの心地よいメロディである。

わたしはそれまでは知らなかった。
これまでも間違いなく色づいていた全てが、あの日を境に白黒写真の印刷のようになってしまった。わたしにとってもうずっと、全ての現実はあの瞬間だけだ。しかしそれは間違いなく過去でしかない。その事実に心臓を掴まれ、縦横無尽に振り回されているようだ。

全てはそこに君がいたからだった。

今日もわたしは白黒の世界を歩いていく。誰かと笑い合っても、感動的な映画を見ても、春に桜が咲いて、夏の日差しにうんざりして、秋に金木犀の香りがして、冬の街並みに光り輝く街路樹を見ても、人気のスイーツを食べても、昔から好きだった音楽を聴いても、何をしても、何を見ても、もうあれ以上の幸福などないのだ。

君は忘れていてほしいと心から願っている。わたしという存在の唯一になったこと、そして今でもそうであること。
なんて思いながらも、君の走馬灯にだけは、あの日2人で見たあの景色を映してほしいとも願っている。

3/20/2025, 1:12:31 PM

きみと手を繋いで歩く。

私から伸ばした腕、袖口を軽く掴んだら、少し不機嫌にきみから握ってくれた。それが嬉しくて、心臓をおおきな腕に掴まれたような感覚になる。幸せというものは、生まれた瞬間に終わりに向かっている。関係はいつか終わる、感覚はいつか変わる。それはこのたった23年の人生で私が痛いほど知ったことだ。好意なんてものはただの呪いでしかなくて、つまりはただ呪うか呪われるかでしかない。呪いが解けて仕舞えば終わってしまうのだ。そんなこと、わかっているはずなのに。また私はこうやって、誰かに唯一の気持ちを抱いて、手を伸ばしている。

きみの柔らかな手のひらから、細い指から、あまりにも心地よい温かさが伝わる。同時にいつかこの瞬間を後悔する日がやってきてしまう準備をしている自分がいて、そんなことでは愛される資格なんてないと静かに思う。きみは私のそういうところがすきだって言ってくれたから、つまりはそういうところに呪われてくれたけれど、明日には、3時間後にはなんの前触れもなく解けてしまうかもしれないでしょう?

きみに呪いをかけるのに成功したのはきっと偶然だけど、私がきみに呪いをかけられたのは絶対に必然。きっと何度やりなおしても変わるのことない結末だ。

私はたった3秒の間にそんなことを思いながら掌に力を込めた。強いよ、と呆れたように笑うきみの横顔はきっとこの世の何よりも綺麗で。この呪いが1日でも長く続きますようにと願った。

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