ポコン
聞き慣れた音で通知がきた
でも私は開かない
少し時間を置いて、相手を焦らすのだ
飲みかけの紅茶を口に含み、
何事も無かったかのように本の続きを読む
……
何分経っただろう…
内容が頭に入ってこない
気になって時計を見やると、
まだ5分も経っていなかった
…まだ駄目
自分を律して返信したい気持ちを抑える
だって恋は駆け引きだから。
誰が言ったのかは知らないけれど
それは確かに納得した
すぐ返信したら、軽い女だと思われかねないし、
相手に好意を悟られるのも、私のプライドが許さない
だからもう5分、いや10分は、この恋心と闘うのだ
彼と並んで歩く日を夢見て
天国とは、本当にあるのだろうか…
そんな夢物語を信じるわけもなく
僕は毎日身を粉にしてあくせく働いてきた
自分のために 幸せを掴み取るために…
なのに、こんな、こんなことがあってはならない
だって現実にあるのなら
僕の今までは何だったのか 何のために働いていたのか
せっかく集めたお金という宝の山が
ガラガラと崩れていく音が聞こえた
光に溢れていて 木々も動物もみんな
生き生きとしている
足元に広がる小さな花たちは
気持ち良さそうに優しく揺れている
ああ 僕は死んだんだ
僕の人生は今、終わった
代わりに、生まれ変わった新しいわたしと
一から始めたいと思った
新鮮な空気をいっぱい吸って
一歩踏み出した右足は しっかりと大地を踏みしめた
毎日、朝のお洗濯が私の仕事であり、
1日の始まりでもある。
天気のいい日はお外に干して、
曇りや雨は室内干し。
外でも内でもゆらゆらと干される彼らは、
一体どんな気持ちだろう。
ぱんぱんとシワを伸ばされて背筋が伸びたり、
隙間に挟まってびしょ濡れのままのものは、
ぎゅぎゅーっと絞られたり。
洗濯物事情も色々あって大変だなぁ…
なんて考えてしまった今日のお題です。
ぼんやりと浮かぶオレンジの灯りが
ベンチをやんわりと照らしている
この公園のこの街灯の下のこのベンチで
夜、一人静かに本を読むのが僕の幸せだ
本はきまって、ミャエルエンデのモモを読む
何故だかわからないが、
この組み合わせが僕の心にも
明かりを灯してくれる
嬉しかった時も悲しく落ち込んでいる時も
ここに来れば、僕は優しい光に包まれて平穏に戻る
それが唯一無二の幸せなのである
良い思い出も悪い思い出もたくさんあった
気付けば遠くの方で埋もれていて
思い出せるものは随分と少なくなった
その中でも今も覚えているのは
いつも一緒に帰っていた友達に
「今日は一人で帰りたいから」
とぶっきらぼうに言い放ち
すたすた帰ってきてしまったことだ
転校を繰り返し大人しくなった私は
同じく大人しい彼女と一緒にいることで
安心していた
それがあの日…
どうしようもなくむしゃくしゃして
虫の居どころの悪い私の精一杯の抵抗
それをくらってしまったのが
たまたま彼女だったのだ
きっと今謝っても彼女は覚えていないだろうし
小さな私たちの日常の一部でしかなかったとも思う
だけど彼女の驚きと困惑が入り混じった表情を
私はずっと覚えているだろう…