3/23日。
今日の天気、曇り。
曇り空を見ると、心がざわめく。
晴れた空を見上げたところで元気が出るようなことはないのに、なんだか釣り合いが取れないというか、おかしな世界だなと空を見上げながら私は思った。
雨が降るかもしれないから、と朝のニュースで天気予報で確認したのに折りたたみ傘を忘れてしまったので、できれば雨は降らないでほしい。
昨日はあまりいい日ではなかった。だからあまり寝付けなかったし、今朝も気分が良くなかった。人の心というのは難解で、些細なことを喜べる日もあれば逆に同じ出来事でも過敏に悲しみに満ちてしまう日もある。
昨日に引き続き、今日は全てが哀しく見える日だ。
駅前のレストランで昼食を取る家族、犬の散歩をしているおじいさん、公園で遊ぶ子供達。全員が穏やかな顔をしているのに、それが私はすごく悲しい。心が俯いている日は、人の幸せが喜べない。そしてまたその事実に悲しみは追い討ちをかけられる。どうしてそんなことすら上手くできない人間になってしまったのだろう、と。
頬に冷たさを感じた、雨だ。
天気予報は正確だったらしい。小降りのうちに用を済ませて帰宅しようと自然と足早になる。しかし雨足はどんどんと強まり、道ゆく人たちの傘がまるで花のように咲いていく。二人で一つの傘を分け合う学生を見て、またしてもすこし哀しくなった。
仕方がない。近くにあったコンビニに入り、ビニール傘を買う。こうやって傘は増える。せっかくなら可愛い雑貨屋のものを買おうかと思ったけど今日は臨時休業らしい。コンビニの傘は、なんだか妙に大きくて開く時にバサっと音がする。私は可愛くもない、無愛想なただの透明の傘をさしながら歩き出した。
雨が傘を叩く音が耳に届き、ふとその音の方に顔をやるとビニール傘の表面にしずくがもの凄い勢いで降り注いでいる。水滴となるものから地面へとこぼれ落ちるものもある。ビニール傘を使ったことは何度もあるので、それは見慣れたもので世界の当たり前のはずだった。
だけど今日は少し違った。全てが哀しく見えていた私にとって、雨の音が響き渡るこの傘の中だけはなんだかとても温かく感じた。
心が俯いている日は、人の幸せが喜べない。
だから、きっと雨と傘の関係に寄り添えたのかもしれない。
3/23/2025, 3:08:05 PM