大事にしたいの続き
形の無いもの
シズクは、そっと目を開ける。
気が付いたらシズクはベッドの上に寝かされていた。
シズクは、ぱちくりと瞬きをし大きな丸い目を見開く
(....あれ?此処 何処だろう....)
気が付いたら見慣れない白い天井
白いシーツを敷いたベッドの上に寝かされていた。
まるで病院みたいだ....
シズクがキョロキョロと辺りを見回すと
コンコンッと小さくノックの音が響き
誰かが部屋に入ってきた。
そこにいたのは....
「ルークさん!」シズクは、ベッドの上から降りルークの元に駆け寄る。
「シズクちゃん....」シズクは、首を傾げる
何だかルークの顔が憔悴しきっていたからだ 「ルークさん....どうしたんですか?」
ルークは、シズクの心配そうな顔を見て
シズクに腕を伸ばしシズクを抱きしめた。
「シズクちゃん....今までごめん
謝って済む問題じゃないけど....本当にごめん 君を弱いなんて言って...
弱かったのは、僕の方だ.... 本当に....ごめっ....」ルークは、シズクを抱きしめながら
泣いていた。
「ルークさん?」シズクは、事情が良く
飲み込めなかった
でもルークが泣いていたのでルークの事を
抱きしめ返した。
そうして、ルークにお礼を言った。
「ルークさんのアロマセラピーのおかげで
.... 夢で....お父さんに会えたんです
本当にありがとうございました」シズクは
ルークに にっこりと笑いかけた。
まさか目の前の男に自分が殺されかけたなど夢にも思わず.....
目の前の優しい姪の笑顔を見てルークは
ティアの笑顔と重なった。
そうしてこの姪には、敵わないなぁと今
やっと確信したのだった。
こうしてルークは、事情聴取の為
シズクに何も告げずに静かにシズクの元を
去った。
しかしシズクの事だからまたルークが
顔をみせたらいつでも歓迎するだろう
そうしてシズクは、病院の検査を終えて
またバインダーの寮暮らしに戻った。
そして....「「シズク」」ミーナとナイトが
シズクの元に駆け寄る。
「ミーナ....ナイト....」シズクも久しぶりに
会えた二人に涙ぐみながらミーナとナイトに抱き付いた。
「よかった本当に良かった シズクが戻ってきて」ミーナも涙を流してシズクを
抱きしめる。
ナイトもそして後ろで見守っていた
マリアとハロルドも皆笑顔だった。
そうして皆と挨拶を交わしシズクは、
キョロキョロと周りを見回す。
「ハイネは....」シズクのその言葉に
ミーナとナイトは苦笑して
「ハイネは、ちょっとお見送り」とナイトがシズクに教える。
そうしてシズクは、ハイネが居ないのが
残念で少し落ち込む
そんなシズクの様子にミーナが
「シズクどうしたの?」と声をかける
ミーナの呼びかけにシズクは少し躊躇う
様にけれど勇気を振り絞ってシズクは
皆に告げる。
「わ....私...」シズクは、目を瞑りながら
言葉を紡いだ。
「す....好きな人が出来たの!!」そんなシズクの爆弾発言に「「えっ!」」とミーナと
ナイトは、驚く
思わずナイトが「それってハイネは知って」とナイトが言い掛けると
シズクは、顔を真っ赤にして
ぶんぶんと首を振る。
シズクのその反応に察しの良い四人は....
「そう言えばハイネ君なら中庭の方に
居たなあ そろそろ仕事の話もしたいし
シズク君呼んできてくれるかい?」
ハロルドのその言葉にシズクは、パッと
顔を輝かせて「うん!」と頷き一目散に
中庭の方に掛けて行った。
ミーナとナイトが心の中で....
(ハイネ頑張れ)(ハイネの奴躊躇ったり
誤魔化したりしたら承知しないんだから!)
なんて思ったりしていた....
シズクの中の形の無かった恋心が外に溢れて止まらなくなっていた。
早く伝えたい大好きなあの人に
シズクは、大好きなあの人の元まで
夢中で駆けたのだった。
ハイネは、タマ達と最期の挨拶をしていた。
『ハイネ少年ありがとう 君のおかげで
片割れに会えた』タマは、隣に居る片割れを見てハイネにお礼を言う
ハイネは、ぶっきら棒に....
「俺は、別に何も.... 俺の方こそ
ありがとなタマ....お前が居なかったら
シズクを助ける事が出来なかった....
だから....ありがとう....」
タマは、ハイネに....『ハイネ少年 君にとってその助けた子は、大切な子なのかい?』タマのそんな問いかけに
ハイネは、真っ直ぐ視線を合わせ
「ああ....」と答える。
それを聞いてタマもといイクスは
とても安心した様な心持ちになった
『そうかい じゃあ僕達は、もう行くよ
願わくば もしもう一度人間に生まれ変わる事ができたら君ともう一度会って語り合いたいよ!』イクスは心の中で
【主に娘の可愛さについて】そうして
タマは、自分は、シズクの父親だとは
ハイネ達には名乗らず
(ハロルドとマリアは気付いていたが...)
片割れ(ティア)と一緒に魂の道に戻ったのだった....
タマ達を見送ったハイネは、ふぅ~と息を
吐いた。
シズクが皆の所に戻って来たそれがハイネには嬉しくてたまらない
しかし次にシズクに会った時自分の気持ちを伝えようと決めていたハイネはさっきから心臓の鼓動が止まらない
ハイネは、胸を押さえてもう一度深呼吸する。(しっかりしろ 俺....)
シズクに告白するんだ フラれても嫌われても良いから俺の気持ちをシズクに知って貰いたい
もう自分の気持ちを誤魔化してシズクを
失いたくない....
ハイネが決意したその時....
「ハイネーーっ」大きなシズクの声が
聞こえた。
ハイネが振り向くとシズクが全速力で
こっちに走って来ていた。
「馬鹿シズク 走るな 転ぶぞ!」
案の定シズクは、躓いて転びそうになる
「あ.....」シズクが倒れそうになったその時
ハイネがシズクの体を抱き止める。
「ったく だから言っただろう!」
「ハイネ.....」シズクはハイネを見上げて
涙を零す。
そうしてハイネの胸に自分の顔を埋めて
「あ....あのね.... 私ハイネに言わなきゃ
いけない事があるの.....ハイネ怒るかも
しれないけど....聞いて欲しいの....」
「....何だよ.....」ハイネはしゃがんで
シズクに目線を合わせる。
シズクは俯いて もじもじしながら
「私....ハイネの事が....好きなの特別なの」
シズクは、真っ赤になって目に涙を浮かべる。
しかしいつまで待ってもハイネから
返事が無い やっぱり怒って居るのかなあ
シズクは、不安になって「ハイネ....」と
呼びかける。
見るとハイネが頽れて蹲っていた。
「ハイネ....どうしたの?」シズクは、
心配になってハイネの名前を呼ぶ
「俺って最後の最後まで情けない....」
「え?」シズクは、ハイネの声が聞こえなくてもう一回聞き返そうとした時
唐突にハイネに抱き締められた。
「お前やっぱり....凄いな....俺は、こんなに
緊張して躊躇ってたのに.... お前は、
こんなにすぐ俺に届けてくれた」
「....ハイネ....」シズクがハイネの顔を見る
ハイネは、シズクと目線を合わせ口元を
甘く緩ませる「馬鹿シズクお前が先に言うんじゃねぇよ!俺の方がずっとずっとお前の事が最初から好きだったのにお前に先に
言われたら俺の立つ瀬がねぇだろう....」
ハイネは、シズクの後頭部に手を寄せ
自分の腕の中にシズクを閉じ込める
「大好きだシズク お前が居ないと俺は
駄目なんだ だからもう二度と俺の前から
居なくならないでくれ!」ハイネの目からもいつの間にか涙が零れる。
「...ハイネ.....っ....ひくっ ひぐっ
うん.....私ハイネの側にずっと居る....
もう離れない....」シズクは、嬉しくて涙が止まらない..... 二人の思いが今やっと実を
結び繋がったのだった。....。
ジャングルジム
私は、ジャングルジムに登れない
いつもジャングルジムの中に入って
隙間から皆がジャングルジムの上を登るのを
見ている。
皆が高いジャングルジムに登って
景色を見る様に
私は、下から皆が登る姿を見ている
ジャングルジムに登って見る景色は、
最高だと私の友達は言っていたけれど
下から皆の靴底や登ってる姿を見ると
皆に取り囲まれてる感じがして
何だか檻に閉じ込められている様な
自分だけ皆に守られて安全地帯に居る様な
不思議な心地になるんだ。
下から俯瞰して見る景色もまた独特だと思うのは私だけでしょうか?
声が聞こえる
何も聞こえないと貴方は、耳を塞ぐ
でも待って 嘘をつかないで
貴方は、ちゃあんと私の声が聞こえている
でしょう....
だって ほら 目が合うと貴方は、驚愕の
表情を浮かべ 私が口の先を頬まで吊り上げて笑うと貴方は、ぐりんと体の向きを変え一目散に私に背中を見せて逃げて行く
ほらやっぱり 私の声が聞こえている
じゃない 聞こえているのに無視しないでよ 貴方が答えてくれるまで私は、貴方を
呼び続ける。
答えてくれるまでは、一緒に鬼ごっこをして遊びましょう!!
まずは、私が鬼ね!!行くわよ
12の3 あ・そ・び・ま・し・ょ・う!
あ~あ楽しい~ ふふふふふっ
秋恋
マロン スイートポテト パンプキン
秋限定 3種のパフェのどれを食べようか
迷ってる。
秋は、美味しい物の宝庫
実りの季節
私は、秋の味覚に恋してる。
本気の恋の続き
大事にしたい
広い空間に禍禍しいオーラが充満する。
四対一なのにさっきから攻撃が届かない
(何だ....あの剣....)ハイネは、ルークファーラムが持っている長剣に瞠目する。
その剣が攻撃を仕掛ければ仕掛ける程
剣の禍禍しいオーラが強くなる。
まるで穢れを纏っている様なその長剣は
魂の色を映せるハイネの瞳には、死者の
嘆きの感情の色が視覚に流れ込んでくる。
『憎い 悲しい 寂しい 死にたくない』
ハイネは、その奔流をもろに受けてしまい
立ち眩んだ。
「っ....」眼鏡越しにその禍禍しいオーラを
見るのが精一杯だった。
(何だまるで穢れをあの剣に集めた様な...)
そんな印象をルークが持っている剣から
受けるハイネ なんだか魂達が泣いている
様に感じその魂達の感情に呼応して
ハイネの目から一筋の涙が流れる。
(くそっ....)ハイネは、流れた涙を眼鏡の間から指先を入れて拭う
そうして、一際悲しい感情のオーラをハイネは、見つける。
寂しさと悲しさを集めた様な暗く濃い藍色
その感情の色のオーラはルークファーラムに纏わり付いていた。
(何だ....どの魂の色だ....)ハイネは辺りを
見回す。
するとハイネの耳に『ヤ....メテ....』と言う
断片的な声が聞こえた。
(これは....)ハイネが声を頼りに視線を
転じるとルークファーラムの後ろにある
鳥籠からルークファーラムに纏わり付いている悲しみの感情のオーラが見えた。
『もう....やめて.... これ以上は壊れてしまう だからやめて私の大切な....』
鳥籠の魂の声がか細く揺れる。
ハイネは、何だか胸の中にぽっかりと穴が
空いた様な喪失感に囚われ堪らず他の
仲間が止めるのも耳に入らず
ルークファーラムの懐に飛び込んだ。
一方....ルークファーラムは、もう身も心も
穢れに飲み込まれていたがルーク本人は
自分の異常に気付いていなかった。
唯 目の前の敵を倒しシズクを手に入れ
器としティアを蘇えらせる事しかもう頭に
なかった。
そう彼は、もうとっくに壊れていた。
あの日の事故を境に....
ルークファーラムにとってティアファーラムは、最愛の人だった。
何よりも代え難い大切な人だった。
もちろん正真正銘 血が繋がった姉弟では
あるがルークファーラムにとって自分の
人生には、姉が全てだった。
姉の幸せは、自分の幸せでありイクスと
ティアが結婚した時もイクスなら姉を
守ってくれると信頼もあった。
シズクが生まれた時も二人に愛されてすくすくと何不自由なく育っていくシズクを
見て小さな嫉妬は、あったが....
姉に似た顔立ちの姪を慈しむ心も確かに
あったのだ.... あの事故が起きるまでは....
あの事故で、ルークの心は、壊れてしまった ティアの娘であるシズクに歪んだ憎しみの感情を抱く事で 何とか自分を保っていた。
その感情が間違いである事も最初は、
分かっていただけど悲しみがルークの心を
蝕んで行った シズクを見るとティアを
思い出して辛かった
だからルークは、シズクを見ないように
シズクの元から去った。
しかし一人になるとルークの精神は、
どんどん正常を保てなくなり
時折 幻覚を見るようになった。
ティアがどうして守ってくれなかったのと
自分を責める幻覚だった。
その幻覚に苛まれてルークの心は、摩耗していった。
そんな時姪がバインダー局と言う特殊な
施設に預けられた事を知った。
ルークは、何も言わず置いて行った姪の
様子を見に行った。
もう心が限界だった 姪も僕と同じ
辛い想いをしていると思い会いに行った。
今思えば姪に一種の同調をして欲しかったのかもしれない....
しかし予想に反して姪は、預けられた施設で嬉しそうに笑っていた 楽しそうにしていた。
その姿を見て僕は、悲しくなった。
僕だけが置いていかれたように感じた。
そうしてルークファーラムは、シズクファーラムに理不尽な憎しみを抱くようになった。
そしてその憎しみは、もう自分では、
止められなかった。
「みんな みんな 僕の邪魔をする者は
全部消えろ!無くなれ!」
そうしてルークファーラムが剣を振り翳した時そこにハイネが飛び込んできた。
「もうやめろ!」ハイネは、涙を流しながらルークファーラムが纏っていた悲しみの
オーラを鎌に纏わせてルークファーラムの剣の懐に入り込みそうしてそのオーラを
ルークファーラムに叩き付けた。
叩き付けられたルークに痛みは、無かった
唯 叩き付けられたはずのオーラが徐々に
人型に具現化して....
そうしてルークは、気付いたらその人型に
抱きしめられていた。
その人型は、ルークの最愛の人の姿を取っていた。
「姉さん!」ルークはティアの腕の中で
暖かな涙を流していた。
『やっと届いた私の大事な人』ティアは、
ルークを優しく抱きしめた。
その瞬間ルークを取り巻いていた禍禍しいオーラが取り払われた。
「姉さん 姉さんうっ うっうわああーん
ごめっ ごめっ....姉さん守れなくてごめん」そうしてルークはティアの腕の中で
子供のように泣きじゃくったのだった。
こうしてハイネやティアみんなの頑張りで
ティアのたった一人の大事な弟の心は
守られたのだった。
同じ頃もう一人の大事な人の命が
イクスのおかげで目覚めようとしていた。