Saco

Open App
9/3/2024, 1:13:15 AM

海へ(番外編)⑳の続き

心の灯火(番外編)21

●灰色猫ハイネの受難

灰色猫ハイネは、買い物に行って来ると
シズクちゃんに留守番を頼みました。

「俺が帰って来るまで家の鍵を開けるなよ
部屋から出るなよ!分かったな!」
とシズクちゃんに言い聞かせました。
シズクちゃんは「うん!」と元気良く
頷きました。

(返事は、いつも良いんだけど....)とハイネは少しの不安を残しシズクちゃんを
置いて買い物に行きました。



買い物を終えたハイネ
(思ったより早く帰れそうだ良かった...)
ハイネは、急いで家に向かっていました。
するとそこに.... 「おい お前」と
ハイネに声を掛ける者がいました。
「久しぶりじゃねぇか最近見ないから
死んだと思ってたぞ!」

ハイネがその声に振り向くと
猫耳と尻尾を生やした男が立っていました。
(あ~こいつは....)ハイネが記憶を呼び
起こすとハイネが野良猫だった時に
よく話していた野良仲間でした。

「あ~お前か~」ハイネは久しぶりの
仲間に挨拶をします。
すると野良仲間がハイネが持ってる
買い物袋を指差します。
「お前それまさか自分で買ったのか?」
「ああ今は、人型になって人間と一緒に
仕事をしてお金を稼いでるんだ 
俺の飼い主がまだガキだから俺が代わりに
稼いでるんだ!」ハイネは、隠す必要も
無いので正直に今の現状を説明します。

それを聞いて野良仲間は、目を剥きました
「お前 今 人間に飼われてるのかあ
驚いたあんなに誰かと居るのを面倒くさがってたお前が!人間に拾われたからって
お前が大人しく飼われてるとは俺には
思えねぇんだが.... どういう風の吹き回しだ」
野良仲間が揶揄う様にハイネを見ます。
ハイネは、視線を逃がす様に
「まぁいろいろあって....」と誤魔化します

「まぁお前の事だからその内飽きたら
出ていくんだろうがよ!
まぁ好きにやんな じゃあまたな!」と
野良仲間は、ハイネに手を振りその場を
去ります。
「ああ...」とハイネも手を振り返し
その場を後にしました。

家に帰って荷物を置くと何故か
シズクちゃんの姿が見当たりません
(鍵が開いてる....あいつ外に出たのか....)

ハイネは、外に出て声を出して
呼んでみました。
「お~い!」と大きな声で呼びかけると....
「あっハイネ!」とぴょこりと
シズクちゃんが庭の裏手の方から駆けて
きて「おかえりなさい!」とハイネの
胸に一目散に飛び込みます。
ハイネは、シズクちゃんを抱き上げて
「お前~外に出るなって言っただろう」
とハイネは、シズクちゃんにやんわりと
注意しますがシズクちゃんは、首を
傾げて「外に出てないよ!ちゃんと
お家のお庭でお花を摘んだもん!」
とシズクちゃんにとって家の敷地内にある
庭は、お家の中だと認識しているのです。

ハイネは、深く溜息をつきました。
「まあいいや 昼飯の準備するから
家の中で遊んでてくれ」
シズクちゃんは、ハイネの首元に抱き付き
「私もお手伝いする!」シズクちゃんは
元気良くハイネに立候補しました。
ハイネは、それを見越した様に
「はいはい じゃあご飯が出来たら
皿とかスプーンとか箸とか並べてくれ」
「うん!」シズクちゃんは、嬉しくなって
またハイネの首元に抱き付きました。
こうして二人は、仲良く家の中に
入っていきました。

ハイネは、野良仲間に『お前の事だから飽きたら出て行くんだろう!』と言われた
言葉を思い出します。

でもハイネはシズクちゃんと暮らし始めて
自分の心にぽっと灯りが灯るのを自覚して
から自分から出て行きたいとは思えなく
なっていました。

どんなにシズクちゃんに振り回されて
大変になろうともシズクちゃんが自分と
離れたいと思うまではシズクちゃんの傍で
過ごしたいとハイネは思うのでした。

9/1/2024, 10:52:19 AM

開けないLINE

開けないLINE 未だに赤いピンマークが
刺さっているLINE 君からのメッセージだと
分かっているから余計に開けない

笑顔の君の写真をロック画面にしている
僕にとって 君の泣き顔のスタンプを
見るのは、忍びない

朝から並んで限定30個のメロンパンを
買いに出た君 午前中には、売り切れると
SNSに書いてあったそれを早朝5時から
うきうきで家を出た君

そうして『買えたら報告するね!』と
僕にとびきりの笑顔を見せて意気揚々と
出かけていった君

スマホの♪♬~と言う音楽と共に
画面の上の方には報告と言う文章と
共に↓のマークが表示されていた。

これは、....と僕は予感がした。
彼女が買えなかった場合
次は、同じ地方に行って買いに行くのは
多分僕だ....
僕は、彼女が帰って来るまでLINEに
気付かない振りをして無視を決め込もうと
決めた下手に開いて既読なんて付けよう
ものならそれが決定事項になってしまう
彼女が帰って来るまでに彼女の気が
変わっているかもしれないと言う
一分の望みに懸け僕は、彼女が帰って
来るまで無駄な抵抗を続けるのだった。

9/1/2024, 1:16:09 AM

不完全な僕

終わらないデスクの上に広がった
資料の山 データをコピーし
計算し入力しいつまで経っても
終わらないその上残業は、なるべくしない
様にと上司に言われていた

(はぁ~今日中に終わるのかなあ...)
どう見ても残業しても終わらない量
何故僕は、こんなに仕事を抱え込んでしまうのだろう
昔から要領が悪く真面目でつまらない人と
言われ続ける僕
そして仕事をこなすのも遅くいつもチームの皆に迷惑を掛けている。
(駄目だなあ僕って....)そうして
僕は、落ち込んでいた。


しばらくすると....
はっと僕は、目を覚ます。
(いけない眠ってしまった....
これじゃあ結局また残業になって
上司に小言を言われる)と内心で僕は、
諦めの溜息を吐く。

すると僕の横手から声がした。
「先輩 お疲れ様です!入力自分が
してみたんですけど勝手にごめんなさい
起きて早々悪いんですがミスがないか
チェックして下さい」と僕の傍に資料を
差し出す後輩
他にも....「しまったコピー機に紙が
詰まった誰か見てくれ!」
「何やってんだよ馬鹿 俺が見るから
ちょっとどけ!」

「要らなくなった紙あったらシュレッダー
掛けるからこっち持ってきて!」など
僕の耳にチームの仲間の声が聞こえた。

僕に資料チェックを頼んだ後輩が
僕にそっと耳打ちする。

「皆 なんだかんだ先輩の事が心配で
様子見に来たみたいです
皆 考える事は、一緒ですね!」とその後輩はウィンクして僕がチェックした資料を
回収してまた入力作業に戻っていった。


皆の姿を目に焼き付けて僕は思う
僕自身は、不完全で至らない所が多いけど
僕たちのチームは、....
  完璧で最高だと至らない僕でも
それだけは、堂々と胸を張って
宣言できると胸の中で確信の矢が僕に
刺さった。

8/31/2024, 12:30:07 AM

香水

お姉ちゃんの部屋の棚に並んでいる
香水の瓶
私が触ろうとすると「あんたにはまだ早い」とぴしゃりと手を叩かれる

ぷっくりと頬を膨らませ私が不満を
露わにするとお姉ちゃんは
苦笑して「あんたが大人になったら
付けてあげる」

私は、その言葉を信じ大人になるのを
待ち望んでいた


そうして、大人になり初めての彼氏が
出来るとお姉ちゃんが私に
プレゼントをくれた。

初彼氏記念と書かれたカードと共に
プレゼントの包みを開けると
中には、ピンクの液体が入った小瓶が
入っていた。
「掛けてみて!」とお姉ちゃんがにっこりと
言うので私は、首筋にプシュッと
噴射口のボタンを押して首筋にピンクの
香水を掛けてみた。

鼻から妖艶な甘いローズの香りがした。
お姉ちゃんが「私とお揃い!」と私が持っているのと全く同じ瓶を掲げてにっこりと
笑っていた。

私もお姉ちゃんに笑い返した。
こうして、私は、お姉ちゃんと同じ
大人になった。

8/29/2024, 11:01:27 AM

言葉はいらない、ただ・・・

言葉はいらない、ただ・・・
この手の温もりがちゃんと貴方に
伝わっています様に・・・

貴方の手を握りそれだけをただ願う・・・

Next