オアシス
私は死にたい。今も死にたい。
死にたいのに何故か息をしていた。
そんな私に当然オアシスなどあるわけもない。
つい先日。オアシスを壊されたのだ。
電車がオアシスだった私。山手線に乗り、ガタンゴトンと揺れる電車の音を楽しむのだった。
元々味方のいない人生から逃げるべく、死にたいと思っていて、それでも最後に楽しむことを探した。
それが電車になったわけだ。
しかし運命は残酷だ。
「席を譲れ!こちとら仕事帰りなんだ!」
「やめッ…!」
40か、50くらいの男が
私の腕を掴んで席を立たせた。
その後何度も声を掛けたが、無視される。
男は決まった電車に乗る私に目をつけ、毎度席を立たせるようになった。
怖がり、電車に乗るのをやめた。
心のオアシス。
「感情を伝えることが許されない。」
「なら、心なんていらないね」
「心のオアシス。」
「…あなたの心の在りどころでありますよう?」
「…………なにそれ」
「気持ち悪いね。」
____ガタン_ギィィィ
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死にたい彼女の言うこと。
死にたくても息をしている。
死にたいから心のオアシスを作ろうと周りが働く
彼女が、生きたいと思えた時に。
心のオアシスになってあげて欲しかった。
でも、それに気づいたのはもう遅かった。
7/27/2025, 4:17:41 PM