NoName

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7/11/2024, 12:23:35 PM

ポコン

聞き慣れた音で通知がきた
でも私は開かない
少し時間を置いて、相手を焦らすのだ
飲みかけの紅茶を口に含み、
何事も無かったかのように本の続きを読む

……

何分経っただろう…
内容が頭に入ってこない
気になって時計を見やると、
まだ5分も経っていなかった

…まだ駄目
自分を律して返信したい気持ちを抑える
だって恋は駆け引きだから。
誰が言ったのかは知らないけれど
それは確かに納得した
すぐ返信したら、軽い女だと思われかねないし、
相手に好意を悟られるのも、私のプライドが許さない

だからもう5分、いや10分は、この恋心と闘うのだ

彼と並んで歩く日を夢見て

7/11/2024, 4:03:32 AM

天国とは、本当にあるのだろうか…
そんな夢物語を信じるわけもなく
僕は毎日身を粉にしてあくせく働いてきた
自分のために 幸せを掴み取るために…
なのに、こんな、こんなことがあってはならない
だって現実にあるのなら
僕の今までは何だったのか 何のために働いていたのか
せっかく集めたお金という宝の山が
ガラガラと崩れていく音が聞こえた

光に溢れていて 木々も動物もみんな
生き生きとしている
足元に広がる小さな花たちは
気持ち良さそうに優しく揺れている

ああ 僕は死んだんだ
僕の人生は今、終わった
代わりに、生まれ変わった新しいわたしと
一から始めたいと思った

新鮮な空気をいっぱい吸って
一歩踏み出した右足は しっかりと大地を踏みしめた

7/10/2024, 5:20:05 AM

毎日、朝のお洗濯が私の仕事であり、
1日の始まりでもある。
天気のいい日はお外に干して、
曇りや雨は室内干し。
外でも内でもゆらゆらと干される彼らは、
一体どんな気持ちだろう。
ぱんぱんとシワを伸ばされて背筋が伸びたり、
隙間に挟まってびしょ濡れのままのものは、
ぎゅぎゅーっと絞られたり。
洗濯物事情も色々あって大変だなぁ…
なんて考えてしまった今日のお題です。

7/9/2024, 4:13:14 AM

ぼんやりと浮かぶオレンジの灯りが
ベンチをやんわりと照らしている
この公園のこの街灯の下のこのベンチで
夜、一人静かに本を読むのが僕の幸せだ
本はきまって、ミャエルエンデのモモを読む
何故だかわからないが、
この組み合わせが僕の心にも
明かりを灯してくれる
嬉しかった時も悲しく落ち込んでいる時も
ここに来れば、僕は優しい光に包まれて平穏に戻る
それが唯一無二の幸せなのである

7/7/2024, 9:03:50 AM

良い思い出も悪い思い出もたくさんあった
気付けば遠くの方で埋もれていて
思い出せるものは随分と少なくなった

その中でも今も覚えているのは
いつも一緒に帰っていた友達に
「今日は一人で帰りたいから」
とぶっきらぼうに言い放ち
すたすた帰ってきてしまったことだ
転校を繰り返し大人しくなった私は
同じく大人しい彼女と一緒にいることで
安心していた
それがあの日…
どうしようもなくむしゃくしゃして
虫の居どころの悪い私の精一杯の抵抗
それをくらってしまったのが
たまたま彼女だったのだ

きっと今謝っても彼女は覚えていないだろうし
小さな私たちの日常の一部でしかなかったとも思う
だけど彼女の驚きと困惑が入り混じった表情を
私はずっと覚えているだろう…

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