静寂に包まれた部屋
ドアを開けるとしーんと静まり返った部屋
誰も居ないその部屋に一人でいると
冷たく冷え冷えとした空気が肌を通る
誰も私を見つけてくれない
気付いてくれない
今日も一人寂しく 家具も何もない
殺風景な部屋の床にその身を横たえる
暖かみも感じられない冷たい床は
寂しさを増長させるだけだった。
嗚呼 私は、一人ぼっち誰か私を見つけて
【あくる日】とある井戸端会議
「やっぱり奥の部屋 誰か居るような物音がするの.... やっぱり呪われてるのよ....
だってその部屋は、誰も住んでいないはず
だもの....」
「あの部屋でしょ....女性が首吊り自殺した
部屋って きっと今でもその女性が幽霊に
なってあの部屋に住んでるのよ...」
「あまりに不気味だから今度あのアパートの奥の部屋お祓いしてもらうらしいわよ」
そんな噂話をする中年女性達
あれ?何で部屋に入れない何で私は...私....
嗚呼 そうだ 私は、死んだんだ....
上司のパワハラ セクハラに耐えに耐えて
私は、とうとう耐えきれなくて死んだんだ
誰も遠巻きに見るだけで助けてくれなかった。
一人暮らしに憧れて家賃6万のこのアパートで新しい生活を始めた
両親に仕送りもしてやっと親孝行が出来ると思ったのに....ごめんなさい
お父さん お母さん 私が弱いばっかりに
親不孝をしてしまった 二人に心配や
迷惑を掛けたくなくて会社の事は、
二人に話せ無かった。
結果的にそれが二人に迷惑を掛ける事に
なるなんて死んでから気付く愚かな娘を
どうか許して下さい さようなら
死んでからも私は、追い出されてしまった
やっぱり私は、誰にも見つけられなかった
やっぱり私の存在意義なんて何も無かったんだ こうして私は、誰にも必要とされず
私の魂は、消えて行った
【お祓いをして一ヶ月後】
「わあ~パパ ママ この部屋 他の部屋に比べて凄い綺麗だよ!!」
「本当ね 他の部屋は、床にシミやキズが
少しだけど付いてたのにこの部屋は新築みたいに綺麗だわ!」
「きっと前使っていた住人の人が大切に
丁寧に使ってたんだなあ....」
「ママ パパ 私この一番奥のこの部屋に
住みたい!」
「そうね パパもママも賛成よ!
こんなに綺麗に片付けられた部屋なんですもの きっと前の住人さんが気遣いが
出来る優しい人だったのね」
「僕達も大切にこの部屋を使わせて貰おう」娘と母親も父親の言葉に嬉しそうに
頷く
こうして彼女の優しい性分を間接的にでも
分かってくれる人が現れたのは彼女に
とっては、救いになったのかもしれない
しかし本当の所は、永遠に分からないまま
だった。....。
心の灯火(番外編)21の続き
別れ際に(番外編)22
●別れ際が寂しいシズクちゃん
今日は、皆でティーパーティー
帽子屋のナイト 白兎のミーナ
魔法使いのハロルドその助手のマリア
そしてシズクちゃんと灰色猫のハイネで
楽しいお茶会をしていました。
しかし楽しい時間は、あっという間に過ぎて行き皆帰る頃になりました。
別れ際 皆は、シズクちゃん達に手を振り
帰って行きました。
皆が居なくなり 静かになると
シズクちゃんは、急に寂しくなり
泣き出してしまいました。
「うっうええっ ひっく....ひぐっ...」
「どうしたんだ お前」皆が帰った後
パーティーの後片付けをしていたハイネは
さっきまで皆と笑っていたシズクちゃんが
何の脈絡も無く泣き出したので困惑して
いました。
ハイネはシズクちゃんを抱き上げシズクちゃんの背中を叩いて落ち着かせます
するとシズクちゃんがハイネの首元に
抱き付いて「皆....帰っちゃって....寂しい」と言いました。
ハイネは、そんなシズクちゃんに苦笑して
「馬鹿だなあ....皆 お前に手を振って
くれただろう バイバイって....
また会おうねって またいつでも会いに
行けるだろう.... それにお前には俺が
いつでも側に居るだろう だから大丈夫だ」シズクちゃんは、ハイネの言葉に
素直に「うん」と頷きまたハイネの首元に
抱き付きました。
ハイネは、(最後の言葉は、ちょっと
言い過ぎたかなあ....)と自分でもちょっと
恥ずかしい事を言ったかもと少し後悔しましたがシズクちゃんが.....「えへへへ」と
嬉しそうに にっこりまた笑ってくれたのでハイネは、安堵してシズクちゃんと
一緒に後片付けをしてそして夜が
深まった頃一緒に眠りにつきました。
めでたし めでたし!!
形の無いものの続き
通り雨
ハイネクラウンは、今 最高に幸せだった
外に雨脚が強い通り雨が降っていても
全然憂鬱にならなかった。
「ハイネ~これ私の....傘....使って....」
シズクが自分の赤い傘をハイネに差し出す。
「はぁ 別に通り雨だしすぐ止むし
要らねぇよ!」シズクの好意は、嬉しいが
本当に通り雨らしくさっきまで強い雨脚
だったが だんだんと弱い雨脚になって
きている。
家までだったら走って帰れる。
「でもミーナと....ナイトは....一緒に傘を
差して帰って行ったよ....」
「まぁ あいつらは、一緒に住んでるし....
それに二人っきりになりたいんだろう!」
此処の所ミーナとナイトには、世話をかけさせてばかりだったのでたまには二人っきりにさせてやろうとハイネなりの配慮だった。
するとシズクが少し俯いて....
「じゃあ....私が傘を差して ハイネを
送って行く....」と何だかシズクが決意した表情でそんな事を言うから....
「はぁ! 良いって 帰りお前が一人になる
だろうがそっちの方が危ないだろう!
もう良いよ雨止んだしもう行くじゃあな」
とハイネが背中を向けて立ち去ろうとした
時シズクがハイネの腕を引っ張った。
「じゃあ私の傘だけ持って行って....
そうしたら 返す時....少しだけハイネと
二人っきりになれるから....」そう言って
シズクは、ハイネにはにかむ
「私....ハイネの....か....彼女として....
ハイネに....もっと....好きになって貰える
様に....頑張るね....!」そう言ってシズクは
赤い傘をハイネに渡し自分も顔を赤くして
そのまま逃げる様に寮に戻って行った。
そんなシズクの立ち去る姿を見ながら
ハイネもまた顔を赤くしていた。
そうしてそのまま顔を隠す様に地面に
しゃがみ膝に自分の顔を埋める
(馬鹿シズク....あいつ俺を殺す気か...)
ハイネは、赤い傘を大事に握りしめ
もうとっくに雨が通り過ぎて
眩い陽光が差し込む空へと一歩踏み出し
口元を緩ませて自分の幸せを噛みしめるのだった。
秋🍁
やっと来たよ秋 待っていたよ秋
きっと今年の秋も短いんだろうなぁと
思いながら 貴重な秋の有り難さを
私は、噛み締めている。
窓から見える景色
自室で勉強をしているとコンッ コンッと窓を叩く音がした。
不思議に思って開けてみると
幼馴染みが下から手招きして
「ちょっと出て来いよ!」と呼んだので
階下に降りて行って外に出た。
幼馴染みは、自転車を家の壁に寄せ自分は、立ちながら片手を挙げもう片方に
持っていた袋から肉まんを取り出した。
「あんまんの方が良い?」と聞いて来たので僕は、「別にどっちでも」と答える。
しばらく二人で中華まんを食べながら
ぼーっとしていると幼馴染みが.....
「受験生だからってあんまり根 詰めるなよ たまには、息抜きも必要だぜ」
なんて気遣ってくれるが 僕は
「君も受験生でしょ」と返した。
「俺は、スポーツ推薦が決まってるから」
「でも勉強は、しといた方が良いよ」
「分かってるよ!慌てない程度には
してるよ」幼馴染みは、僕を横目で見て
唐突に自転車に跨がり「じゃあな」と言って去ってしまう 果たして僕と幼馴染み
実際は、どちらの息抜きになっていたのかは 定かでは無いが僕は幼馴染みを
見送りまた部屋に戻って勉強を始めた。