香水
お姉ちゃんの部屋の棚に並んでいる
香水の瓶
私が触ろうとすると「あんたにはまだ早い」とぴしゃりと手を叩かれる
ぷっくりと頬を膨らませ私が不満を
露わにするとお姉ちゃんは
苦笑して「あんたが大人になったら
付けてあげる」
私は、その言葉を信じ大人になるのを
待ち望んでいた
そうして、大人になり初めての彼氏が
出来るとお姉ちゃんが私に
プレゼントをくれた。
初彼氏記念と書かれたカードと共に
プレゼントの包みを開けると
中には、ピンクの液体が入った小瓶が
入っていた。
「掛けてみて!」とお姉ちゃんがにっこりと
言うので私は、首筋にプシュッと
噴射口のボタンを押して首筋にピンクの
香水を掛けてみた。
鼻から妖艶な甘いローズの香りがした。
お姉ちゃんが「私とお揃い!」と私が持っているのと全く同じ瓶を掲げてにっこりと
笑っていた。
私もお姉ちゃんに笑い返した。
こうして、私は、お姉ちゃんと同じ
大人になった。
言葉はいらない、ただ・・・
言葉はいらない、ただ・・・
この手の温もりがちゃんと貴方に
伝わっています様に・・・
貴方の手を握りそれだけをただ願う・・・
突然の君の訪問。
それは、音もなく現れる。
気配を消し、静かに忍び寄る。
しかし突然の気配を察知し
居ると思ったらもう臨戦態勢に入っていた。
奴の訪問を許してしまった。
さぁ戦いだ。
右手に殺虫剤 左手に筒状に丸めた
新聞紙
奴の訪問はいつも突然
決まってこっちが気が緩んでいる時
しかしこっちが警戒心を持つと奴は
絶対に姿を現さない
それは、分かっているのだが....
居ると分かった以上落ち着かないのだ。
耳を潜めるとカサカサッと音が聞こえ
私は、ぱっと「そこだぁーーっ」
バシン新聞紙を思いっ切り床に叩きつけた
的確に狙いそれは見事に命中
奴は、伸びていた。
しかしまだピクピクしている一時的な
痙攣状態のようだ。
私は、此処で逃してなるものかと
容赦なく奴に殺虫剤を噴射する
そうして奴は、ぱたりと動かなくなった。
ふぅーーっと私は、息を吐いた。
奴との戦いは、終わった。
今日も平和は守られた。
雨に佇む
雲一つない真っ青な空の下
何時にも増しての晴れの日に俺は
気分が良くなり大きく伸びをする
空が快晴だと気持ちも爽快だ。
そんな晴れやかな心持ちに水を差す様に
俺の横を過ぎる様に一人の男が俺を
横切る。
そうして俺は、信じられない物を見る
俺を横切ったその男は、この晴れの日に
黒い傘を差していた。
そしてよく見るとその男の居る空間だけ
土砂降りの雨が降っていた。
まるで太陽の光に嫌われたかの様にその
男の周りだけ常に雨雲が張り付いているかの様に雨が降り続ける歩いても
立ち止まってもその男は延々と雨の中に
佇んでいた。
まるで雨の化身かの様に
いつまでもいつまでも雨を引き連れていた。....。
私の日記帳
赤い表紙の日記帳を文房具屋さんで買った
赤色をバックにしたチェック柄が私の好みにドンピシャに嵌まり一目惚れして
即購入した。
日記帳と言うと毎日の出来事を書くのが
普通だが私は、お菓子作りが趣味なので
この日記帳には、自分で考えたオリジナルのお菓子のレシピを絵付きで書いて行こうと思う
今からお菓子の色とりどりのイメージ画が
頭の中に浮かんでしまい甘くて美味しい
お菓子がノートの上で踊っている様だった
何だか想像したらお腹が空いてきた
とりあえずどんなレシピを書こうか
参考までに私は視察と腹ごしらえを兼ねて
スイーツ屋さんに寄って行く事にした。