ごろ

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3/12/2026, 6:39:03 AM

平穏な日常



朝の通勤ラッシュ。
駅員はバタバタと仕事に追われていた。


西船橋駅勤務の彼は、さすが千葉一位と思えるほどの人の量に圧倒されながら、電車を捌いていた時のこと。

毎日、客が駆け込み乗車をし、電車が出発するまでの約10分間。


この時間が何度も続く。



その時に、ふと思う。



もし震災が起きて、電車が止まったら。
こんな平穏な日常はないのかもしれない。


「仕事しろ」


まぁ、駅長に注意されるのは、まだ

「平穏な日常」だろう。

2/25/2026, 3:36:32 PM

物憂げな空



彼女が、死んだ。人身事故で。
綺麗な夜景の下で。品川駅の線路に飛び込んだ。
最後まで、綺麗な姿だった。

ライトに照らされ、黒く反射した彼女の身体。

その後、世界は真っ赤に染まった。


その日の空は、物憂げな空だった。

彼女と品川に行く時に、見た朝日。
写真撮って、自撮りして、
自分のインスタのストーリーズにあげた。


ああ、こんなに寂しい空はあっただろうか

2/16/2026, 7:33:49 AM

10年後の私から届いた手紙


10年後。私から一件の手紙が来た。
入院中の私に、看護師が手紙を渡してくる。

「……?」

恐る恐る手紙を開ける。
私の字、私の文字の書き方。

「こんにちは、10年前の私。」
「あなたは、死ぬ。教えられないけど」
「10年後にはいないよ」

それだけ書かれていた。

「……」

そしてその翌年。
彼女は病室のベッドで冷たくなっていた。

真っ白の、血色のない顔に布がかけられる。



___



「〇〇ちゃん。余命1年だったんだってね」
「そうそう、親が最期に手紙を残したんだって」
「10年後の彼女から。というお題でね」

「どうやら、余命宣告を隠してたらしくて」

「だから、こう手紙で伝えるみたいな」


死んだ彼女の、写真を見ていた。
病室のベッドで、冷たくなった彼女は親友だ。

私の、唯一の


あの手紙は、親が最期に彼女を笑わせようとした
そして、絶望に叩き落とした。


『あなたは死ぬ』



その一言でね。

2/13/2026, 4:14:58 PM

待ってて


大好きな人に会うこと。
それはすごく楽しみなこと。

「待ってて」

楽しみにしていた。

急いで電車に乗って、彼氏の所へ向かう。

その時に、一言電話


「_〇〇さんの、彼女さん、ですね」
「__い、ま_病院_で」

「え」


楽しみにしていた。
それは事実である。

でも、怪我をしてまで会いたかった訳じゃない


「___まってて」

楽しみだった思い出。
楽しみじゃないよ、もう。


怪我するのは、嫌いでしょ。


うん私も、嫌い。


処置室の前、倒れそうなほど
心臓がバクバクしていた。


11/24/2025, 4:45:29 PM

君が隠した鍵


私は、この部屋で監禁されている。毎日朝、一人目を覚ませば、暗い部屋に入ってくる光を見る。

そして両手に湯気の出た朝ごはんを持ってくる男の顔を見ると、途端に苛立ちが湧いて彼に怒鳴る。

「出して。ここから。」

「……出せないよ、家にも帰れないのに」

そう、私は家に帰れない。家の場所を覚えていない。この男の顔も名前も覚えていない。

数年前に起こった、交通事故で恋人だった男の名前も顔も、自分のことすらも忘れ去った。

君が隠しているのは、私が無くした鍵だった。

私が、事故で彼との思い出に蓋をした。

それを彼が私に悟られぬように蓋の鍵を握っている。いつか、いつか記憶の箱が開くと信じて。

「家、家にかえ、りたい。」

同棲している彼に、そんなことを言っても意味が無い。私の頭にある家は存在しない。

帰りたい。と言っても帰る場所もないのだ。




だから君が鍵を隠した。


……私が、

自分の記憶と全てから逃げ出さぬように。

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