Saco

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6/13/2024, 5:23:36 AM

失恋の続き

好き嫌い

初めは、何だか嫌いだった。
自分に怯えて、びくついているのに何だか
ムカついて 腹が立って 怖がって居るなら本当に怖がらせてやろう位の気持ちだった。
髪の毛を引っ張ったり 頬を意味も無く
抓ったり 虫を頭にわざと乗せたり
怖い話しを目の前で話したりとにかく
怖がらせる為に何でもやった。

最初は、無抵抗でされるがままで痛がる
素振りは、見せても何も反応せず
無言で距離を取られるだけだった。

でもその内 キッと涙目で睨み上げられ
「....ハイネ....嫌い....」と言われた時は
何故だかとても愉快な気持ちになって
笑いがこみ上げて来てしまった。

嫌われた言葉を言われたのに笑いが
こみ上げるとか妙な感覚だが....
当時は、その意味も理由も分からず
ただ ただ あんなに俺の事を怖がってる
のに名前は、覚えててくれてたんだとか
初めて名前を呼ばれたとか
俺のした事に初めて反応してくれたとか
無意識だったけどそう言う事が俺は
嬉しかったんだと思う。

そう俺は、多分 初めて会った時から
あいつの事が好きだったんだと今なら
分かる。

『ハイネ 君そろそろ』『シズクに告白しなさい』

『で、あんたその肝心の好きな子には
いつ告白するのよ』

『もたもたしてると他の人にとられちゃうよ』

そうしてさっきからミーナとナイトに
言われた言葉がぐるぐると頭の中を
駆け巡る。

他の女子に告白された時は、はっきり言葉が言えるのに....
何でシズクの前に出るといつも言葉が
詰まって 思っている事と全く違う事を
口走ってしまうんだろう....

そうして、俺は、頭を抱え何度目かの
ため息を吐く。

(何やってんだろう.....俺)

告白 告白が出来ればこの苦しい気持ちに
終わりが来るのだろうか....

いや告白が出来たとして万が一振られて
しまったら.... 思えば好かれる様な事を
一つもやって無い気がする。
いつも泣かせてばっかだったし....

シズクは、俺を傷つけたと思って気に病む
だろう.....
あいつを困らせてギクシャクしてシズクと
話せ無くなってしまったら....
それこそ地獄だ.....

だったら今のままの方が良い....

じゃあ逆に万が一の奇跡が起きて告白が
成功したら.... 俺は、嬉しすぎて
そのまま熱を出して確実に寝込むだろう
もう心臓が保たない.....
寝込んでしまってもシズクを心配させる
だろうし.... 何よりミーナとナイトが
『情け無い』『ヘタレ』と文句を言う顔が浮かぶ。

どっちに転んでも俺にとっては、
大惨事を招く事が目に見えている。

けどこのまま想いを伝えずに居て
シズクが他の奴を選ぶ事だってあり得る。

その時 俺は、シズクの幸せを願ってシズクを諦めて また別の奴を好きになるのか.....

わからねぇよ そんなの.....だって
こんな気持ち初めてだし....シズク以外の
女を好きになった事ねぇし.....

そもそも俺は、何でシズクがこんなに
好きなんだろう....
好きになってしまったんだろう

シズクの気が引けるなら 嫌いって言葉を
ずっと言われ続けられても良い
怒られても泣いて叩かれても良い

甘えられても わがままを言われても良い
もっとくっいて来たって良いし
自分の事に俺を利用したって良い
もっと俺を求めてくれるなら
頼ってくれるなら 最期に嫌われて捨てられても構わない

なのに実際のあいつは、いつも皆の事
ばっかで 自分を勘定に入れて無くて.....
そう言う所が無性に腹が立って嫌いで....
そして無性に可愛くて 愛しいんだ....

(ああ駄目だシズクが他の奴の者になるとか耐えられ無い....俺ってこんなに心が
狭かったんだな....)

俺は、気分を変える為にバインダー局に
向かった。
仕事でもして気分を切り替えようそれだけ
だった。
そりゃあ少しは、シズクに会えるかもしれないなんて....心の内で無意識に期待してた
かもしれないが....

「あっ.....ハイネ!」俺は、その声を聞き
びくんと肩を震わせる。
シズクが小さな体でキャリーバッグのタイヤを鳴らし俺の方に近づいて来る。

しかも格好がいつもの格好では無くフリルの付いた青い長袖のワンピースを着ていた。

「良かった....ハイネに会えて....
ミーナとナイトには...挨拶出来て....
ハイネにも....挨拶したかったから....」

「挨拶?」俺は、シズクの言葉に首を
傾げる。

「私....寮....辞めるの....これからは、
ルークさん....叔父さんと一緒に....
住む事に.....なって....」

俺がシズクの言葉に目を丸くすると....

「シズクちゃん荷物纏め終わった!」
その言葉に俺が顔を上げると

青い瞳でこちらの視線を捉える様な
溌剌としたイケメン顔の男が立っていた。

そしてそいつは、俺を見つめると.....
「彼は?」そいつがシズクに向かって聞く
「ハイネ.... バインダーの....仲間だよ....」シズクが少し目線を下げながら
答える。
「そう.... バインダーの....じゃあ行こうか
シズクちゃん」そいつはにっこりとシズクに笑みを浮かべシズクを促す。
「はい....」シズクがキャリーバッグを引きながらそいつの元に向かおうとする。

俺は、思わずシズクの腕を引っ張り
シズクを立ち止まらせる。
「ハイネ?」シズクはきょとんとして
首を傾げる。

「シズク....俺....お前に大事な話があるんだ...」 「話? 何....」シズクが真っ直ぐ
俺を見つめる。
「.....俺....」その瞬間俺の決意を遮る様に
「シズクちゃん」と優しい声が聞こえる。

「あっ....はい....ハイネ....ごめんね....
お話し....また....今度....来た時で....
良いかなあ....」シズクは、申し訳なさそうにハイネを見上げる。

「.....ああ....」俺は、視線を一瞬シズクから逸らして答える。

「じゃあ....また....」そう言ってシズクは
俺に笑顔を浮かべて手を振ってその場を
去ったのだった。




そして後に、俺は後悔する事になる。
シズクの笑顔から一瞬視線を逸らしてしまった事も....
シズクの腕を離してしまった事も....
全部 全部 後悔する事になるのだった。

6/11/2024, 10:58:40 AM



街の中心部に人が集まっている。
ぶつかる事は無く スクランブル交差点で
交わりすれ違う こんなにたくさん人が居て笑い合っているのにこの街で見掛ける人はほとんどが他人だ。

だけどビルの広告塔の画面に映し出される
某人気アイドルの主演映画の宣伝や
ゴシップやスキャンダルなどが映し出されると他人同士なのにスマホを持って写真を
撮ってSNSで拡散して、長年の付き合いが
あるかの様にコメント欄に煽りの文章を
書いて知り合いでもないのに一緒に
面白がってあることないこと盛り上がって
いるのは、何故だろう。

そのくせ街の中で乱闘や喧嘩があると
誰かが助けるだろう 警察がその内来るだろうと遠巻きにして、知らない他人の枠から出ようとしないのに....
街に居る人は、不思議だ。

街に居る時とSNSでコメントをする時は
こんなにも違うのに....

これが表と裏 本音と建前って奴なのかなあ.....
街は不思議な場所だ....
人間の深層心理が見え隠れする。まるで街に人が住んで居ると言うより
街に人が操られて居るみたいだ。

人間の表と裏その状態を知っているのは
この街だけかもしれない
人間自身は気付かない
街だけが知っている秘密を今日も街は
抱えて人間を受け入れている。
人間の事などきっと街にとっては、
どうでも良い事だから....。

6/10/2024, 11:39:04 AM

やりたいこと

やりたいことが見つからなくて悩み
または、やりたいことが多すぎて
一つに絞れなくて悩む

そんな事を繰り返してたら進路調査表は
真っ白 進路相談で先生と二者面談をしては 偏差値は、悪くないだのお前の学力ならもっと上を目指せるだの言われると
また悩む。

そんなこんなで頭を抱えていると....
先生が茶化す様に
「悩め 悩め 悩めるのは、若者の
特権だぞ!」なんて無責任な発言をする。
私は、先生の前で頬を膨らませる。

「大人はずるい!」
「そんなずるい大人にならない為に
自分のやりたい事が分かるまで若者は
悩み抜くんだよ」先生のそんな言葉で
私は、進路調査表を折り畳み鞄にしまう
「先生は、私が進路調査表をまだ出してないのに急かさないよね!」

「じっくり自分で考えて確信を持った答えが最上だったりするんだよ!」

そんな先生の言葉通りに自宅に調査表を
持って帰り私は、じっくり考えて来る事に
した。

6/9/2024, 11:01:16 AM

朝日の温もり

目を開けると温かい日の温もりが差して来る。

朝日の温かい温もりがゆりかごみたいに
二度寝を誘い気が付けば 私は朝日の温もりの中で微睡み もう一度眠りに付いた。

6/8/2024, 11:04:36 PM

岐路

私は今 岐路に立たされている。
此処に広がる二つの分岐点
どちらを選んでも、正解でもないし
不正解でもない。

だけど選んだ選択肢で間違いなく状況は
変わる。

不幸になるのか、幸福になるのか
確信に変わるのか 後悔をするのか
それは、選んでみなければ分からない。
だから私は、今 二の足を踏んで
動けずにいる。

私が尻込みをして動けずに居ると....
ポンと見えない空気に押される様に
背中に力が入り体が傾き一方向に押される。
途端に「大丈夫だよ!」と声が聞こえる。
「貴方の進みたい方向に進んで
誰も貴方を責めないから....
後は貴方の勇気だけ さぁ行って」
その言葉に励まされる様に 私は、足を
一歩前に進める。
後悔するかもしれない 失敗するかもしれない。
でも....私が歩んで来た跡が道になるなら
たとえそうなっても良いと思えるから....
さぁ足跡を付けよう その足跡を辿って
また、他の誰かが歩ける様に....

今度は、私が道しるべになるんだ。

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