灯火を囲んで
死んだら、みんな灯火を囲うらしい。
私の住んでいる村では、そうゆう風習がある。
死んだ遺体を真ん中に置き、灯火で燃やす。
お坊さんの歌う歌を歌わなかったものは、呪われるという。
「…………」
お坊さんが歌っている中、私は灯火の中にいる、彼の顔を見た。
みんなが歌っているのに、私だけ口を開かずにじっと鋭い視線で睨みつけた。焦げ付いた顔を。
私が殺した彼の顔を。
「すごく、汚い顔ね」
それでいいと思えた。
私の彼氏を奪い去って、母と父を脅かした。それなのに、灯火で焼かれるだけで幸せだと思える。
「灯火で焼かれるだけで、よかったね」
後日、彼を殺したと告白した女が、
灯火に入れられた。
「きっと、呪いね。」
「そうよそうよ!あんなのは呪いよ!」
「いい子だったのにねぇ」
許さない。母と父を脅かして。
二度と許すものか。
地獄へ落としてやる。そして必ず。
私の手で灯火を囲ってやる。
僕と一緒に
「あああああ!」
精神科、閉鎖病棟で叫ぶ彼女の姿。
涙を流しながら叫び、光を失った目。
そんな彼女が、好きなのは変わらない。
でも彼女に対して、安楽死が決まった。
悲痛な選択を取った彼女の親。
僕は、彼女の親を殺した。惨殺した。
何度も何度もナイフで刺し、
血を、内蔵を抉った。
僕もどうせ死ぬ。死刑になって、殺される。
彼女と同じだ。
最期に、彼女の身体を抱きしめた。言葉にならない言葉を話す彼女の肩に、涙が落ちる。
「大丈夫、僕がいるよ」
「一緒に、死のうか。"僕と一緒に”」
フィルター
レンズのフィルターには色々隠せるものが存在する。
私もそれで色々隠していた。
スマホでやるような、消しゴムマジックでは無い
私は、
自分が隠しているものを知られてはならない。
だからフィルターをかけていた。
しかしパパラッチで破かれた。
俳優なのにも関わらず、一度人を殺していること
色々な異性と関わりを持ち、身体を重ねたこと
「バレちゃいけないんだよ、そうゆうのは」
「フィルターってね、人のプライバシーなの。破いていいわけないんだよ?」
「だから、死んで?」
そう言って、フィルターをかけた。
こぼれたアイスクリーム
私の好物はアイスだ。それは昔からずっと。
大好きな彼に出会い、幸せな時を過ごす時ですら、アイスは欠かせない。
そんな私が彼との子を妊娠した時も、幸せだ。
彼が喜んでお腹をさすった時も幸せだ。
彼は喜んで私を可愛がった。
身体を重ねた時ですら、私がアイスを好んで食べるのと同じように。
甘く優しい「バニラ」味。
でも怒った時は、苦くて冷たい「抹茶」味。
時々、ツンデレが発動する「チョコレート」味。
彼の蓋を開ければ、色々な味に出会えた。
でも、私は死んだ。
車に撥ねられたのだ。お腹の子とともに。
彼は泣いた。何味でもない彼。
初めて見た。
味が「こぼれた」アイスクリーム。
アイスは、どん底に落ちたせいか、
「「無味無臭」」だった。
やさしさなんて
俺は昔。人を殺した。
妻に虐待されていた、
娘を守るために、やむを得ず妻を殺した。
正しいのかは分からないが、真っ赤に返り血を浴びた自分を、娘が抱きしめた。
「ごめん、すぐに気づいてやれんくて。」
涙が溢れ出て、警察に連れて行かれる時ですら。
娘を見つめていた。
結果、妻がしていた虐待が正義となり、自分は執行猶予で済んだ。
娘と暮らし、何もかもが幸せだと思えた。
それなのに、周りは人はやさしさをくれた。
娘はともかく、近所の人、学校の教師。職場は。
いらない。いらない。人を殺した俺に。
やさしさを受け入れられない。
_やさしさなんて
__最初から、俺が受けるべきものじゃない。
そういう俺に、娘はやさしかった。
「私も。お母さんを殺したお父さんと同罪よ」
「だからやさしさなんて。って言わないで。あの人から守ってくれたのは。」
「紛れもない、ヒーロー(お父さん)でしょう?」