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神様だけが知っている(番外編)⑤の続き


星空(番外編)⑥

●星空の国のシズクちゃん

小さな家でシズクちゃんは、お父さんと
お母さんと三人で幸せに暮らしていました
しかしある日お父さんとお母さんが
シズクちゃんの前から居なくなってしまいました。

「お父さんとお母さんは、どこに行ったん
だろう....」シズクちゃんは一人になってしまい寂しい気持ちになりました。

ある日シズクちゃんの元にお父さんとお母さんの居場所を知っていると言う男の人が
現れました。
その男の人は、お父さんとお母さんは
お星様になったんだよと夜空のお星様を
指差しました。

「お星様?」シズクちゃんは、お父さんとお母さんの所に行きたいとその男の人に
言いました。

男の人は、この道を振り返らずに
真っ直ぐ行けばお父さんとお母さんに
会えるよと暗い森の一本道を指差しました。
シズクちゃんは、男の人に「ありがとう」とお礼を言って森の中に入って行きました。

男の人は、シズクちゃんの後ろ姿を見送って青い瞳を煌めかせ不敵に笑うとそのまま
踵を返して去って行きました。



暗い森の中を夢中で歩くシズクちゃん
お父さんとお母さんに会いたい一心で足を
懸命に動かします。

でもそのうちに闇が濃くなり道が見えなくなるとシズクちゃんは怖くなってその場に
座り込んでしまいます。

そして悲しくなって涙が溢れて来ました。
「此処はどこ?....お父さんお母さん....
ぐずっ....うっ....うっ....」シズクちゃんは
泣きました。悲しくて寂しくて泣きました。

そしてシズクちゃんが泣いていると....
一匹の灰色猫がシズクちゃんの前に現れます。「猫?」シズクちゃんは、首を傾げます。その猫はつり目をさらに吊り上げて
無愛想にシズクちゃんを見上げます。
そしてシズクちゃんに付いて来いと言わん
ばかりにシズクちゃんの前を通り過ぎ
道を進んで行ってしまいます。
シズクちゃんは、一人になるのが不安でその猫を追いかけ始めます。

「猫さん....待って~」シズクちゃんと猫の追いかけっこが始まります。
追いかけるのに夢中で転んでしまうシズクちゃんしかしシズクちゃんが立ち止まると
その猫も立ち止まりまるでシズクちゃんが
追い付くのを待つかの様に横目でシズクちゃんを見ます。

そうして猫を追いかけてる内にシズクちゃんは開けた道に出ます。

その道の先を見ると....
シルクハットを被った金髪の少年と
兎耳が生えた赤髪のおかっぱの少女に
出会います。
その二人がシズクちゃんに声を掛けました

「あらナイトお客さまよ」
「え~お客さまなんて久しぶりじゃないか
ミーナお茶会を開こう」
そう言って二人はシズクちゃんの為に
お茶会を開きます。

シズクちゃんは、二人のお茶会に招待されました。芳しい香りのお茶
甘いお菓子を食べてシズクちゃんは幸せな
気持ちになりました。
ミーナとナイトに「ずっと此処にいなよ」と
引き留められますがシズクちゃんは
お父さんとお母さんの所に行かなければ
なりません
「ありがとう」とシズクちゃんは、二人に
お礼を言ってまた歩き始めました。

いつの間にか灰色猫を見失ってしまい
シズクちゃんはまた一人になってしまいました。

また悲しくなって来たシズクちゃんに声を
掛ける者が居ました。

「おやこんな所に可愛いお客さんだマリア君このお客様にお茶を出して精一杯もてなしてあげよう!」
「かしこまりましたハロルド様!」
そこには、妙齢の男性と女性が椅子に座ってお茶会を開いていました
二人は泣いているシズクちゃんの涙を拭いて気遣ってくれました。

温かいお茶を貰いシズクちゃんの沈んでいた心が浮上しました。
シズクちゃんは、もてなしてくれた二人に
聞いてみました。

「お星様が見られる所を知りませんか?」
「お星様?」女性が首を傾げます。
男性が思い付いた様に「そう言えばこの先の湖がある所が開けていて満天の星空が見えるスポットなんだよ」と教えてくれます

シズクちゃんはその湖がある場所を二人に教えて貰い行って見る事にしました。

「また遊びに来てね!」と二人に手を振られ見送られシズクちゃんは二人に
「ありがとう」とお礼を言ってその場所を
後にしました。


シズクちゃんは湖のある場所に着きました。そこにはキラキラと星々が光っていました。
(お父さんとお母さんは何処だろう...)

シズクちゃんは、湖を覗き込んでみました。水面には、お星様が映っていました。
(お父さん...お母さん...)シズクちゃんは
思わず湖に手を伸ばしました。
シズクちゃんの体が湖の方に傾きます。
フワリとシズクちゃんの体が浮きそのまま
湖に落ちそうになった所で誰かが
シズクちゃんの首根っこを掴みます。

「テメェ何やってんだ死にてェのか!」
そこには、猫耳を生やした灰色髪のつり目の少年がシズクちゃんの体をひき上げていました。
少年はシズクちゃんを睨みます。
シズクちゃんは、自分を怖い顔で睨み
注意する少年の姿を見て悟ります。
(嗚呼....もう....お父さんと....お母さんには会えないんだ....)シズクちゃんは悲しくなりまた涙を流して泣きました。

泣いているシズクちゃんの頭をポンポンと
猫耳の少年が優しく叩き
「帰るぞ!」 「帰る....?」シズクちゃんは少年の言葉に首をかしげます。

お家に帰っても もう誰もシズクちゃんを
迎えてくれる人は居ません
シズクちゃんは一人ぼっちになってしまいました。
そんなシズクちゃんの思いを知ってか知らずか猫耳の少年はシズクちゃんに
言いました。
「家に帰って体を休めたら またお茶会とやらに行くんだろう 皆に引き留められたりまた来いって言われてただろうが!」
その猫耳少年の言葉にシズクちゃんの心は
パッと明るくなりました。
シズクちゃんは一人じゃ無いと気づいたからです。

こうしてシズクちゃんは猫耳少年と
一緒に家に帰りました。

そうしてまた皆がシズクちゃんが来るのを
待っててくれるお茶会に参加したのでした。     (終わり)

7/6/2024, 2:40:36 AM