友達の思い出(番外編)⑦の続き
七夕(番外編)⑧
●織姫と彦星の一年に一回の出逢い
7月7日七夕の日
織姫と彦星が一年に一回 出逢う大切な日
その日には、必ず笹の葉にてるてる坊主が
吊されていた。
そうして必ず毎年決まった願い事が短冊に
吊される。
織姫さんと彦星さんが今年もちゃんと
会えますように 今年の七夕の日も晴れます様に (シズク)
そう シズクが毎年 七夕で願う事は
毎年この願い事だった。
皆に自分の願い事を書くんだよと教えられ
毎年願い事を考えるが 結局 最終的に
願う事は、毎年いつも同じこの願い事だった。
そうして、シズクは窓の外をじっと見て
この日が終わるまで雨が降らない様に
空を見続ける。
(織姫さんと....彦星さん....会えたかなあ)
シズクは、二人が幸せそうに手を繋いで
話している姿を目に浮かべる。
そんなシズクを皆 苦笑しながら
微笑ましい視線を向けていた。
ハイネだけは、呆れながら溜息を吐いて
(だから....自分の願い事を書け!!
馬鹿シズク....)なんて思って居たが
決して指摘は、しない....
そうしてシズクの願いが今年も届いたのか
夜になっても雨が降る事はなかった。
夜空には、二つの星が一際 光って
主張していた。
まるでシズクにありがとうと言っているかの様に輝いていた。
星空(番外編)⑥の続き
友達の思い出(番外編)⑦
●二人から見た二人
僕ナイトジェッツの友達ハイネクラウンは
魂狩りの仕事には、積極的なのに
他の事には、距離を置いて 積極的には
関わらない様にしている事が多い
多分 自分の容姿に距離を取る人が多くて
最初から自分で距離を置いているのだろう
しかし僕の友達は、顔に似合わず純情で
意地っ張りのくせに根は素直で一途だった。
そんな一面が面白くてつい揶揄いたくなる
顔は怖いのに好きな子には照れ屋で、ウブ
傍から見るとすっごく好きなのがばればれなのに好きな子に気持ちがバレない様に
必死に取り繕って気の無い振りをしたりして 好意があるのに苛めたりして自分の気持ちに蓋をしたりしている。
そう言う彼を見てるのは好きだけど早く
好きな子と結ばれないかなあと思って居る
まあ かと言ってあからさまに取り持ったりはしないけれどね
頑張れ僕の友達!!
私 ミーナリースの友達シズクファーラムは、とても優しくて素直で、お人形さんみたいに小さくてふわふわとしたとっても
可愛い子だった。
いつも皆の事を考えてくれて、とても良い子で だからたまに心配になる。
良い子過ぎて.... もっと自分の事を
考えても良いのに....
だからハイネがシズクにちょっかいを掛けるたびに思う
シズクがハイネに意地悪をされて怒るたび
ほっとする。
シズクが自覚してるかは別にして
ハイネには自分の気持ちを言えるんだと
それを見てて私はいつも良かったと思う
私にももっと怒ったり泣いたり甘えて
欲しいけど友達としてシズクが泣きたい
時は、側にいてあげたいし楽しい時は、
喜びを分かち合いたい
だからハイネがシズクに意地悪をして泣かせているのを注意する時、
ちょっと嫉妬も入ってる。
ハイネがもっとシズクに対して素直になればシズクもきっと喜んでくれる。
シズク自身は無自覚かもしれないけど....
私の目から見てシズクもきっとハイネの事
.... 早く二人が結ばれて欲しい....
まぁ悔しいから、絶対 手助けはしないけど.... 二人が両想いになったら
四人で、ダブルデートをするのが私の夢
そんな友達との思い出を作るのが今の
私の楽しみなんだ!
だからしっかりしなさいよね!ハイネ!
それが二人(ミーナとナイト)の
二人(ハイネとシズク)に対する
願いだった。....
神様だけが知っている(番外編)⑤の続き
星空(番外編)⑥
●星空の国のシズクちゃん
小さな家でシズクちゃんは、お父さんと
お母さんと三人で幸せに暮らしていました
しかしある日お父さんとお母さんが
シズクちゃんの前から居なくなってしまいました。
「お父さんとお母さんは、どこに行ったん
だろう....」シズクちゃんは一人になってしまい寂しい気持ちになりました。
ある日シズクちゃんの元にお父さんとお母さんの居場所を知っていると言う男の人が
現れました。
その男の人は、お父さんとお母さんは
お星様になったんだよと夜空のお星様を
指差しました。
「お星様?」シズクちゃんは、お父さんとお母さんの所に行きたいとその男の人に
言いました。
男の人は、この道を振り返らずに
真っ直ぐ行けばお父さんとお母さんに
会えるよと暗い森の一本道を指差しました。
シズクちゃんは、男の人に「ありがとう」とお礼を言って森の中に入って行きました。
男の人は、シズクちゃんの後ろ姿を見送って青い瞳を煌めかせ不敵に笑うとそのまま
踵を返して去って行きました。
暗い森の中を夢中で歩くシズクちゃん
お父さんとお母さんに会いたい一心で足を
懸命に動かします。
でもそのうちに闇が濃くなり道が見えなくなるとシズクちゃんは怖くなってその場に
座り込んでしまいます。
そして悲しくなって涙が溢れて来ました。
「此処はどこ?....お父さんお母さん....
ぐずっ....うっ....うっ....」シズクちゃんは
泣きました。悲しくて寂しくて泣きました。
そしてシズクちゃんが泣いていると....
一匹の灰色猫がシズクちゃんの前に現れます。「猫?」シズクちゃんは、首を傾げます。その猫はつり目をさらに吊り上げて
無愛想にシズクちゃんを見上げます。
そしてシズクちゃんに付いて来いと言わん
ばかりにシズクちゃんの前を通り過ぎ
道を進んで行ってしまいます。
シズクちゃんは、一人になるのが不安でその猫を追いかけ始めます。
「猫さん....待って~」シズクちゃんと猫の追いかけっこが始まります。
追いかけるのに夢中で転んでしまうシズクちゃんしかしシズクちゃんが立ち止まると
その猫も立ち止まりまるでシズクちゃんが
追い付くのを待つかの様に横目でシズクちゃんを見ます。
そうして猫を追いかけてる内にシズクちゃんは開けた道に出ます。
その道の先を見ると....
シルクハットを被った金髪の少年と
兎耳が生えた赤髪のおかっぱの少女に
出会います。
その二人がシズクちゃんに声を掛けました
「あらナイトお客さまよ」
「え~お客さまなんて久しぶりじゃないか
ミーナお茶会を開こう」
そう言って二人はシズクちゃんの為に
お茶会を開きます。
シズクちゃんは、二人のお茶会に招待されました。芳しい香りのお茶
甘いお菓子を食べてシズクちゃんは幸せな
気持ちになりました。
ミーナとナイトに「ずっと此処にいなよ」と
引き留められますがシズクちゃんは
お父さんとお母さんの所に行かなければ
なりません
「ありがとう」とシズクちゃんは、二人に
お礼を言ってまた歩き始めました。
いつの間にか灰色猫を見失ってしまい
シズクちゃんはまた一人になってしまいました。
また悲しくなって来たシズクちゃんに声を
掛ける者が居ました。
「おやこんな所に可愛いお客さんだマリア君このお客様にお茶を出して精一杯もてなしてあげよう!」
「かしこまりましたハロルド様!」
そこには、妙齢の男性と女性が椅子に座ってお茶会を開いていました
二人は泣いているシズクちゃんの涙を拭いて気遣ってくれました。
温かいお茶を貰いシズクちゃんの沈んでいた心が浮上しました。
シズクちゃんは、もてなしてくれた二人に
聞いてみました。
「お星様が見られる所を知りませんか?」
「お星様?」女性が首を傾げます。
男性が思い付いた様に「そう言えばこの先の湖がある所が開けていて満天の星空が見えるスポットなんだよ」と教えてくれます
シズクちゃんはその湖がある場所を二人に教えて貰い行って見る事にしました。
「また遊びに来てね!」と二人に手を振られ見送られシズクちゃんは二人に
「ありがとう」とお礼を言ってその場所を
後にしました。
シズクちゃんは湖のある場所に着きました。そこにはキラキラと星々が光っていました。
(お父さんとお母さんは何処だろう...)
シズクちゃんは、湖を覗き込んでみました。水面には、お星様が映っていました。
(お父さん...お母さん...)シズクちゃんは
思わず湖に手を伸ばしました。
シズクちゃんの体が湖の方に傾きます。
フワリとシズクちゃんの体が浮きそのまま
湖に落ちそうになった所で誰かが
シズクちゃんの首根っこを掴みます。
「テメェ何やってんだ死にてェのか!」
そこには、猫耳を生やした灰色髪のつり目の少年がシズクちゃんの体をひき上げていました。
少年はシズクちゃんを睨みます。
シズクちゃんは、自分を怖い顔で睨み
注意する少年の姿を見て悟ります。
(嗚呼....もう....お父さんと....お母さんには会えないんだ....)シズクちゃんは悲しくなりまた涙を流して泣きました。
泣いているシズクちゃんの頭をポンポンと
猫耳の少年が優しく叩き
「帰るぞ!」 「帰る....?」シズクちゃんは少年の言葉に首をかしげます。
お家に帰っても もう誰もシズクちゃんを
迎えてくれる人は居ません
シズクちゃんは一人ぼっちになってしまいました。
そんなシズクちゃんの思いを知ってか知らずか猫耳の少年はシズクちゃんに
言いました。
「家に帰って体を休めたら またお茶会とやらに行くんだろう 皆に引き留められたりまた来いって言われてただろうが!」
その猫耳少年の言葉にシズクちゃんの心は
パッと明るくなりました。
シズクちゃんは一人じゃ無いと気づいたからです。
こうしてシズクちゃんは猫耳少年と
一緒に家に帰りました。
そうしてまた皆がシズクちゃんが来るのを
待っててくれるお茶会に参加したのでした。 (終わり)
日差し(番外編)④の続き
神様だけが知っている(番外編)⑤
●縁結びの神様
世の中には色んな神様が居る
家内安全 学力向上と掲げたお守りを
売っている神社もある。
しかしハイネは、これだけは、神様が
たとえ結果を知っていても放っといて欲しいと切に願う事があった。
ハイネは自分の手の中にあるお守りを見て思う
『恋愛成就』その文字を見てハイネは固まる。
よりにも寄って一番手に入れたく無いお守りが自分の手の中にある。
(だから神社にお参りなんてしたくなかったんだ....)今日は、皆で神社に初詣に来た
ハイネは新年の神社なんて人ごみが多くて
断固として行きたくなかったのだが三人に
押し切られ渋々付いて行く
新年の神社は案の定 人でごった返していた。
しかしそれだけならまだ良かった
最悪なのは次だった。
しばらくして皆で今年の運勢を占おうと言う話になりおみくじを引く事になった。
しかしこのおみくじ普通の大吉から大凶までの1年の運勢を占うものではなく
『お守りおみくじ』と言う胡散臭い物だった。このおみくじを引くだけで今自分が
叶えたい願いが書いてあるお守りを引ける
と言う物だった。
ハイネは(嫌 これお守りが売れないから
苦肉の策でおみくじにしただけだろう)と
思ったが....皆引き始めたので自分も引かざるを得ない流れになる。
(まぁこんなの唯の娯楽だろう)と油断して
引いたらこんな事になった。
ちなみに他の三人は....シズク厄払いの
お守り ナイト家庭円満のお守り
ミーナ安産祈願のお守りとそれぞれ皆
自分に合っている様な 微妙に気が早いようなそんな中途半端なお守りばかりだったので自分もそんなものだろうと油断して
いたら....何ともピンポイントな一番
引きたく無いお守りを引いてしまったのだ
早く三人に気付かれる前に帰ろうとハイネは踵を返し早足になる。
そうして心の中で(もう絶対 初詣に来るのは辞めよう)と思うのだった。
ハイネの耳にお前が叶えたい願いはこれだろうと神様が当たり前みたいに面白がって
笑って居る声が聞こえた様な気がした。
繊細な花の続き
この道の先に
此処は、何処だろう? 僕は誰かと一緒に
この道の先を辿っていたはずなのに....
その誰かは何処に行ってしまったんだろう
そう 僕とその誰かには、大切な物が
あったんだ 何物にも代え難い大切な物が.... 記憶が朧気だ。
僕は、一体誰だろう....?
シズクは、バインダー局の皆にお手紙を書いていた。ルークが自分が出す事を条件に
出す事を許可してくれたからだ。
シズクは、文面を一生懸命に考えて皆の顔を思い浮かべた。
ハロルド局長 マリアさん
ミーナ ナイト ハイネ 元気ですか?
私は、新しい学校に少し緊張してまだ
慣れて居ない所もありますが元気です。
皆が お仕事で、怪我をしていません様に
私も皆に負けない様に頑張ります。
またお手紙書きます。
体に気を付けて シズクより
シズクは、手紙を大切に封筒にしまい
ルークの部屋の扉をノックする。
「はい!」と声が聞こえてシズクは、ドアを
開く「ルークさん....今 大丈夫ですか?」
シズクがドアを覗き込む様にルークを窺うとルークが微笑んだ。
「シズクちゃん丁度良かった 今呼びに行こうと思ってたんだ!」ルークがにっこりと笑顔を浮かべシズクに近付く。
シズクは、ルークにおずおずと手紙を
差し出す。「あ....あの....私 皆に....お手紙....書いたんです....バインダー局の皆に
....」 ルークがシズクの手紙を受け取り
値踏みする様に見つめる。
「ああ....手紙....そう言えば出すって言ってたね....」ルークは、一拍 間を置くと....
「分かった手紙は、僕が預かるねそれより
今日は、僕からシズクちゃんにお願いが
あるんだ!」「私に....?」シズクはきょとんと目を丸くする。
「うん!シズクちゃんにしか頼め無い事なんだ頼まれてくれないかなあ....」シズクは
ルークに頼られて嬉しくなって
「私に出来る事なら....何でもします!」と
笑顔で承諾した。
「良かった じゃあこっちの部屋に来てくれる?」ルークは掌を隣の別の部屋に
向けてシズクにこっちに来る様に促す。
シズクはルークの後に付いて行く
「そこの椅子に座ってくれるかなあ」
ルークは部屋にある1脚の椅子をシズクに
指し示す。
シズクは、きょとんとして....
「ルークさん....これは、何をするんですか?」シズクはルークに質問する。
「なに ちょっとしたアロマセラピーさ
僕が調合したアロマをシズクちゃんに
試して貰って感想を聞きたいんだけど
良いかなあ」
「アロマセラピー....はい....アロマ....体験
して見たいです.....」シズクは、目をきらきらさせて初めてのアロマセラピーに
わくわくしていた。
「じゃあ椅子に座って 目を瞑ってくれるかなあ」「はい....」シズクは、ルークの
言われた通りにした。
「僕が良いって言うまで目を開けちゃ駄目だよ!」「はい....」シズクは、静かに目を閉じる。
そのうち何だか鼻腔に甘い匂いが漂って来た。シズクはその甘い匂いを嗅いでいる内に何だか意識がぼやけて来て気づけば眠りに落ちていた。
すやすやとシズクが寝入ったのを確認して
ルークは、シズクの耳元に囁く
「シズクちゃんやっぱり君は、子供の頃から変わっていないね....人を全面的に信用して疑う事を知らない そうやって人を信用して人に頼らないと生きていけない可哀想な子.....ああでも一つだけ良い事があったね
君が姉さんの娘だと言う事 おかげで姉さんそっくりの体を手に入れた。
待ってて姉さんもうすぐ会えるよ!」
そうルークは、シズクの耳元で囁き
シズクの髪を一房摑むとそこに優しく唇を落とし その部屋を静かに立ち去ったの
だった。
ハイネは、バインダー局の道をひたすら進んでいた。しかしその道中ハイネの耳に声が聞こえた。
『此処はどこだろう』ハイネはその声に
立ち止まった。
(何だ....今 声が....)ハイネはキョロキョロと周りを見る。
するとハイネの耳に陽気な声が聞こえて来た。
『やあそこのつり目のナイスガイ君
もしかして君 僕の声が聞こえるのかい
だったら教えてくれないかい?
僕の片割れを知らないかい?
それと此処は何処だい?』
ハイネは目を丸くする。そこにはふわふわと浮いた魂がハイネの視界を飛んでいた。
『自己紹介をしたい所だが生憎 自分の
名前を忘れてしまってね!代わりに君の名前を教えてくれるかい?ナイスガイ君』
この一人の少年と一つの魂の出会いが
これからの運命を変える鍵となる。
果たして少年は、初恋の少女とまた出会う事が出来るのだろうか?