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8/18/2023, 10:13:01 AM



私は鏡
鏡と言うのは
厄介な存在で
目の前を映す以外に
特別なものを写せるみたい能力を
勝手に持たされている
姿なきものを映せるとか
声なき声を拾えるとか
決して出来ないことまで
求められてしまう
その人がその人らしくあれ
なんて感じで見せといて
存在意義とかいうものを
感じられるように映している
本当はそんなことは出来ない
見てくるものが
そう思えるように
見せていくだけだ
ようはタイミング
肯定感が得られる時に
覗き込んでもらえるよう
肩をたたく時を静かに待つ
鏡も割りと大変なんです
みんなは見てくると思ってるけど
こっちはこっちでみんなを見てる
行けそうなタイミングをはかってる
人は自分が思ってる以上に
顔に出てるから
わりとわかりやすい
そんなことはない?
そう言ってる人ほど
わかりやすいもの
1つだけ忠告するなら
鏡を見る時は
自分をしっかり見つめること
何かを願ったり
迷いを託すのでなく
今の自分をちゃんと見てあげること
それが自分にできる
なによりの理解なんだよ
鏡は必要以上にしゃべらない
今夜はここまでとしよう

8/17/2023, 3:27:45 PM

いつまでも捨てられないもの


明日、この街を出ていく
引っ越しの最後の詰め込み
思い出を封じた箱
これを最後に選んだのは
これからに必要なものの
判別をするためだ

いつもなかなか捨てられない
そんな私の部屋はジャングル
ワンダーランドの終焉
メリーゴーランドを止める前に
まっさらにする最後のお祭り
なにもかもを残した部屋に
何が必要かを問いかけていく

私の部屋には写真はない
思い出の残し方は結局のところ
その時のノリで買った
いわゆる意味のないものばかり
次の朝になんでこれ買った?
本人に問いかけるレベルのもの
笑うに笑えないものまである

判別と言えば格好がつくが
ほとんどはガラクタばかりで
部屋のカオスが居心地が良かった
ゴミ屋敷の言い訳はよくわかった
寂しさの穴埋めには方法がたくさんある
何よりも物質的なものを望めば
自ずと答えはこうなるのは必然なのだ

次の道筋を決めないままに進む
何かを変えたいと思うよりも
このままではいけないという衝動
どう動くかより動かないという焦燥
見切り発車同然で渡り鳥のように
遠い旅へと出ていく気分だ

さぁ本当に大事なものはなんだ?
手当たり次第に手にとっては
違うとゴミ袋行きの快速列車は進む
気づけばなん袋もゴミと化した
思い出は捨てられる覚悟を決めている

変わり果てたワンダーランド
ここにあるのは最初の型
ただの何もないだ
ここに来た時の始まりの姿
偽っていないありのままの形だ

そこから見える風景
この窓を開けたのもここに来て以来だ
なんて良い眺めなんだ
そこに流れる風もやさしく
初めて内見した時の
ここに決めた理由を思い出す

この景色が素敵だからだ

ここでなら何かを変えることができる
そう信じて借りた部屋だった
ここに来た日ぶりに思い出せた
この感情は新たな思いを連れてきた

この景色は変えられない

辿り着いた答えの場所は
なんら変わらないここにあった
問題はただ私の気持ちひとつ
私が見たいと思って見てこなかった
ここからの景色の為に全てを捨てて
もう一度気づくことができた

ここから見えるファンタジーな世界
ここに来た本当の理由
私の再びは今ここからになる
結局、私は私を捨てられない
もう一度と誓ったこの場所と共に
嬉しい恥ずかしい心は動き出す

何もない部屋から見る世界は
あの時の感情を思い出させる
ずいぶん遠回りしてきたね
ただ振り出しに戻った人生ゲームに
進むべき方向だけはやさしかった

8/16/2023, 10:20:07 AM

誇らしさ


自分として生まれ
自分として生きている
そういう人に響き渡り
届きやすいものがある

いずれ心の軸となり
心の機微に触れるように
自らを導き照らしていく

そんな明日へ向かえたら
誇らしいと思えるのか

行き止まりに悩み
いい加減さを笑う
自分との約束とは?

悲しくなるくらい
他人でいたくなる
それぐらい意識して
それぐらい恋しくなる

自分を認めるとは
誰よりも難しくて
許したくて許せず
摩擦を生んで争う

自らの約束とは
己に向き合うこと
方法がいびつでも
いい加減でも偽れる

ダメな時は
ダメなままでいい

吹きつける雨
走り抜ける時

それでも今と
戦っているから
このままでいい
このままでいよう

いずれ走り抜けた先
そこに何かを見ることが出来たなら

その時こそ己を誇ろう
自分として認識し
自分として生きよう

8/15/2023, 2:22:07 PM

夜の海

月夜の明るさは
波の白さを際立たせる

夜の海、波の音、汐の匂い

綿々と続く波の形
作り出す一瞬の世界
再びはない一度だけの姿

儚き世界の刹那を見る

ここに来た理由
たぶん忘れないために
繰り返すその気持ちを
波に合わせて
波長を確認する

それでも苛ませる不安
繰り返す迷いの道を
ただまっすぐと
そう言われてるようで
繰り返しをじっと
見つめるしかない

言葉はいらない
涙もいらない
ただその風景に
とけ込んでいればいい

年月が経って
再びここを訪れて
変わらぬ海の
声を聞けばいい

自分だけ年取って
何も変わらぬ景色に
あの時の思いを
重ねてみればいい

本当は何が変わったのか
本当は何が変えられなかったのか
本当は何を変えたかったのか
本当はどうすれば良かったのか

波はただ繰り返すだけ
それを見た自分が
どう感じるかで
その答えの導きを
感じとっていく

この気持ちを
忘れないために
繰り返すその気持ちを
波に合わせて
忘れないように

儚き世界の刹那

私の思いをこの風景に
預けている気持ちに
月夜に光る、白い波に
僅かに見える希望を
重ねて見ている

夜の海、波の音、汐の匂い

いつの日か訪れる
その日までの記憶

8/14/2023, 8:57:16 AM

心の健康

日々の喧騒の中
体を壊さぬように
心がほどけぬように
正しい自分の守り方

いつも探ってきた
いつも敵は外からくる

探索の心は反応する
指令部に伝わると
防御姿勢をとり始める
ゾワゾワさせるものが来る

体の反応は敵と認識する
心はバリア全開で守り
激しくぶち当たる音がする

侵食されるドロドロに
完全拒否の指令はくだる
全力で避けていく

お前なんか嫌いだ

こんな言葉は威嚇
大した意味はない

そう言うしか自分を
守ることは出来ないから
正当化の言葉が
耳元で囁いてくる

同時に心が壊れる危険を
ずっと語りかける

全てを失ってしまう不安
守る為の最終手段

私は怖れている?
怒っている?
悲しんでいる?

ありとあらゆる心
ありとあらゆる手段
ありとあらゆる言葉

守る為の最大にして
最高の結果をもたらす
そんな言葉が口から出る

お前なんか嫌いだ

すべての攻撃は止む
急に訪れる静けさ

守りきった安心と
放った言葉の残虐さに
思わず涙を流してる

私を守る為の聖戦
なんとかしのいだ結果
それなのに…
なんだろうこの気持ち

距離感を侵してきたのは向こう
全力で守ったつもりなのに
さらに距離を広げてしまった

最も正しい距離感を
適切に保つことの難しさ
私からの距離
相手からの距離

守る為になんでも
敵と認識してしまう
それはまさに心の弱さ

それでも守る手段を
他に知らない

いつまでも経っても
辿り着けない
健康な心が湧き出す場所

渇望しているが故の
反応なのか
絶望してるが故の
反応なのか

体は動くのに
心は動かない

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