好きだよ
彼女が一番言って欲しかった相手には言ってもらえなくて
他の人からの偽りと本物の混じり合った「好き」で隙間を埋めて
生きてきた
でも偽りか本物かが見分けがつけるようになった今は
本物だけを選別して
偽りは寄せ付けない
ここまでくるのに時間が経ちすぎた
もう年老いて、先は短い
身体に爆弾も抱えてる
いつその爆弾が爆破するかの恐怖に怯えながら
その恐怖は彼女を蝕んでいく
だが、いつかは言ってもらえるかもしれない
現世では無理だとしても
あの人からの「好きだよ」
を待って、彼女は永遠の眠りにつくことだろう
桜
一人で見る桜
二人で見る桜
仲間と見る桜
桜にはたくさんの想い出がある
桜を見に行こう、を口実に誘われたデート
舞い散る桜の花びらをジッと見つめてた愛犬
お花見しようって誘った友達親子
こんなに思い出があるのに、
私はある年の春、あるところに閉じ込められていた
そこから出ることはできたけれど、
その後から、春が一層嫌いになった
嫌いだけど、心が躍って眠れなくなる日が続く春
私は何度この春をやり過ごせたら
自由になれるのだろうか
心をすり減らし、
とうとう、
本音で
言ってしまった、覚悟を決めた答え
なのに、私は今日もある人物を演じている
ありのままの私ではいられない
「君と」
君とはずっと一緒にいたかったけど
そんなことは許されないと勝手に思っていた
君との未来は想像できなかった
君といると心が落ち着いて
ありのままを受け入れてくれる安心感に包まれた
だけど
君と私との進む道は違っていて
並行にも走ってはいないし
交差することも
この先はないのだろう
でも、ありのままの私を受け入れてくれた
その記憶はいつまでも、
君との思い出として残る
空に向かって
自分がそうしたかったからなのか
母の願いだと言われて育ったからか
分からない
けれど、
自分の大切な人こそ
空に向かって大きく羽ばたいて欲しいと願う
自分にはできないから
私は地を這う
空なんか飛べない
うまく風を避けれないから
うまく風にのれないから
だから
私は地を這う
そして、大きく羽ばたいていった彼等を大地から眺める日を楽しみにしている
はじめまして
彼女が彼と初めて出会ったのは母国語を教えるサークルだった。
あなたは〇〇人ですか?
最初の質問だった。
〇〇国の人間として、ボランティアにきてるのに、不思議に思って、笑ってしまった。
連絡先を交換して、遊びに行くようになった。
カタコトの英語とカシオの電子辞書を手にして。
はじめましての記憶はとても印象深く、残っている。
色んな出会いと別れがあった。
彼女は今、人生の折り返し地点あたりといったとこだろうか。
年と共に出会いは少なくなるなんて彼女の母は言ってたが、
彼女の場合は違った。
興味のあるところに参加したり、仕事をする上で様々な「はじめまして」がある。
次の「はじめまして」はどんなものだろうか。
まだ見ぬ世界に、少しだけ期待で胸を膨らませている。