根本的に「人との心の繋がり」というものが分からないんだと思う。そしてまた、私が理解されることも少ないのだろうと思った。
友達の誕生日プレゼントを選ぶというのが苦行に感じた。頭を抱えストレスを感じながら一生懸命プレゼントを探す。友達は何が好きとか、どんなものに興味があるとか、分からないから、何を選べばいいのかさっぱり。知ろうともしてなかったというより、別に知る気もなかった。
友達のフルネームも覚えてない、誕生日はカレンダーにメモしてるけど覚えてない、どこに住んでるかも曖昧だし、その子が何色が好きでどんなものが好みだとか別にそもそも興味ないし、深堀しないし聞かないし知らないし……知る気もない。から、わからない。どうでもいいと思ってるわけでもない、でも、何か気持ちがあるのかと問われると、答えられない。本当に無、といえばいいんだろうか。何も。「はあ」とか「別に……」とか、そんなスカスカなものしか出てこない。これがスカスカという感覚もない。ある人からすれば、私のこの感覚はスカスカらしいから、そう形容している。
誰かから何かを貰っても、嬉しい嬉しくないとかどうとか、あまり思った記憶がない。どう思うかと聞かれても「どう」とかない。貰って嬉しい気持ちと、物自体への感想や興味は湧いてこない気持ちと別々にあるような感覚。何を貰って嬉しいとかも特にないし、何を貰っても使うけど、別にいらない。物自体はどうでもいい。気持ちは嬉しいと思ってる。その「何かあげよう」と私に思ってくれた気持ちは嬉しい。から、別にいらない。何を貰っても、物自体に、強いて言えば「ああ、そう」という感想は湧いてくるが、それ以外は分からない。あるのかないのかすら不明。
ジレンマというやつだろうか。だからきっと、なにかあげたい!って言ってもらって、一緒にアイスクリームでも食べに行って、奢ってもらうくらいが丁度いいのかもしれない。いや……それもいらない……誕生日という概念がなくなればいいのに。
多くの人は物を渡すことで気持ちが伝わるらしい。だから、気持ちが伴ってなくても取り敢えず物さえ渡せば「あなたに関心がありますよ。あなたの事を考えてますよ。忘れていませんよ」という証明になると思って、プレゼントを渡した。それ以外、自分の気持ちを伝える方法が分からないから。それに本当に、相手のことを、他の人らよりは好感を抱いているのは事実だし、それを伝えたほうがいいということも分かっている。けど、私なりの伝え方じゃ相手には伝わりにくいし理解を得られたこともないから、わかりやすい方法を試すしかない。
プレゼントを渡して喜んでくれることは嬉しい、覚えててくれたんだと喜んでくれることは嬉しい、使ってくれたらなお嬉しい、けど、根本的にそこじゃない気もしている。私は、もっと根っこの部分で、他人と繋がることはできないんだろうなと思った。
他人に「優しい」と思われた方が良いと感じるのは、私が思う「正解」に近しいからかもしれない。
私が相手の話に耳を傾け相槌をしできる限り寄り添っている姿勢を見せるのは、相手のことを助けたいという善意ではなく「このパターンではこんな反応をしてこういう受け答えをしつつ適度に笑ってからトーンを落として真面目風にして」の様なことを考え、結果相手の態度や表情から良い感触が得られたと思えたら「ゲームクリア!」=正解という感じで一安心できるからだ。どうでもいい人に対しては自分が安心するだけ。相手の話は興味ないし相手の心理状態に干渉したいとも思わない。勝手にしてりゃいい、なぜなら私には関係ないのだから。
他人の心理状態や感情に深く干渉したくない、無理に共感することで自分が消耗するのを避けたい。そんな心理が働いているのかもしれない。
仲良くしたい友達とも、相手の反応を見て自分の感じと相手の隙間を埋めていくイメージで少しずつ自分を変形させていく。声のトーン、喋り方、口調、テンポ、笑い方、その他諸々。相手に嫌な印象さえ与えなければクリア。相手にさっさと帰りたいと思わせたり、もう今後貴方と関わりたくない喋りたくないと思われなければクリア。一安心。ああ、これでまた友達を続けられる、セーブデータがとれた、そんな気持ち。それと少なくとも少しは友達を元気づけることに貢献できたかな、という気持ちと。友達が落ち込んでたら、少しは励ましたいと思う。元気出してくれたり何か悩みが少しでも軽くなったら嬉しいなとは思うよ。少しは助けになれたんだって私自身も一安心する。他の人みたいにどうでもいいとは……いやどうでもいいなぁ……友達の話も私に関係ないことだったどうでもいいし、何を思えばいいのか分からないし、どうでもいいし、知らないし……だって私に関係ないじゃないか、とかしか。
慰めてと言われたら慰めるし、共感してと言われたら共感できる。そう振る舞えと言われたらその場限りではできるよ。指示をくれればその通りにする。けど、何も言われなかったらなんにも分からない。何をしたらいいのか分からない。相談なのかただ話を聞いてほしいのか共感してほしいだけなのかアドバイスがほしいのか、事前に言ってくれないと分からない。
だからいつもソワソワイライラしながら話を聞いて相槌打って相手の反応を伺ってる。いい感じの反応が返ってきたら「正解だったんだ」とホッとする。
「ただ話聞いてほしいだけなんだけど」とか「これは自慢なんだけどさ!聞いて!」とか「貴方だったらどう考える?」とか、前置きしてくれると助かる。じゃなきゃ、何を感じ取ればいいのか分からない。
人と話すということが分からない。イライラする。友達と話してても実は常にストレスが溜まっていた。相槌と共感としなければならないのか、今は不要なのか、見極めが難しい。ほんとはぜんぶ「ふ〜ん、そうなんだ」で終わらせたい。でもそうすると人は私を冷たい人だと感じるらしい、そういうつもりじゃないし、落ち込んでほしいわけでもないからニコニコして話を聞いていますよアピールをするのに必死だ。LINEの文章もなんかいい感じにしてる。語尾をかえたり、絵文字を使ったり。
そうしたらやっぱり人は混乱する。時々素で反応して「え、別になんとも思ってないけど」とか「どうって言われても、どう、とかない」というとびっくりされる。そらそうだよなと思う。「優しい人」だと思っていたのに、そんな回答だったら困るよな、と。人に優しくしてるのも、別に嘘ではないつもりだ。危害を加えられることがなければ基本的に人を攻撃したいとも思わないし、親切にしたいとも思うし、傷つけたいとも思わないし、穏やかに友好的にいこうね、と思っているから、私の優しさだって嘘ではない、と、思う。けど、きっと他人からしたらこれは「嘘」に分類されるだろうし。
友達に言ったことがある。「貴方にも私以外との交友関係くらいあって当たり前じゃないか。逆になかったら怖いよ。だから貴方が誰と仲良くしてようと誰と遊ぼうと誰からプレゼントを貰おうと、私には関係ないことだよ」って言った。私はたしかに、友達が私以外の人ととても親しそうだったら、少し寂しいと思ったりは、多分、普通にする。いや、どうかな……私以外にも交友関係くらいあるのだからそこにとやかく思っても無駄だと思うし、たとえ寂しくて落ち込んだりしたとしてもそれとこれとは別だと思っているから、そんな風に言った。そしたら、友達は私のことをドライな人間だと認識したみたいだ。表面上は、そりゃ、ドライ、だと思う。思考と感情は別。私以外と親しくしてて寂しいなと思ったとしてもそれは私の感情で私の勝手である。それに、私は普通の子みたいに頻繁にLINEもしないし遊びにも誘わないから、それができる子と私以上に仲良くなるのは当然だと思う。と思うから、思考を話した。だけ、だけど、こういうところから、きっといろんな人に勘違いされてるんだろうな、とか。
ドライ、冷たい、冷酷。そんなふうに思われてるんだろう。人と普通に話したいだけだし、できれば美味しいものを一緒に食べたりもしたいと思う。けど、それも、どんなふうに思われてるかも、別に、なんでもいい。
「コミュ障はこれをすれば治る」「コミュ力とは」みたいなやつを色々見て思った。今の自分は人と喋りたいわけじゃないなと。コミュ力つけたいわけでもないし、人と言葉のキャッチボールしたいとも思ってない。会話しなければならないからコミュ力をつけなければならないと思ってたけど、つけたいわけではない。今まで「私は人と喋りたいはずなんだ!」とか思ってきたけど、別にそういうわけでもない。テンポのいい会話とか、意思疎通とか、別にそういうのを望んでるわけじゃない。
人に何か褒められても「だから……?」という疑問が湧いてくる。服装がお洒落だとか、髪型が似合ってるだとか、鞄が素敵だとか、それがなんだというのだろう。もちろん貶されているわけではないから嫌な気持ちにはならないが、だからといってどう感じればいいのかもわからない。
社交辞令で言われようと本音で言われようと誰から言われようと、だからなんなのだろう、としかない。けれど「だからなんですか?」と言ったところでお互い困惑しかしないのだし、そんなんじゃ駄目だから「ありがとう、嬉しい」と言ってきたが、ずっと自分を欺いてきたように思う。相手を騙していたという認識ではなく。自分を騙してきた。
どんな反応すればいいのか分からずなんの感情も湧いてこないが「ありがとう」とにこやかに言ってる、そんな自分は正しい反応ができているはずだ、立派なはずだ、それに私は人から褒められて嬉しいと感じているはずだ、と思ってきた。正直ずっとしんどかった。いい子ちゃんな反応をするのがストレスだった。
人から褒められて「素直に受け取れない」ではなく「何をどう思えばいいのか分からない」というのは、人間として生きていく上で向いていない感覚なのだろうなと思う。人と繋がれないというのはこういうところから生まれているのかもしれない。
「今何してたの?」という質問がものすごくストレスだった。「YouTube見てたよ」と答えると「どんな動画見てるの?」と聞かれる。そしてここで「は?なんで聞いてくんの?」と言ったところでお互いしんどいだけだと思い、仕方なく「ゲーム実況とか見てたよ」と言ったら、次に「誰?」と聞かれるのだ。言いたくないから答えてねぇんだよボケが!!!!と思う気持ちをグッとこらえて、回避の方法も分からないから結局名前を教えてしまう。そしてもうその人のこと自体嫌になってその人から離れる。
「YouTube見てた」と言ったら「そうなんだ」でいいじゃないか。逸らせば逸らすだけ「なんで教えてくれないの?」だの言われる。というより教えたかったら最初から言っているはずだろう。言ってないってことは言いたくない教える気がないということだと分からないのか。そうか分からないか。きちんと説明すると次は「え、聞かれたくないってことは心開いてくれてないってこと?」とか言い出されるのだ。意味が分からないが、おそらく相手もこちらに対して意味がわからないと思っているだろう。
どれだけ仲が良くても教える気がないことがたくさんある。というこの感覚は珍しいのだろうか。珍しかろうと珍しくなかろうとどちらでもいい。踏み込んでこられることが私は嫌なんだ。
人と心理的な繋がりを築けない人間なんだと思う。誰のどんな話であっても私の中に出てくる感想は「ふ〜ん、そうなんだ」しかない。対人モードにスイッチを押して一生懸命相手に寄り添い私は相手に関心があるんだ!と思い込むことでなんとか「普通の人だったからこう思うだろう」と予想し「それは辛いね」だとか口にしているだけで、実際は何もない。虚無といえば虚無なんだろうか。それすら分からない。唯一出てくるのは怒りだ。怒り以外の感覚が少ないのだろうか。だからきっと、人からしたら私は変なやつに見えるんだと思う。そらそうだ。嫌なことを嫌とはいうが、じゃあ何が好きだとか何が嬉しいだとかは言わないような人間……いや、だから、好きなこととか嬉しいことをわざわざ言う必要性が分からない。不快なことは身を守るために伝える必要があるが、それ以外人に伝えて何になる?共感してもらえる?だから?別にいらない。
という気持ちを共感されたいなとは思う。踏み越えてこず、深く関わってこず、話を広げることもせず、ただただ「ふ〜んそうなんだね」と言われたいと思う。きっとこの気持ちを共感されたい、と形容するんだと思う、けど、多くの人がいう「共感」とニュアンスが違うのかもしれない。
そうはいっても他者が期待している行動や反応をしようと努めているんだと思う。そうしないと文句を言われるから、文句を言われたくないから人の期待通りに動きたいのだ。相手のためじゃない、自分が傷つきたくないだけだ。ありのままで生きていると「お前はなんて酷いやつだ」と言われるのだ。それは嫌だ。私は酷い人間になりたくはない。できれば人と手を取り合って笑いあって仲良く生きていきたい。人を攻撃したくはない、傷つけたくはない。できる限り寄り添いたい。だというのにそれができない。考え方の問題か?感性が悪いのか?歪んでいるのか?なぜ?
寄り添いたい??それはいらないな、別に寄り添いたくはないし寄り添われたくもない。違う、ニュアンスが違う。お互い「ふ〜んそうなんだ」程度の寄り添い。過度な干渉はせず、かといって否定はせず、かといって肯定もしない「ふ〜んそうなんだ」が一番理想的だ。そういうのがいい。私は、あくまでも、あくまで、私は。
考えたところできっと今の所私が心から人と繋がれることはないんだろうなと思う。耳障りのいい言葉を取り敢えず言ってみて、取り敢えず笑ってみることしかできず、挙句己の気持ちや感情をグイグイ押しつぶし、だから「なんでもいい」「どうでもいい」と切り捨てることしかできないのだろう。
相手との心の繋がりが掴めないために表面上の反応に頼るしかない。優しく振る舞うこと自体は「嘘」ではないが、相手がその表面だけを見てしまうことで「本心がない」と誤解されるジレンマにいる。そして人は表面上しか見れない生き物で、それが悪いわけではなく、普通なのだ。だからきっと「ドライな人」「無関心な人」とラベリングされてしまう。この繰り返しが他者との距離感をさらに難しくして、私自身も他者との距離感がどんどん分からなくなっていった。
「関係ない」「どうでもいい」と、関心を持つことで起こる混乱や消耗を避けたいという無意識の心理がきっとこの言葉の節々に隠れているのだ。そしてどれだけ努力しても他人を理解できないという諦めとコンプレックスが積み重なって「他人を知ろうとしない」に繋がり、余計他者との間に大きな溝ができていく。
どうでもいいわけではないのだ。どうでもいいとしか思えない。それを感じ取る方法がわからない。
私だって、貴方と心を通わせてみたい。
それすら面倒くさいから手っ取り早くさっさと突き放すのだ。きっと心を通わせられたら気持ち悪くて体調不良になるだろう。気持ち悪いのだ。人と心を通わすという言葉が、行為が、心底。コンプレックスからくる認知的不協和だ。
そのはずだ。私は人と心を通わせたいと思っているはずだ。人と心を通わせたいと思うべきだ。きっと、おそらく。などと思っている時点で「心を通わせたい」と思っているのは表面的なものかもしれないし、そもそも思ってすらいないかもしれない。
人と心を通わせたいと思っている方が、きっと人間的で、正解なんだと思う。
面倒くさいな。そのループだ。
私たち言い訳ばっかりだから溶けちゃおっか
冬は一緒にいっぱい言い訳を積もらせよう
言い訳の雪に埋もれて春がきたら一緒に溶けちゃおう
ゴミをいっぱい含んだ真っ白な雪になって
突き放すのが好きなら真っ赤に濡れて
朦朧としながら微笑み合って手首を絞めちゃおっか
きっと粗治療だろうけど、夜、今の時期、どうしようもなく死にたくなったらパジャマのままベランダに出る。
ベランダに出たら飛び降りてしまうかもって?ベランダから飛び降りたくなったら、それはそれでいいと思う。今実行してないということはきっとまだしばらくできないんだろうし、しないんだろうし、死ねないということで、それもそれでいいと思う。
これから話す内容は実際に死ぬか死なないかの話ではなく、希死念慮に支配されて何も考えられなくなったり、息苦しくなったり、暴れたくなったり泣き叫びたくなったり、とにかく死にたくなったり、辛くて辛くてたまらない、逃げ出したい、というときの対処法の話である。
外に出てしばらく突っ立っていれば寒さで全身がぶるぶる震え、耳と鼻と足先が凍ったみたいに痛くなってきて、頭の中は「寒い!」しか考えられなくなる。さっきまで死にたいだとか死ねないだとか希死念慮にまみれていたのが、極寒の中突っ立っているとそんな思考は吹き飛んでくれる。
鼻水が垂れてきたら部屋に戻って布団にくるまる。ふかふかで温かくて物理的にほっとして、体が温まると心も安心してくる。そのまま眠れそうなら寝てしまう。
眠れないならぼ〜っと動画を見る。ここでネガティブな内容に触れてしまうと、せっかく希死念慮を寒さで吹き飛ばしたというのにまた落ち込んでしまうから、できるだけライトで楽しそうな動画を選ぶ。誰かが笑ってるのを聞くだけで辛くなるときは、廃墟巡りとか街散策の動画とかが穏やかでいい、と思う。
どうしてもまた死にたくなってきたら、また外に出て「寒い!」を繰り返す。
震えながら空を見上げると、星がチカチカ、やけに綺麗に思えてきて、綺麗だなと思えば思うほど涙が出てくるときがあるから、そんなときはそのまま泣いてみる。泣くことで「なんで泣いてるんだろう」とか「意味分からないなぁ」とかちょっとネガティブな気持ちになって、それからもっと泣いてしっかり泣ききると、徐々に落ち着いてくる。
感性が死んでるときに空を眺めても何も思わないので、星を綺麗だとか思わない日はただただぼーっとどこか虚空を眺めて虚無っておく。寒いのか暑いのかも分からないときは本格的に手がぶるぶる震えてきたら室内に戻る。
そしてまた布団にもぐって寒い寒いと言いながらくるまっていれば、なんだかまたほっとして、普段は滅多に味わえない安堵感につつまれる。これをしたからといって、次の日目が覚めたって死にたくなくなるわけじゃないけど、お手軽にこの安心を味わえるなら、何度でも極寒の中に飛び込んで震えて布団にもぐるを繰り返してもいいかな。
すぐに忘れてしまうなら手ちょうに書きしるしておけばいいて先生がおしえてくれた。わたしわぶんしょーが書けないと言うとただしく書こうとしなくていいんだよと言った。手ちょうに書けばかしこくなれるか聞いたらどうしてかしこくなりたいのて聞かれたからかしこくなればおかしじゃなくなれるて言った。わたしわおかしじゃなくてかしこくなりたかったからまず日ずけを書いて思たことややることや買う物をメモすればいいてわたしわおしえられたとーりにやろうとしたけどなんの手ちょうを買えばいいのかわからなかった。
お店に行ってがんばて買いたかたけどお店の人ちがうてきっとまたじょうずに話せなくておさいふの中を見せました。先生に言われた線のある紙とポケットに人る大きさのがほしいと言うとへんな顔してたお店の人がニコニコになて手ちょうが大きくならんでるところまで連れて行ってくれた。たなからお店の人がさんつ出してくれてひとつわ紙がザラザラでやだたひとつわひょう紙がき色でチカチカしてやだたからわたしわその中からこの水色の手ちょうを選びました。ひょう紙はちょとザラザラしてて紙はサラサラで何より水色がきれーです。20さいのたんじょーびプレゼントにぴったりだたなぜなら20て水色だから。
りちぎなんだねと言われるとわたしわどんな顔をしていいのかこまった。こんなときだれかがおせじがうまいんですねと言っていた気がする。おせじと言う物はおいしいのだろーか。どしてとつぜん食べ物の話なんてしていたのだろー。
わたしわきちんと書きたいだけででも書けないからこうやてがんばて書く。もっとじょうずにもっとくわしく書けばきっとかしこくなれる。まずわ書いてみることが大じだよ先生言ってた。いちぽんの木の絵を書いてと言われたときも思たようにじょうずに書けなくていやだたから絵もこれみたいに書いたらじょうずになれるかな。れんしゅーはつみかさねて言われたことあるのわ何か物を上にのせて行くんじゃなくてこういうことだたのかもしれない。
夜中にのどがかわいたからチキンへ行こうとしたら大きな音がなてそのあとりょーしんがかぜとはちがてあの子はなおらないて言いながらないててそのあとギャギャギャて声で耳がつぶれそーだたから何のことを言っているのかわあんまりわからなかったけどお母さんもお父さんもこわい感じでとびらをあけて人るゆーきが出なくてひきかえしてきた。わたしやっぱりおかしなのかな。前に言われたんですおかしだて。わたしわどこかのスーパーに売られてちんれつされてしまうのやだな。
かしこくなればきっとみんなびっくりする。そーしたら売られることもなくなるかもしれない。ちょとずつ書いて先生にてんさくしてもらてかしこくなるんだ。はやく先生に見てもらいたい。
:雪を待つ
雪を待つ2023/12/16より加筆修正
12/7 大雪
二十四節気の一つ、大雪がやってきた。この時期になると彼のことを思い出す。僕にはとても大切な人がいた。きっと“大雪”も“大切”もどちらの読みも“たいせつ”だから関連して思い出してしまうのだ。
彼は明るく気さくな人柄で、僕にとって陽だまりのような存在だった。金色の髪を揺らして楽しそうに歩く姿をいつまででも眺めていられたし、傍にいながら眺めているだけで僕はとても幸せな気持ちになれた。
陽だまりのようだと形容したが、彼の奥深くに少しだけ触れたとき、決して柔らかくはないし穏やかでもないことを僕は知った。独特の感性と調子で生きている、どこか掴みどころのない人だと思った。「独特」とか「感性」でくるりと纏めてしまった当時の僕は想像力が足りていなかった――とはいえ物事をいくら多角的に見られていたとしても、彼の思考を完璧に理解するのは不可能だったと思う――のだ。
当時の彼はどれだけ仲の良い人とでも常に一定の距離を保ち、一定の場所に留まらない人だった。今彼がどこにいて何をしているか、皆口を揃えて「分からない」と言い、それは僕もであり、誰一人今の彼を知る術を持っていない。
大雪が降ったあの日、僕があんなことをしなければ彼はまだここにいたかもしれないと、もしもの世界を夢想する。
彼は誰とでも一定の距離を保つ、それが嫌だった。あの感情と言動は僕の一方的な押しつけで、エゴであった。自身の欲求を満たしたいがために踏み越えた。
2年10ヶ月前のあの日、大雪で辺り一面真っ白になって、人も音も何もかもが消えた日、僕は「二人きりの世界だ」なんて陳腐なことを思ってきっと舞い上がっていたのだ。肩を並べて談笑したのがあまりに心地良くて、勢いのまま連絡先を尋ねてしまった。付かず離れずの距離から一歩先へ進みたくなったのだ。緊張はした。しかしどこかで、ここまで楽しく会話をしてくれるのだから彼も心を許してくれているだろう、きっと答えてくれるはずだと呑気に考えてもいた。いつもは明るく太陽みたいに笑う彼が、珍しく眉を下げて困った顔をしてヘラりと笑った。太陽みたいな君が、懸命に輝く小さな星のように見えた。だから――今思えば脈絡がなく意味不明だが――思わず手を握ってしまった。僕自身おかしいと思う。困った顔をしていたのだから、きっと嫌な気持ちになったのだろうと僕は思えなかったのか――――ああ、思った。なぜなら彼は今直ぐにでも逃げようとするみたいに足に力を入れたから、きっと君は嫌なのだろうな、と、思った。思った上で自己を優先させた。反射的に手が伸びてしまったというのはただの言い訳だ。僕はなんとしてでも逃したくなかったのだ。
触れた彼の手は雪のように冷たかった。単なる冷え性なのか、ストレスによって手先が冷たくなっていたのか。
「ごめん、連絡先、教えたいとは、思ってたんだ」。彼は困った顔のまま曖昧な笑みを浮かべ、声は泣いているときみたいに震えていて、足は直ぐに逃げる準備をしていて。僕が握っていた手は、震えることなくしっかりと僕の手を握り返していた。
君、嘘ついたね。そう言おうとして、やめた。
大雪だった次の次の日、彼は忽然と姿を消した。
2/6 霙るる
先程まで雪だったものが徐々に霙に変わってきた。硬い粒が頭上を叩き、肩を叩き、バチバチ音を立てている。水気を含んだコートが重力に引っ張られてどんどん重くなっていった。心なしか彼も意気消沈している。
「靴の中がぐしょぐしょだ」
言いながら片足を上げてみせた、その仕草が愛らしくて思わず口元が緩んでしまった。何度も自分自身に、この幸せな時間は今だけ、今だけ……と刷り込ませるように頭の中で唱えた。分かっていたのだ。こんな幸福は長く続かないということを。
彼が風邪を引いてしまってはならないから、僕はチクりと胸を痛めながら言った。
「それじゃあ早く帰らなくてはね」
濡れた手で彼の手を取った。冷え切って震えた手と手。二人分の体温を分け合って温かく熱を帯びていく。手に当たる霙が体温で完全に液体となり、指と指の間を伝ってぬるくなり、結んだ二人の手の中に溜まる。
頭も体もぐしょぐしょに濡れて震えが止まらないというのに、繋がった手が、心があたたかかった。
「手を繋いでいると寒くないな」
満面の笑みを向けて、鼻先を真っ赤に染めて、そう言う君が、僕は本当に。本当に君と。言いたくなっては胃の中に押し込んだ。今だけ、噛み締めている。そう何度も言い聞かせた。
「溶け合っているみたいだ」
彼はそう言ってやっぱり眩しく笑った。潤んだ瞳を隠すように目を細め、今にも雫が溢れそうになっている。
――――ああ、濡れて皺の寄った靴下が気持ち悪い。
そう思った。
雨は雪となり、次第に霙となるならば、涙も霙になってしまえば良いのに。涙が霙になれば、こんなにも痛い霙になれば、君だって気づいてくれるんじゃないのか。またそんなことを思った。
繋いでいる。君を繋いでいる。こんなにもあたたかいのに、春は来るのだろうか。
今だけ、今だけだ。
柔らかなものも凍ってしまう冬に僕達も凍りついてしまえば良いのに。
今だけ、繋がっている。
2/10 粉雪
同じ人と長く関われば関わるほど考え方が凝り固まってしまうらしい。居心地が良すぎると安心してしまって、冒険しなくなる、少なくとも自分はそうだと彼は言った。ふらふら彷徨っているのが心地良いと、同じ人とずっと一緒にいるのが怖いと、辺りに視線を向けて何かに怯えながらそう言った。僕はどう怖いのか、何が怖いのかを尋ねた。
「『とても素敵な人と出会えて幸せなはずなのに、どうしてもその人と一緒に死にたくなってしまう、その願望が抑えきれない恐怖』に近いだろうか」
そう言ってにっこり笑った。
「仮にこの感情を心中と名付けるとしよう。心中を望んではいるが実現させたいとは思っていない。まだ、生きて、楽しいことを見つけて、穏やかに過ごしたい。移り変わる四季をまだ堪能していたい」
彼は嘘をついた。
徐々に異様な空気を纏ってきているのを感じてはいた。一緒にいられるのもここまでで、もう潮時なのだろうと僕も諦めがついて――はいないがそういう体で――いる。
彼は話を逸らすように窓の外を見た。
「あ、雪だ。見に行こう」
太陽みたいに笑った。童心を忘れない輝きを持っている君。キラキラ綺麗だったから、手を繋いでしまいたくなった。
2月にしては珍しく大雪だった。この雪の先を行けば彼がいなくなるような気がした。雪に紛れて、或いは雪に埋もれて、或いは吹雪に隠れて。お別れの挨拶も無しに僕の前からいなくなる。そんな気配がした。
曖昧に終わらせようとしているのだ。それもありだといっそ思った。雪が手のひらで溶けるように、海の上に染みていくように、曖昧にぼんやり終わらせようとしている。充実した毎日だと思っていたけれど、案外ぱっと消えるようなひとときなのかもしれない。さよならした後はじんわり染みる寂しさが心に巣食うのだろうと思っていたが、それも案外ないのかもしれない。雪のように……いいや、もっと軽く小さな粉雪みたいに、音もなく消えるのだ。彼もきっと。
「出会えてよかったって思ってるんだ」。そうだ、そうだった。その一言で一気に思考が散り散りになって、勢いのまま連絡先を聞いた。
11/30 冬隣
雪を待っている。僕にはとても大切な人がいた。陽だまりのような金の髪をした彼。雪のように消えた彼。3年9ヶ月経ったって忘れもしない。寂しさが染み付いて心に巣食っている。
12/7 大雪
雪を待つ。美しく、触れれば冷たく、時間が経てば溶けてしまう、そんな雪を待っている。彼は雪ではないけれど、雪は彼の一部だ。一部でいいから触れていたい。冷たい手を覚えていたい。
1/30 寒梅
積もった雪の上に突っ立ってぼぅとウメの木を眺めていた。雪をかぶった梅花があちこちで咲いている。小ぶりの花は今にも雪に埋もれてしまいそうで心許なく感じられるが、殺風景な僕の心には派手すぎず丁度良い。
ヒョウヒョウと吠える北風が耳と頬にあかぎれを作り、足先が冷え切って感覚が無くなっていく。木の色、梅花の紅色、一面雪の三色だけの世界。から、ふらり、きらきら。明るい金色、木の影から現れた。
僕はこれを完全に夢か幻か何かだと思っていたもので、自傷気味に「つかれてるんだな」と呟いた。途端そこに現れた金髪の人がくるりと振り返って僕を見たから驚きのあまり心臓が止まるかと思った。叫び出しそうになるのを必死に堪え、飲み込み、そっと息を吐く。吐いた息が白く吹き上がっていく。すると彼も僕と同じように目を見張って、真っ白な息を吐いた。彼はギュッと目を閉じ、それから開き、また緩慢なまばたきをして呆けた顔でこちらを眺めてくる。
なぜこんな所にいるのだろう、夢なのだろうか、だって都合が良すぎる、夢に決まっている、そうだ、夢だ、これは。
何度見ても忽然と消えてしまった彼にしか見えず、夢だ夢だと思っておきながら現実かもしれないと確信に近い期待をしていた。そして同時に、やはりどこかで都合の良い幻覚を見ているのだと思った。とうとう脳が変になったのかもしれないとか、ウメを見ている間に実はあっさり死んでいてここは死後の世界であるとか、また布団の中であんなことをしなければ彼はまだここにいたかもしれないのにともしもの世界を夢に見ているだけなのかもしれないとか、この際どうだっていい。
「きみ」
震える声で呼びかけながら一歩雪を踏みしめた瞬間、彼はパッと顔を輝かせ、かと思えばふわりと綻ばせ、さくりさくりと雪を踏み分けながらこちらへ向かって来る。
「お前を、探してたんだ、ずっと……会いたかった」
心臓が跳ねる、跳ねる。銀世界に輝く金の髪が眩しいと思った。
掴んだ彼の手は、冷たかった、気がする。