影絵
昔 小学生の頃 国語の時間に
国語の教科書に載っていたお話しがあった
題名は、はっきり自信を持って言えるほど
覚えていないので 濁すが
その話の内容も全くと言って良い程覚えて
いないのだが.... 唯一つ印象に残って居る
のが主人公とその家族が 影送りと言う
遊びをしていた事だ
多分 話の舞台は、現代では、無かった様な気がする....
確か.....影送りとは、広い道路や道に
大きく伸びた影が映りその影を瞬きをせずに 5秒~10秒だったか しばらくじっと
見つめてその後に大きな空を見つめると
影の残像が空に昇って行く様に空に映るみたいな事が書いてあった気がする。
私は、この遊びを小さい頃ちょっとだけ
やった記憶がある友達と手を繋いで
手を広げ広い道の上に出来る影をしばらく
瞬きせずにじっと見つめる しかし教科書に書いてあった通りにしたのに中々残像が
発見出来なかったが 最後に一回だけ
また友達とやったら空に白い影絵みたいに
昇って行く自分と友達のシルエットが
見えた。
一瞬だったが確かに見えた 空に自分達の
姿が写しだされまるで写真を撮られた様だった。.....
物語の始まり
『昔々ある所に』物語の始めの書き出し
部分は、いつもこんな感じ
そこからの肉付け作業がまた一番大変で
手間と言えば手間だ。
主人公(ヒーロー)
相手役(ヒロイン)
脇役(サブ)
それらキャラクターの名前や性格
生い立ちなども考えれば
膨大な情報量の山に埋もれる事になる。
頭が爆発しそうだ.....
しかし物語を始めてしまったからには
必ず終わらせ無ければならない
それが物語の始まりを書き出した
私の義務なのだから....。
静かな情熱
一心不乱にひたむきにキャンバスに
向かう君 周りの音も一切聞こえ無いかの
様に静かな情熱を燃やして 絵を描き上げる横顔が一つの絵画が額縁に嵌まる様に
美しかった。....
遠くの声
「おーい!」「おーい!」と遠くから
呼びかける声が聞こえる。
僕が振り向くと君がニカッと白い歯を
見せて手にクワガタムシ虫かごにカブトムシを入れて仁王立ちして立っていた。
これから始まる王様達の相撲取りに
ワクワクしている様だ。
彼は、虫かごからカブトムシを出し手に
持っていたクワガタムシをカブトムシと
相対させて角と挟みを交差させる様に
至近距離で2匹を向かい合わせた。
はっけよい残ったと言う様に2匹の
頂点を決める王様合戦が始まった
2匹を応援する僕と君の声が遠くの空の
青空まで響いていた。
春恋
隣の席の南君は、いつも授業中 寝ている
スピー スピーと寝息を立てる物だから
先生にも丸聞こえだった
その寝息をスルーして授業を続ける
先生も居れば 南君に的確に注意する
先生もいた。今日は、後者の先生だった
スパーンと良い音がした 先生が教科書を
丸めて見事に南君の頭に命中させていた。
「南 先生の記憶が確かならお前この前も
寝てたよな 何か先生の授業は、
つまらないか」先生が軽くそんな事を
言っていた。
すると南君が悪びれもせず
「先生 俺 寝ないと死んじゃう病気みたい」とにっこり微笑んでいた。
他のクラスメイトがクスクスと笑う中
隣の席の私だけが何だかあたふたしていた
「そうかじゃあそのまま永眠してくれ」
先生の辛辣なツッコミが入るが
南君は、どこ吹く風と言わんばかりに
二度寝に入っていた。
先生は、呆れて隣の席の私を見て
「花岡!」「はい!」私は、反射的に
返事をする。
すると先生は、「時間になったら起こしてやれ!」と先生は、私にそんな事を言って
授業に戻って行った。
「あ....は...い....」私は、自信なさげに
返事をする
そして授業が終わり皆が思い思いに帰り支度をしている頃私は、南君に声を掛け
揺さぶった
「南君!」と呼んでみるが南君は、「う~ん」と唸るだけだった。
私は、南君が中々起きないので南君の寝顔を覗いて見た。
トレードマークの赤い髪が綺麗だなあとか
長い睫毛が下を向いてお人形さんみたいだなあとか場違いな事を思っていると・・・
パチリと唐突に南君が目を覚ました。
私は、びっくりして思わず身を引く
すると南君が「う~ん」と唸って大きく伸びをした。
南君が時計を見る
「もうこんな時間か~ ふわあ 帰ろうっと」南君が鞄を持って椅子から立ち帰ろうとした時にふと私と目が合った。
何故か目を丸くして驚いた顔をしている
私は、何で南君がびっくりしているのか
分からず首を傾げる。
「あれ?花岡さんまだ帰って無かったの?」「え?」私は、その質問に固まった。
「え~と先生に時間になったら南君を
起こしてって言われて 南君中々起きなかったから思わず南君の寝顔を見てました」
私は、何も考えず馬鹿正直にありのままに
詳しく事柄を述べていた。
途端に南君が・・・「プッ アッハハハ
何ソレ 普通 律儀に待つ 花岡さんって
のんびりしてるって言うか 面白いね~」
私は、目を瞬き南君を見る
「そんなに面白い事したかなあ それに
のんびりって言うなら南君が一番のんびりだと思うけど?」と私は、首を傾げる
そうして南君は、目尻に残った涙を拭いて
「じゃあのんびりした者同士 一緒に
帰る?」南君は、鞄を持って私の方を
振り返る。
私は、特に断る理由も無かったので
南君の提案に「うん!」と頷いた。
私と南君の交流は、こうして始まったの
だった。....。